第十六話 ギルド職員の仕事
ギルド職員の朝は早い。
マサムネは、支度をして仕事に向かう。
服は、マスターから支給された。
白いシャツに茶色のスラックス。
サスペンダーもついていた。
アニメで冒険者の仕事というのは、よく見る。
ギルドでクエストを受け、ダンジョンを冒険する。
時にモンスターと戦い、勝ったら素材と報酬をもらう。
自分自身も異世界転生すれば、冒険者になると思っていた。
まさか、冒険を依頼する側であるギルドの仕事につくとは。
ギルド職員のメインとなる仕事は5つ。
■受付
クエストの依頼と受注をする所だ。
大人気受付嬢のシェリーとテクニシャン(マサムネ視点)ロザリーがやっている。
ロザリーは、主に街の人から依頼・相談を受けクエストとしてまとめる。
クエストは、ギルドの掲示板に用紙が貼られ、冒険者が剥がして、
シェリーの所へ持っていき受注する。
■会計
クエストの成功報酬を渡す所だ。
報酬のお金は依頼者から預かっている。
担当は、ヤグルシという若者。
鋭い出っ歯とモノクルをつけているのが特徴だ。
■解体所
討伐したモンスターの素材を解体する所だ。
解体した素材はギルドで買い取り、武器・防具屋へ売る。
担当はコシャルというドワーフのおじさんだ。
■訓練所
新米冒険者に戦闘訓練を行なっている。
担当はゴンズ。ハゲレスラーだ。
■治療所
魔物やダンジョンで傷ついた冒険者を治療する所だ。
費用は治療に応じた額を冒険者から徴収している。
担当はマサムネ←NEW!
経緯はこうだ。
ギルドマスターアイムールとの戦いの後、
その余波で、ゴンズとグランツェが死にかけた。
それを治療したのがマサムネだったのだ。
治療法は、ツバを垂らして、患者の口にいれる。
これだけだ。カンタンでしょ?
だが、アイムールから
「絶対に、なんびとたりとも、治療方法は見せてはならない。絶対にだ」
と釘を刺されたので、依頼者には全員目隠しをしてもらっている。
目隠ししている人間にツバを飲ます。
この現場をうっかりシェリーが見てしまい、泡を吹いて倒れたので、
今は水の中にツバを入れてそれを飲んでもらっている。
やり方はどうあれ、効果は抜群だ。冒険者からの評判もいい。
その治療水を売ってくれと何度も頼まれるが正直迷惑だ。
俺のツバは易々と売れねえよ。とマサムネは思っている。
また、仕事の合間に、訓練所でアイムールから武術の指導を受けている。
最初は隅の方で歩く練習から。何でも歩法といって、武術の基本なのだそうだ。
右足を出して、左足を出す。地味な反復作業の繰り返し。
だが、そんな訓練でもマサムネの上達はめまぐるしかった。
熟女に何かを教えてもらう。これほど「アガる」サービスなんてない。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚をフルに使って、アイムールの全てを吸収する。
一は全、全は一。ワンピースはここにあったのだ。
ハゲのゴンズから聞いたのだが、
アイムールは元冒険者だったようだ。王都で大車輪の活躍だったらしい。
ついたあだ名が「撃退クイーン」。似合わない名だ。
妖精とか可憐な名前が似合うのになとマサムネは思っている。
そして3ヶ月が過ぎた(ばーん)
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