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俺の伯爵様  作者: 華々
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第一話 卒業!?

一応BLとは書かれてありますが、BLっぽくないBL?読んでからのお楽しみであります。

夕食時になった。

たくさんの生徒がお腹をすかせて食堂にやってくる。

メイドがたくさんの生徒の為に、たくさんの食事を運ぶ中・・・ほら、ちらほらと生徒が歩いてきた。


「お腹空いた〜。」


「ん、腹減った・・・あ、良いにおいがする!」


「この匂いは・・・。」


そこで2人で顔を見合わせ、笑顔で声をはもらせる。


「ローストビーフ!!」


『いやっほう!』と、叫びながら廊下をもうダッシュする2人を、先生が注意するのは目にみえていた・・・・。






×第一章  卒業!?×





大きな食堂でたくさんの先生、生徒が夕食を食べている中、先生に『廊下は走るな!』と注意させられた2人・・・スコットルとボンズはとぼとぼと食堂に入ってきた。

この光景は生徒達にとってかなり見慣れた光景であり、『どうしたの?何かあったの?』と心配そうに声をかける者は1人もおらず、呆れるか、食べ続けるかのどちらかであった。

2人はいつもの指定席に着きドカッと腰を下ろした。


「また、パーム先生に叱られたんだろ?」


「まぁな。」

「そうだよ。」


2人はため息をついて、テーブルの上を見てみるとローストビーフどころか、デザートすら残っていなかった。


「なぁ、ボンズ・・・。俺泣きそうなんだけど。」


「言うな。俺だって泣きたいぐらいだ。」


男2人が肩を抱き合ってさめざめとしていると、その光景を見てクスッと笑い、ジェームズがテーブルの下からローストビーフの乗った皿を取りだした。


「ほら大丈夫だよ、たぶんこんなことだろうと思ってとって置いたんだ。」


スコットルとボンズは顔を突破させ、ジェームズに抱きついた。


「ありがとう!ジェームズ!!」

「心の友よ!!」


「う、うん、でも抱きつくのはやめてくれ。できれば女の子に抱きつかれたい。」


ジェームズは持っていたローストビーフの乗った皿をスコットルに渡し、もう一度テーブルの下からボンズの分を取りだしたが・・・。


「あれ、おかしいな?確かにとったはずなのに?」


ジェームズの分の皿の上にはローストビーフが一切れも乗っていなかった。


「おい!おかしいじゃねぇよっ!お、俺のローストビー・・・」


テーブルの向かい側に座る、3人分の席を陣取っている育ち盛りの青年、ボードは冷や汗をかきながら後ろ向きに座り、何かを食べていた。


「・・・おいボード。お前、何を食べてるんだ?え?」


ボードはカチコチと固まった体を無理矢理90度に回転させた。


「ローストビーフ・・・廊、すっ飛びぃ、ふぅ、みたいな?」


「「「・・・・・。」」」


あたり一面に吹雪にみまわれたが、ボンズの逆鱗にふれ一瞬のうちにサウナ状態と化した。


「ボぉぉぉドぉ!!!」


「ご、ごめんちゃい・・・。」


「こんっのチキン野郎ぉ!!寒いダジャレ言う前にささっと謝れってんだぁぁぁ!!俺のローストビーフ返しやがれぇ!てめぇのその体をローストビーフにしてくれるわぁぁ!!」


ボードに殴りかかりそうになるボンズをジェームズとスコットルが止めに入る。

これもいつも見慣れた光景で生徒達は何の関心も示さなかった。


「ボ、ボンズ。やめろよ。」

「そうだよ。それに言い過ぎだって。ボードも自分の体型のこと気にしてんのに・・・おまけに鶏と牛は違う動物だし・・・。でも、ボンズは豚っぽ・・・」

「ジェームズ!!それ、フォローになってない!ますますボードが落ち込んじゃったぞ!」

「あ、ごめん・・・。」

「ほら、ボンズ俺のローストビーフあげるから。」


「本当かっ!?」


まったく単純なやつである。

こうやってすぐに機嫌がよくなるのも当たり前の日常で、ただ1つ・・・いつもと違ったのはスコットルが先生に、校長室に呼ばれたことだった。


「ミスター・ウィルバルソン、校長先生が呼んでいます。」


スコットル、ボンズ、ジェームズ、ボードはいつものように最後まで食堂に残って、ボンズが食べ終わるのを待っていた。

とっくに他の生徒達は食べ終わって帰っている。


「早く食べろよ、ボンズ〜。」

「早く寮に帰ってボードゲームしょうぜー。」

「え?僕ぅ!?」

「「あぁ〜、お前のことじゃないよ。」」


スコットルとジェームズ、ボードはたわいない話をしながら、ボンズが食べるのを横目にババ抜きをして遊んでいた。

先生が来たのはその時だった。


「校長室ですか?俺、悪いことしました?」


スコットルは悪友同士に囲まれながらも、テストでは首席。

おまけに、たしかによくボンズ達といたずらはするが、校則を破ったことは一度もなかった。


「いえ、悪い話じゃありません。むしろいい話です。」


先生はニコッと笑うと、スコットルと一緒に食堂を出た。

後に残された3人はというと・・・


「「「校長室ぅ〜??」」」


と声をはもらせていた。











スコットルはごくんとつばを飲み込み、校長室のドアをノックした。


「スコットル・ウィルバルソンです。」


「お入り。」


中からくぐもった声が聞こえ、スコットルがドアを開けるとそこには暖炉に座ってソファに深く腰をうずめている校長先生がいた。


「し、失礼します。」


「ほれ、こっちに座ったらどうじゃ?」


「あ、はい。」


スコットルは体をガチガチにさせながら、校長と向かいのソファに腰を下ろした。


「そんなに固くならんでも、よいのに・・・この学校はどうじゃ?」


「え?あ・・・はい。とても楽しく授業をさせてもらっています。これも先生が俺を拾ってくれたおかげです。感謝してます。・・・あの。」


「うん?」


校長のメガネがきらりと光る。


「俺がここに呼ばれたのは・・・いったい。」


「ふむ、実はな・・・スコットル、君はもうこの学校で学べないんじゃよ。」


「え?」


「君は勉強が楽しくて、放課後も先生達に授業をたのんでいたじゃろう?おまけに図書室の本も、教員用の本もすべて。」


「・・・はい。」


ここで校長はため息を漏らした。


「こうなるともう、この学校では教えきれなくてなぁ・・・。じゃから。」


校長先生はテーブル越しにスコットルの頭をなでて、優しい声で言った。


「もう卒業することを許可する。」


このニュースはきっと普通の学生にとってはいい知らせなのだろう。

しかし・・・。

スコットルは思わず立ち上がった。


「待って下さい!俺は、この学校しかいる場所がないんです・・・。卒業するということは寮からでなきゃいけないんでしょ?俺は捨て子だから帰る家がないし・・・、ですから!」


「君はその頭と才能で食っていけるぞ。スコットル。」


「・・・。」


「君は、この学校という檻から出て外の世界を見てきなさい。」


校長の気迫にスコットルは崩れるようにソファに座り込み、頭を縦に振った・・・。






















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