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食べたい…
ティアリスは目の前にあるスイーツたちに目を輝かせた。
(はぁ~ どれもおいしそぉーーー!!)
が、、、、
如何せん、ティアリスの周りには彼女の美しさに見とれた者達が群がっている。
スイーツを手にすることすら出来ない状況だ。
「ご機嫌麗しゅうございます。私は…」
「ティアリス様は何とお美しい…」
「この度は私どもの…」
…
うんざり
こんな挨拶をするぐらいなら、早くスイーツが食べたいのにぃッ!
と、思いながらも扇子で顔の半分ほどを覆い
微笑を浮かべなくてはならない。それが、淑女としてのマナーだからだ。
しかも、このパーティーにいる者達は、僅かながらも魔力を持つものが多い。
魔力持ちには、何をされるか分からないので、そっといい人ぶるしかないのだ。
(あぁっ!そのタルト、ラスト1個なのに!!)
(ああっ!あのワッフル!もうちょっとしかない!)
ティアリスの心の中の叫びは玉座に座って、魔法により、彼女のことを見ていたシュウスティア以外、誰も知らないのだった。