メイドVS右腕
「そんなにすぐ決めちゃったんですか!?」
朝から、リリアのすっとんきょうな声。
「そんなに驚かなくっても…」
ティアリスも思わず苦笑いだ。
「だって、右腕って、よっぽど信頼出来る人をつけないといけないんですよ?
出会って30分足らずで、なんで決めちゃったんです!?」
ティアリスの髪をとかしながら、リリアはやはり、興味津々だった。
二人が話していたのは、右腕 つまり、ランスのことについてだった。
「う~ん、まぁ、直感的にランスならいいかなー、、、と。」
なぜ、彼を選んだのか…と、聞かれても、答えようがない。何となく、彼なら任せられる、、そう思ったからだ。
「ティアリス様がそれでいいならいいですけど… ほんとに大丈夫なんですか?そのランスっていう人…」
ランスが来た時、リリアはその場に居合わせていなかった。
それが、リリアの不安を掻き立てているらしい…
ランスがいればわかると思うんだけどなぁ~
ティアリスがそう思ったとき、
「僕になんか用ー?」
突然、ランスが現れた。
魔法で転移してきたのであろう。
「ふわぁっ!!どなたですの!?」
と、大きくのけぞるリリア。
「あら、ランス!」
と、ちょうど良かったと言わんばかりのティアリス。
「よォ、姫さん! 話は大体聞いてたぞ、おい、そこのメイド!僕のことそんなに気に食わない?」
ニヤリと笑ったランスは、いたずらっ子そのものだった。
「当たり前です!!淑女の部屋に、しかも姫様の部屋に、無断で入ってくる大馬鹿者が信用出来るわけないでしょう!」
リリアも負けていない。
ごもっともな正論だ。
しかし、当のランスは、何にも気にしていない様子だった。
「まぁ、メイドの言うことなんて、どうでもいいけど。じゃあね、姫さん。」
チュッ
ティアリスの右手をとって、軽く口ずけをして、ランスは去っていった。
風のように現れ、風のように去っていくランスは、まさに魔法団第一部隊隊長にふさわしいものだった。
「あんな男、ティアリス様の右腕に相応しくないと思います!ダメ!絶対!!」
しかし、メイドと右腕の中は険悪だった。
ティアリスは、苦笑いするしかなかった。




