第一話 初めて出会った日(弟篇)
今回は、短編で作った作品の続編に当たります。
・二人で見上げるクリスマスツリー
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・願い事はなに?
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一応、これだけでも、話が分かるようには作ってあります。
短編と若干、話が異なる点がありますが、ご了承ください。
「初めまして、健一くん」
あれは、もう十年も前の事だ。
あの日は父親に連れられ、とあるホテルへと来て。
そのフロントで、僕はある女性と出会った。
何でも、父はその女性と結婚したいと言う事らしい。
「は、初めまして・・・」
その女性が、僕に挨拶をするが。
初めて合う女性に、僕は緊張した返事を返した。
正直言って僕は、父親が再婚することには反対はしない。
物心つく前に母親は死んでしまい。
父は、僕を育てるのに苦労しているのを間近に見ているので。
その事にはついては、賛成している。
ただ、突然の事で。
その女性に対し、特に何の感情も起きないだけだ。
「お母さ〜ん、この子が私の弟になるの?」
と、その女性の後ろから、一人の女の子が出てきた。
「こらっ、挨拶は」
「初めまして〜」
女性が嗜めると。
女の子がピョコンと頭を下げて、父に挨拶をする。
「そうよ、健一くんって言うのよ」
「へえ〜」
続く女性の言葉に。
女の子は、嬉しそうにツインテールを揺らしながら応える。
「私、美緒って言うの。
よろしくね、ケンちゃん!」
「(ニコッ)」
「よ、よろしく〜」
女性の言葉を聞いた後、僕の方を向いて挨拶をする。
女の子は、ピンクのレースが付いたカーディガンに。
花柄のワンピースと言う、可愛らしい服装であった。
女の子は、頭のツインテールを揺らしながら。
目尻が下がった顔を更に緩ませ、笑った顔を僕に向ける。
その笑顔がとてもまぶしくて、つい気が抜けた返事をしてしまった。
思えば、あの時から心を奪われていたのだろう。
*****
「ケンちゃ〜ん!」
「おっと!」
胸に受ける衝撃に、思わず声が出る。
衝撃と言っても、大した事は無いが。
出来るだけ、優しく受け止めなければならない。
「えへへっ〜」
女の子が僕に抱き付きながら、頬ずりをする。
・・・
女の子は僕の姉で、名前は美緒と言う。
姉さんは、ただ単に僕の姉と言うだけでなく。
それ以上の存在である。
ハッキリ言えば、僕は姉さんに姉以上の感情を持っている。
それは口にはこそ出さないが、おそらく姉さんも同じ思いだろう。
しかし、それを口に出すと、この幸せな家庭が壊れるのと。
仮に恋人同士になろうとも、やることは変わることが無いので。
あえて口にはしない。
ただ、Hをしないだけで。
確かに、僕も思春期の男子だから。
姉さんの、膨らんだ胸と細い腰、丸いお尻には思う所はあるものの。
それ以上に、ウッカリ行き着くとこまで行った場合。
悲しい思いをさせて、傷付ける事を恐れる気持ちの方が強い。
それもあり、出会って最初の頃は。
僕は姉さんに、抱き付いて甘えていたけど。
だんだん女性ぼくなる姉さんに、次第に遠慮していった。
だが、僕の背丈が、姉さんと抜くようになった頃から。
逆に、姉さんが僕にくっついて、甘えるようになる。
これを幸いに、僕も昔のように姉さんに再び密着し出したのだが。
しかしそれは、昔とは逆の意味を持つようになっていた。
「(スーーッ・・・、スーーッ・・・)」
「ケンちゃん、気持ち良いよぉ・・・」
僕は、姉さんの背中を撫でる。
昔、僕が姉さんからされたように、姉さんの背中を撫でる。
すると姉さんが、トロける様な声を漏らすのが聞こえた。
「ねえ、今度は頭を撫でて・・・」
「(なでっ・・・、なでっ・・・)」
更なる、ご要望に応えるべく。
望みどおり、今度は姉さんの、ウエーブが掛かった長い髪を撫でる。
「はぁっ・・・」
その僕の手の動きを受けて。
姉さんが、感に耐えないような溜息を漏らした。
「(ぷにっ)」
撫でられている姉さんは、天にも登るような気分なんだろうけど。
撫でている僕の方も、手触りが滑らかで抱き心地が良い。
姉さんを抱いたり、撫でたりするのがとても気持ち良い。
それから二人は、しばらくの間。
お互いに抱き合いながら、相手の感触を味わっていた。
・・・
この様に、僕たち姉弟は。
まるでイチャつくカップルの様な事を、日常的にごく普通に行っていたのである