第百話 大集合
「なんだって?!トウ・バレンシアが攻めてきただって?!」
マサムネは戦慄した。
1度は完敗した相手だ。まだこれといって闘う術を得ていない。
ネガティブな思考が頭をかけめぐる。
「どうした、マサムネ・・・怖じ気づいたか?」
クラノスケは不敵な笑みを浮かべている。
「ばっかやろう、そんなわけねえやい!」
しかし膝は笑っている。
「ふん、まあ怖いならそこで指をくわえてみていろ」
「お前は、立ち向かうのか?」
「当然だ。俺はロリの騎士だからな。プリシラたんは守らねばならぬ。たとえ、地上最強の地蔵でもな」
クラノスケは最高のドヤ顔を見せた。
マサムネはイラっとはしたが、少しカッコいいとも思った。
「ワッハッハッハ、よくわからん理由だが、そこも将軍らしいな」
声がする方を振り返ると、ドワーフの男が笑っていた。
隣に、幼い獣人の剣士と大柄なリザードマンもいる。
「おまえたち・・・どうしてここに?」
クラノスケは、どうせ俺を助けにきたんだろって顔をしながら、わざとらしく尋ねる。
「はっ、我ら【抜群】戦士3名、クラノスケ将軍救出に参上いたしました。
といっても、無事みたいですね」
幼き獣人剣士ネルヴァ・ミーチェは着任の挨拶をし、
同時に、抜群の3戦士はクラノスケに跪いた。
「・・・数が多いからな・・・正直、助かる。
ゾルファ、トラム、ネルヴァたん・・・イヤ、ネルヴァ・・・感謝する」
クラノスケは跪いている3人に深く頭を下げた。
「ワッハッハッハ、将軍、水くさいですよ。我ら将軍に命を預けた身、派手に暴れましょうや。戦力は他にもいるみたいですしな」
ゾファルが天井を指差すと、どこからともなく轟音が食堂中に響き渡る。
「この音・・・戦艦?!もう攻め込まれたの?!」
ビビは不安そうにマサムネを見つめる。
「ビビ、心配しないで、これは味方よ。賢者が援軍をまわしてくれたみたい。
四季騎士も乗っている筈よ」
ネルヴァは、色々と賢者から伝言を受けていたようだ。
抜群3人の中ではしっかり者と判断されたのだろう。
「そうなのね・・・まあマサムネもいることだし、魔界九家さえ抑えれば勝てそうね」
ビビの何気ない一言で全員の士気が高まる。
先ほどまで全裸で震えていたこの男も。
「そう・・・だな!これで負けたらしかたねえ!やるか!!」
マサムネは持っている斧を掲げ、叫ぶ。
先ほどまで震えていた男はもういない。
女の子に頼られて引き下がるわけにはいかない。
無茶と無謀と言われようとも、男には意地があるのだ。
「よし・・・いく・・・」
「待って、マサムネは行かせない」
誰も彼の存在に気づかなかった。
声がして、その場の全員が彼を見る。
タウ・ミノフスキンがそこにいた。