第十一話 旅立ち。
「取り返しのつかないことをしてしまった・・・ 」
マサムネは荒野に佇んでいた。
自分に失望していたのだ。無理もない。
マサムネは森を愛していた。自分を成長させてくれて、優しく包んでくれていたのに。
よりにもよって、大気圏からメテオバーストしてしまったのだ。
恩を仇で返しているようなものだ。
マサムネは泣いた。地球ではめっきり泣いていなかったが、
声を上げて泣いた。悲しみは身体中を巡り、嘔吐もした。
奇跡が起きた。
マサムネからこぼれた涙やゲロがかかった地面から、草が生えてきたのだ。
「こ、これは・・・ 」
解説しよう。
マサムネはユグドラシルの葉を体内にたくさん取り込んで生活をしていた。
つまりマサムネ自身が強力な万能薬になっていたのだ。
マサムネの発するエリクサーは部分的ではあるが、森を蘇らせていった。
エリ草だけに効果は抜群だったのだ!!
そんなことはつゆしらず。
「これは奇跡。森が俺の気持ちに答えてくれたのか・・・
俺の体液ならば、森を治せるかもしれない。
おお、愛する世界樹の森よ。これは俺の気持ちだ!受け取ってくれ」
マサムネは辺り一面にツバを吐き出していった。
森へのお礼に、ツバを吐いた。「森よ、蘇ってくれ」という風には全く見えなかったが、
マサムネは、癒しのツバを吐いたのだ。
太陽が眩しかった。雨が降った後、陽の光が射すと虹が出る。
マサムネが吐いたツバと太陽が、虹を生み出していた。
「今日はなんていい日だ。よし!森が元通りになったら、旅にでよう。
天気がいい日は、お出かけしなきゃ 」
こうしてマサムネは冒険の旅に出る。
自分の足ではなく、戦斧に乗って。
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