第百二十三話 リベンジマッチ
ぶあっくしょーい
マサムネのリベンジマッチは倒れていた禿ドワーフのクシャミを合図に開始された。
先にトウ・バレンシアがマサムネに突っ込み千手パンチを連打する。
マサムネはそれを全て斧で弾いていく。
本当に千はあると思わせる手数にも、難なく対応している。
先刻、ゼノンが闘った際は序盤に羽交い締めされて以降はサンドバック状態だった。
マサムネはそれを予期しているのか、とにかく拳を弾いていく。
そして、
「タウ・ミノフスキン流操斧術――横薙ぎ」
文字通り、戦斧を横に向けて振り抜く。
霊樹ガオケレナを切り倒した際に身につけた技だ。
迫り来る千手の攻撃をぬうように、斧はトウ・バレンシアの腹部に直撃する。
その衝撃のまま後方の瓦礫へと吹き飛んでいく。
「すごい!ゼノン、速さではマサムネが勝ってるわ!!勝てそうよ」
「喜ぶのはまだ早いかもしれないよビビ。奴は基本的に物理攻撃無効のバリアを展開している。おそらく闘気を使う者が大半だから闘気用のバリアだったんだろう。でも、オイラと闘っている時もダメージは通らなかった。魔闘気を帯びた攻撃は、いわば魔法攻撃だ。
それを無効化したということは・・・」
「奴のバリアは物理も魔法も防いじゃうってこと?!そんなの無敵じゃない・・・でも、マサムネが使っている気は竜闘気なんじゃないの?それは物理攻撃?」
「いや・・・竜闘気は選ばれし竜人のみが使える気、魔力でも闘気でもない第三の気だ・・・マサムネがどうして竜気を身につけたかはわからないけれど、竜闘気を持ってすればあるいは・・・」
トウは瓦礫を壊しながら起き上がる。身体中に土ぼこりがついているが、ダメージはなさそうだ。
ボロボロの状態ながらも戦況を見守る四季騎士や抜群の三騎士。
無傷の地蔵を見て、誰もが皆、顔色を曇らせていく。
しかし、三人は諦めていなかった。
ビビもゼノンも知っていた。これくらいの逆境を彼は跳ね返してきた。
いつも奇天烈な発想で乗り越えてきたのだ。
体勢を立て直したトウが再びマサムネへと突っ込んでいく。
高速で動く地蔵が放つプレッシャーは絶大だ。並の戦士だと気を失ってしまうだろう。
しかし、マサムネは斧を構え、ニヤリと笑った。
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一方その頃、
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「遅い!!このクリスタルの攻撃を躱せずして、トウ・バレンシアの攻撃なぞよけられるものか・・・さあ、立て人間・・・もう一度だ」
魔法宮ディバインセレナでは、
もう一人の選定者クラノスケが厳しい修行を行なっていた。