行きたくないけど…?
ひらっひらできらきらのゴテゴテのドレス…
それは、ティアリスが最も嫌いなドレスだ。
しかし、彼女の前にあるものは…
「ねー、リリアぁ~」
「はい?なんでごさいましょう?」
「このドレス、なんとかならないのぉぉぉ~」
まさしくひらっひらできらきらのゴテゴテのドレスだった。唯一の救いは白という落ち着いた色であることくらい。ティアリスはさらに憂鬱に…
「ホントに、こんなの着るの?」
爪の手入れのされながら、リリアに訪ねる
「申し訳ございませんが… 今日はかなり多くのお客様たちがいらっしゃいますし… 貴族ではない方も多いので、姫だとひと目でわかるものがよろしいと、王妃様が…」
申し訳なさそうに言うリリアを見て、ティアリスは諦めた。
王妃である母の言うことは絶対なのだ。
今日は諦めるしかない。
ティアリスはため息をついた。
ハーフアップにされた白銀の髪に大きな赤い瞳、キラキラしたドレスをまとったティアリスは、とても美しかった…
ふてくされた顔をしていた、が…
「そんなお顔なさらないでください。せっかくの美しさが台無しでございますよ?」
「うぅぅぅ…だってぇぇぇ」
駄々っ子のようなティアリスを見て、リリアは苦笑していた。
「あぁ、そう言えば、」
「?」
「今日のパーティーでは、美味しいケーキや、紅茶が振る舞われるそうですよ?」
リリアが言うと、ティアリスの顔には花が咲いたような笑顔が…
「よし!行ってきます!」
即答するティアリスにまたも苦笑するリリアだった…