第十二話 記念すべき初逮捕
「ふぃー吐いた吐いた、これでよしっと 」
マサムネは、荒れ地にツバを吐いた。吐いて、吐きまくった。
途中水源を探しては、飲み、お腹を軽く押して水を出す。
人間ポンプの用な荒技を駆使して森中に体液が行き渡るようにした。
その甲斐あってか森はマサムネが破壊する前の森に戻りつつあった。
しかし、森の動物たちは一匹たりとも戻ってはこなかった。
「仕方ないな。では出発しよう。服も拾ったしね。フフーン」
マサムネは、近くに落ちていた黒ずくめの男の服と、赤ゴーレムの仮面を拾った。
服の持ち主は、跡形もなく消滅したのか、脱ぎ捨てて逃げたのかは不明だ。
<マサムネ装備>
武器 戦斧
防具 黒ずくめの装束&マント
赤ゴーレムの仮面
下着 ナッシング
最後にガーディアンゴーレムの残骸を持てるだけ担いた。
「 いっけぇーーーーー 」
マサムネは、地平線の向こう目がけて戦斧を投げる。
戦斧は、勢いよく飛んでいく。
そして、マサムネは、すぐさま駆け出し、助走をつけて投げた斧に飛び乗った。
この移動方法は、昔見たマンガでピンクの服を着た殺し屋から学んだものだ。
マサムネを乗せた斧は、風をきりながらスピードを緩めることなく、進んでいく。
(お、街が見えてきたぞ!)
数百キロほど飛んだ所で街が見えてきた。
「お、レンガ造りの家がたくさんある。人がいるかな? 」
そんなことを考えながら、降り方がわからないことに気づいた。
結局、ユニバースを1周してマサムネは、街の入り口に降り立った。
「おい、そこの怪しい奴、と、止まれ!!」
入り口にいる門番からマサムネは声をかけられた。
森で会った男もそうだが、この世界での言語は問題なく理解できるようだ。
「こんにちは!怪しいものではないです。旅の者です 」
「そんなピチピチの服を着た仮面の男が怪しくないわけないだろ!
いいから身分証を見せろ!」
なんだか声の大きい人だなとマサムネは思ったが、
自分がこの世界では何の身分証明書もないことに気づいた。
「あわあわ、どうしよう、ゴソゴソ」
黒装束のポケットの中から、鳥のような印の徽章が出てきた。
「ちょ、おま、それって魔界九家の徽章じゃないのか?!どこでそれを・・ 」
門番は、本当に驚いているようだった。
驚いた顔が海亀の産卵する時の顔に似ているなあとマサムネは思った。
「これは、森を燃やす男から殺して奪ったものだ。ある意味俺の勲章だな」
マサムネは、今世紀最大のドヤ顔で答えた。
「なるほど、では一緒にきてもらおう 」
マサムネに手錠がはめられた!