表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニバース!  作者: ふぁい
第八章 人魔決戦編
128/130

第百二十捌話 終戦




「古来より乾杯とは、杯を乾かすと書く・・・・かんぱああああああああああい」



宴の号令をだしたのは、リザードマンのトラムだ。

寡黙でクールなイメージだったが、今は各テーブルを回り、

酒を注いでは一気飲みコールをしている。

平時からこれまでずっと沈黙を貫き、先の戦いでも大した活躍もせず、

飲み会の時だけ元気になるタイプのようだ。



アクアジェラートにおける人間と魔族の戦いは、魔族側の最高戦力であるトウ・バレンシアを打倒したことで終結した。

王国宰相であるスノウ・ライトニングと魔族残党軍の中で九家当主であるゼン・ヴェルトの間で終戦協定が結ばれ、魔族軍のほとんどは撤退している。

負傷した魔族兵たちは、四季騎士フォーシーズンが治癒魔法をかけたり、マサムネがツバで作ったポーションを飲ませたりした。

ちなみにポーションの製造方法は、相変わらず特急秘匿事項とされている。


負傷兵の治療を条件に魔族の国である無頼の鎖国解除を要請していた。

これから人間と魔族の交流が始まっていく。

戦直後なのでまだまだ種族間で上手くいかないことも多々あるだろう。しかしながら大きな一歩だ。



「人間と魔族、両方を知るオイラだからこそできることがあると思うんだ」



ゼノンは、そうマサムネたちに告げて、無頼へと帰っていった。

オドオドしていた頃のゼノンはもういない。人間と魔族、ゼノンの立場はちょうど真ん中だが表情は堂々としたものだ。

きっと素晴らしい橋渡し役になってくれるだろう。そう思えるくらい自信に満ちた表情であった。



「アタシは、お酒を呑み続けるわ。今までもこれからも」



ビビは、そう言いながら強めの酒を呷る。何が起きたって彼女は変わらない。

喜ばしいことに、飲み仲間が増えた。ドワーフにリザードマン、獣人だっている。

たまには武神とだって飲みたいそうだ。今度神フォンで連絡するらしい。

呑み仲間には内緒だが、気になる存在のオトコもできた。服を着ない変わった奴だが、とても雄を感じている。

いつか想いを伝えられたらいいなと思っている。



宴は夜遅くまで続いた。戦士たちは皆、戦の終わりを喜び、涙し、大いに湧いた。

皆が疲れて寝静まったころ、マサムネは一人を斧を担いで外へと出た。



「こっそり出発するなんて、つれないですよマサムネさん」


マサムネが振り返ると賢者スノウが一人立っていた。


「さようならって言葉にするのが苦手なんでね」


マサムネは困ったように笑った。


「なるほど・・・では、餞別とまでは行きませんが、旅の無事を祈るオマジナイをさせていただきます」



そう言うとスノウは、異空間から杖を取り出し、マサムネへと向ける。

マサムネはそのまま気を失い、倒れてしまった。



「さようなら、マサムネさん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 第八章 人魔決戦編読了しました! あの気弱だったゼノンがすごく強くなって…! それだけでも感無量だったんですが、ビビたちがマサムネが来るのを待って懸命に戦い、時間を稼いでる姿にじーんとし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ