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第二章 第六話 翼と剣が交差する先 

 レンの優しい抱擁から逃げ出してきた私は、車庫兼研究室に向かった。

 ここは、十二歳以下の子供は立ち入り禁止になってるの。だから、私は孤児のみんなをレンに任せて、私はこの部屋の中に入っていく。

 レンの困る顔が、少し可愛かったかもしれない。

 まあ、それくらいは別にいいよね? 私にちょっかいをかけたんだもの。

 重く閉ざされた、鉛でできている扉の前で私はポケットに手を入れ、IDカードを取り出した。

 これは私が、神聖グローバレー帝国軍第三軍区所属である証。私たち『ルインズ』には、義母であるクロエ中将の直属である黒色。

 普通のIDカードは白色なんだけど、将軍直轄部隊や皇帝騎士直属部隊にはそれぞれ『色』の違うIDカードになるの。『ルインズ』は黒、『ヴァルキュリア隊』は青色らしいよ。

 私はその黒色IDカードを扉の横にある認証機で認証させる。その後に指紋照合を行うと、重々しい扉は解き放たれた。

 私は、その奥に向かって歩き出した。

 カツン、カツン。と、靴が地面を打つ音が響く。

 しばらくして、もう一つの扉にたどり着く。

 私はそこを空け放った。

 ――刹那、空気が変化した。

 重苦しかった今までの通路とは違い、そこには活気にあふれた人々の姿。

 殆どが、初めて見る顔。少なくとも『ルインズ』の人じゃない。私より年上に見える人が何人も居るからね。

 恐らく、クロエさんが本国から強制的に引っこ抜いてきた技術者なんだろう。

 ……多分、強制だと思う。あの人の唯我独尊っぷりは天下一品だし。けど、なんであれほど皆楽しそうなんだろう?

「……あ、お姉ちゃん。やっと来た」

 ふと、横からユリアが声をかけてきた。振り向いてみると、いつものレースに身を包んだホワイトなゴシック服ではなく、灰色ツナギの作業服を着ていた。手には幾つもの巻かれた紙。

「ユリア。完成した『WING』はどこ?」

 私の質問に、ユリアはため息をついた。む? 私、呆れられるようなこと言ったかなあ?

「今B6実験室で最終点検中。それが終わったら、お姉ちゃんとの同調シンクロ調整」

「それじゃ、もう……」

「もうすぐ。乗ることができるよ」

 私はさりげなくガッツポーズ。『WING』は私の『絶対者アーケイン・システム』である『戦闘許可者』との同調を前提に設計された、私専用のミスリルアーマー。これから私の半身となるだろうその機体つるぎが、完成して嬉しくないわけが無いじゃない。

『アーリースーッ! 着ているんでしょー! 同調調整するから、B6実験室で待っているよ、さっさと着なさい! 以上!』

 放送でクロエさんが私を呼び出してる。……流石にこの年になって放送で呼び出されるとは思わなかった。かなりの恥ずかしさだよ。全く……。

「それじゃ、お姉ちゃん。私は遠距離用武装の最終点検にいくから」

「うん。また後でね」

 ユリアは踵を返し、テクテクと歩き始めた。大きい声で「第三班の人間は準備につきなさい!」と言い放った。なんで技術者になるとあんなに大きい声を出せるんでしょうね? ルインズ七不思議の一つかも。

 そんなことはさておき。

「さて、私も行かなきゃね」

 それだけ言うと、私は駆け出した。

 

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