第百二十七話 それぞれの決着
「おのれ・・・ニンゲンごときが神に仇なすなど・・・」
脇腹を刺された女神アレクシア・グッドローズはよろめき、玉座に覆い被さるように倒れた。
「急所は外れたとはいえ、神殺しの剣の一突きを受けては無事ではいられないでしょう。魔法神様・・・長い間ご苦労様でした。顔だけはタイプでしたよ。キシシシ」
ヤグルシは目の前の光景が想定内のように、軽快な調子でその命を終えようとしている神に話しかける。
「オノレ・・・・オノレ・・・だが最期に・・・クラノスケよ・・・我に逆らった報いを受けよ・・・」
そういうとアレクシアは指先に魔力を込め、音を鳴らす。
「フフフフ・・・本当は苦しめて殺したかったのだがな・・・お主の妻の体内に爆弾を仕掛けていたのだ・・・今起爆の魔力を送った。愛すべき者を失った苦しみを背負っていきていけ・・・」
しかし、クラノスケの表情は微動だにしない。
「アッシが解除しておきました。空間魔法でちょちょいとね・・・。お医者さんの気分を味わえましたヨ。こちらも思いつきで動いた訳ではないのでね。キシシシ」
「な・・・まさか・・・クラノスケ・・・知っていたのか・・・」
「賢者スノウからの書状に書いてあったのだ。ヤグルシ・・・あなたのことも。房江とあなたのツーショット写真も貼られていたのでわかりやすかったです。ユニバースから地球へと自由に移動できるあなたなら、手は打ってくれていると信じました。会った事も無い人に賭けるには畏れもありましたがね。まあもう聞こえていないか」
クラノスケが説明を終える途中で、アレクシアは灰になって消えた。
最期の顔は、神界随一の美女との評判とはおよそかけ離れた醜悪なものだった。
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「ばか・・な・・・今の一撃は・・・魔力?!なぜ・・・」
頭から真っ二つにされた地蔵は、わけもわからぬまま爆散した。
マサムネも、その場にいた誰もがわからなかったのだ。
それもそのはず、最後の対面座位メテオの際、アレクシアが死に呪いが解けたのだ。
今まで封印されていたマサムネの魔力はマグマのように吹き出し、マサムネとリサナウトを包み込んだのだった。
誰もその理由はわからない。
クラノスケとヤグルシ・・・そして、この一連の全て盤上で仕組んだ黒幕を除いて・・・。