第百十三話 次なる相手
「四季騎士が足止めにもならないなんて・・・」
スノウは、後方から闘いを見守っていた。なんとか、マサムネの修行が終えるまで時間を稼げるだろうと踏んでいたのだ。しかし結果は秒殺。やはり選抜の時に顔で決めることは良くないと反省している。
国家存亡の危機にカワイイだけでは乗り越えられないこともあるのだ。
「一瞬のうちに16回も攻撃しているわ・・・一人当たり四発、急所に叩き込んでいる。しかも槍の柄で。手加減までされている・・・」
「ほう・・・あなたも見えていたのですか、ビビ。さすがは選定者・・・どうです?あなたが時間稼ぎをしますか?」
ビビがスノウの提案に応えようとした時、一人のドワーフが声を上げた。
「まて賢者様、ワシに考えがある。ワシとネルヴァで将軍が来るまでの時間を稼ごうぞ」
「ちょ・・・ゾファル、私を勝手に巻き込むな!!」
「よいではないか・・・ワシの剛とお主の静が合わされば、奴の隙を作れるかもしれん、千里弓よ、そこを射抜け!!」
そう言うとゾファルはおもむろに兜を脱ぐ。
ヒゲが濃かったので意表をつかれるカタチになったが、
ゾファル・ノートは、とてつもなくハゲていた。
「これがワシの秘密兵器じゃ!!」
兜はカタチを変え、大きな鉄球へと変化する。
頭がスッポリ入っていた部分は球体になり、角の部分は伸びて、柄と鎖になる。
モーニングスター。中距離攻撃が可能な武器だ。
「あなたハゲだったのね、そっちの方が驚きよ」
ビビのつぶやきが戦場にこだました。