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ユニバース!  作者: ふぁい
第壱章 ユグドラシルの森編
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第二話 この世とあの世の狭間で中二病

「くっさ、くっさ!!」


焦げ臭い匂いがする。

そんなことを考えながらマサムネは目を覚ました。

先ほどまで食べていたフライドチキン・・・ない。

Lサイズのピザ・・・ない。炭酸ジュースもない。そもそもここは四畳半の自室ではない。

満天の星空だった。空気が澄みきっているのだろうか。星が普段よりも幾分近くに感じられる。マサムネは以前、長野県で見た星空を思い出していた。都会を離れ、山々に囲まれた場所の星空。冬の寒さが、星の光を増幅させているかのような感覚を覚えた。今、目の前に広がる星空は、それよりも強く、美しく、輝いて見える。山なのか、森なのか、ここが日本かどうかさえもわからない。マサムネが見たこともない場所だった。


「起きたか、マサムネ」


ふと声がしたので、マサムネは驚いた。声のした方向には何もなかった。前後左右360度見渡しても誰もいない。ただ声が聞こえてくる。


「ここは死んだ人があの世へ行くための待機所です。 三途の川と言ったらイメージが付きやすいかな?川なんてないのだけれどね。まあ、前置きはさておき。こんにちは、マサムネ。あなたは残念ながら死にました。死因はピザを喉に詰まらせたのではないから安心してね。三枚重ねで食べるのはやめたほうがいいけど・・・。ふふふふふ。 死んだ原因はね、実は、私どもの手違いが原因なのですよ。本当にすまないと思っている」


声は中々のイケボイスだった。野太い声で、温かみがある声。どこか少年のような無邪気な雰囲気も感じとれた。声質はどうあれ、内容は、とんでもないことを言っている。自分のは何かの事故に巻き込まれたのだろうか。ただ、怒りの感情は不思議とわいてこなかった。


「こんにちは。おれ・・・僕は、あなたのせいで殺されたのですか?不思議なんですが、怒ってないのですよ。だから正直に教えてください。 でもこの感じだと、異世界転生パターンですよね。しかも特典能力付きの」


小説やアニメで散々見た展開だったというのもある。トラックに引かれたり、通り魔に刺されたり等、不慮の事故で早めに死んだアニメオタクは、神様によって異世界へと転生させられるのだ。しかも、転生者はもれなく強力な武器や特殊能力を神様から与えられる。戦いの素人である現代人が、剣や魔法の世界に行っても大活躍できる仕組みなのだ。

マサムネは、異世界転生のことを頭で理解するより、心で感じたような気がした。


「いかにも。死んだ原因は私にある。本当にすまないと思っている。しかし、お主はなかなか飲み込みが早いね。アニメの見過ぎだよ。本当に大好きなんだね。だが、実際お主の言った通りのことが起こる。マサムネ、お主にはとある世界に転移してもらう。


世界の名は、『ユニバース』


そこは、君がよく知っている大好きなファンタジーの世界さ。魔法もあれば、冒険者ギルドもある。エルフにドワーフに獣人、ドラゴンなんかもいるよ」


自称神様は、ニコニコしながら、マサムネに説明をしていく。


「神様、元の世界には帰れないのですか?」


マサムネは、不安そうな顔で尋ねる。神様の顔から笑みが消えていく。


「残念ながら地球にはすぐには帰せない。これもこちらの都合だ。本当にすまないと思っている。せめて、そこで自由に楽しく、生きてくれ。もちろん、快適に過ごせるように、チカラを与えよう。お待ちかねの異世界転移特典だ。何かのぞみはあるかい?」


願ってもいない展開だった。どうせ地球で生きていてもやりたいことなんてない。休日にアニメを見ながらダラダラ過ごすだけなのだ。だったら、冒険したい。魔法を使いたい。自由に生きてみたい。特典能力があれば、そうそう死ぬこともないだろう。


「剣の達人になりたいです。できれば魔法剣士。漆黒の炎をまといたい。そして、魔王を倒して世界を救うんだ!!」

マサムネは、右手を高らかに上げて叫んだ。日頃から思っていた願いだ。冷静に落ち着いて考えたら、時を止める能力だとか、空間を断絶する能力の方がかっこ良くて強力だと思うタイプなのに。我ながらベタな選択をしたと少し後悔した。


「うんうん、異世界行きに前向きな感じで嬉しいよ。でも剣と限定するのは難しいのだよ。 武器系の加護は武神の管轄だ。私は運命神エスタ。運命を司る神なんだ。うーん、ではこうしようマサムネがユニバースで最初に握ったものの達人になる。という運命ならこちらで設定できるよ。だから、マサムネ、向こうについたら、ちゃんと剣を握るんだよ。そうすれば、剣の達人になれるのだから。絶対、寿司なんか握っちゃダメだからね」


自称運命神のイケボイスは、声に似合わず、よくわからないボケを言ってきた。リアクションのできぬまま、マサムネの身体は、光につつまれた


お読みいただきありがとうございます。

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