魔法が効かない!?
「んん~」
大きく伸びをして目覚める。
(あれ…?ここどこ?)
思考が一瞬止まる。そして思い出した。
まだ、閉じ込められていることに。
(どのくらい眠ったんだろう…)
殺風景な部屋からは何も感じられない。外の音すら聞こえない。このままだったらどうしよう…
不安が渦巻く。
(はぁ…ついてない…)
と、思ったその時、
「あっ!」
ティアリスは忘れていたことを思い出した。
魔法だ。彼女はとても高い魔力持ちなので、扉をぶっ壊す、、、いや、ちょっと壊すくらい余裕なのだ。
全身に力を込める。大掛かりな魔法は久しぶりなので、ゆっくりと。体に流れる魔力が心地よい…
そろそろいいだろうか…
「ええぃ!!!!!」
みしり…
「……そんなぁ!」
扉は少し音を立てただけで、ビクともしない。
強力な守備魔法がかかっているようだ。
ティアリスは、扉が開かなかった絶望感よりも、自慢の魔法の力が足りなかったことの方がショックだった。
「あぁー、、、今度こそほんとーにどうしよう…」
結構ぐっすり眠っていたから、今頃みんな心配してるに違いない……ふわぁ…なんか、、、だんだん眠くなってきた…
ティアリスはこんなことを考えながら再び眠りについた。
閉じ込められてから、約2時間後のことである。
一方その頃、帰りの遅いティアリスのことを心配していたリリアは、彼女を探しに、騎士達とパーティの会場まで足を運ぼうとしていた。