右膝の異常
静香が翌朝、血液の数値を見ると昨日の動揺が尾を引いたせいかマイナスにかなり偏っている。
「しまった…もう、晴美さえ自宅療養してくれていたら…。」
晴美を疎ましく気持ちが生まれてしまって、静香は慌ててサプリメントではなく医師から処方されている薬を飲んだ。
「大丈夫、大丈夫。私は正常。」
そう自分に言い聞かせて体を揺すった。
「いたっ!!」
右膝にビリッとした痛みが走った。
何事かとズボンをまくり上げて見ると手のひらサイズに赤黒く腫れ上がっている。
「なにこれ、気持ち悪い…。病院行かなきゃ…。」
まずは仕事をしないといけないのでパソコンに向かった。
「見た目は酷いようだけど、組織を調べても悪い物じゃなかったよ。知らない内にぶつけたたかしたんだろうね、心配する事はないよ。」
18時に仕事が終わってすぐに外科に駆け込んだが問題ないと言われて胸を撫で下ろした。
「ありがとうございます。何だか気持ち悪い形だったので皮膚ガンか何かかと思って心配したんです。」
「特に薬は要らないけど、痛みがあるようだから痛み止め出しておくね。」
「ありがとうございます。」
「お大事に。」
特に異常はないと言われると何だか慌てて来院した事が少し恥ずかしくなってしまった。
帰宅してからも何もする気が起きず、ベッドに寝転がってぼんやりしていた。