第百二十一話 ハダカがオノでやってくる
「なんだ、あの全裸は・・・」
「こっちに来るぞ・・・うわっ!うわあああああああ」
戦場にいる誰もが皆、その男に怯えていた。
その男——マサムネはサーファーのように、斧に載り、操る。
波乗りのごとく空を駆け、そのまま空中戦艦に突っ込む。
弾丸全裸によって動力部をぶち抜かれた戦艦は続々と機能を停止していく。
「なんだ・・・あの変態は・・・」
「あの男は・・・この間の・・・」
ザイ・カロットとトウ・バレンシアは闘いを中断し、戦艦を次々と堕としていく変態を見上げる。
「トウ様・・・ここはワシが・・・」
カロットは地蔵を静止し空中へと跳躍する。
鍛え抜かれた足腰により、カロットはグングンと高度を上げていく。
「なんたる狼藉か、不届き者めええええ、空の塵にしてやるうううう」
大気を貫くようにして槍を突き上げ、カロットは上空のマサムネへと迫っていく。
地上からの攻撃に気づいたマサムネも斧を手に持ち迎撃態勢を取る。
「お、おい、あの変態・・・浮いてねえか?」
「ああ・・・浮いてる・・・」
見間違いなどではない。マサムネは浮いていた。
『浮く』という言葉には二つの意味がある。場にそぐわない、という意味と宙に存在するという意味だ。
現状、このどちらも該当している。
「バカな・・・その闘気は・・・竜闘気!!」
解説しよう。
竜闘気とは、本来竜人しか持ち得ない【竜気】と達人が使える気【闘気】を合わせもったとても強い気なのだ。マサムネは、本来魔力が使えないため、闘気一筋の人間であった。しかし、ドラゴニウムと混ざり合うことで、竜の性質を身体に取り込むことができたのだ。
ちなみに竜闘気とは読まない。別の話であり、本編とは一切関係ないのだ。
そして、竜闘気の力を使うとマサムネは空を飛ぶことができるのだ!!
この間0.6秒——
「バカな・・・ただの人間が・・・竜闘気だと・・・」
ザイ・カロットは驚愕していた。
同時に身体が縦真っ二つに切断されていた。
「タウ・ミノフスキン流操斧術――縦割り」
「ワシが・・・いっしゅんで・・・む、むすめええええええ」
両断されたカロットは叫びながら爆散した。
そのまま爆風に乗り、マサムネは勢いよく戦斧を振り下ろす。
狙うは宿敵――トウ・バレンシア