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カイカンなんです ~詐欺を働いてしまいました~

いつもお読み頂きましてありがとうございます。

 ついつい、悪い笑いが口元にあがってきてしまう。


ーーーお父さま。イヤミを言うのってこんなにも快感なんですね。


 フラウは本当に変わります。


 良い子で居ても幸せになれないのなら、したたかになって幸せを掴み取ります。










「あれがスランプの原因となった自殺騒ぎを引き起こしたリュウキの姪か。なるほど、なかなかの美人だ。リュウキがせっせと磨き上げただけのことはあるな。」


 あの女が去って行くと今まで黙っていたシセイさんがそんな感想を呟く。


「仕方が無いだろ。サキが小さいころから、俺にベッタリだったんだ。」


 小さい女の子はオマセだから手近に居る男性を好きになるよね。それがこんなにいい男だったら、ベタ惚れもいいところなのはわかる。


 私もお父さまにそうだったから。


「それだけじゃないよね。お姫様のように扱っていたって聞いているよ。どんなワガママでも聞いてあげてベタベタに甘やかしていたんだって?」


 うんうん。お父さまも、いっぱい私を愛してくれた。それは男女の愛情とは全く別のものだったけど、小さいときにはわからなかったわ。


「そんなの誰でもやっていることだろ。それに大きくなってば叔父と姪が結婚出来ないと気付いたら、自然と離れて行くと思ったんだ。只の女なら振って終わりだけど、肉親では逃げようが無いんだよ。」


 私がお父さまに男性として好きだと告げていれば捨てられていたのかな。


 その前にオーディンとの婚約の話が出て、告げることはなかったけど。


「でも、あんな性格になったのはリュウキの所為だよね。こちらの世界では血が繋がってないんだからいいじゃん。抱いてあげなよ。1回でも抱いてあげれば、なんとしてでも元の世界に戻りたくなるって。」


 やっぱり、シセイさんは無責任だ。そんな簡単な問題じゃないよね。


「そうかなあ。・・・やっぱり無理だ。」


「やっぱり、神主の息子じゃあ無理か。サキちゃんも神社の跡継ぎの婿養子を取ることを迫られていたんだろ。そりゃあ、ヤケになって自殺もするさ。」


「なんだよ。さっきからやけに詳しいな。俺、シセイにそんな話をした覚えがないぞ。」


「そりゃあそうだろ。姉ちゃんから聞いたんだもん。リュウキは姉ちゃんに頼り過ぎ。」


「シセイさんのお姉さんというのは・・・。」


 半分も話がわからないってのに思わず口を挟んでしまう。


 だって、ここには私も居るのに無視されているようで悲しくなってきたんだもの。


「姉ちゃんは漫画の編集ってわかるかな。ええっと、リュウキが描いた漫画を売り物にする人だよ。」


「そう季実子きみこさんあっての俺だからな。」


「そう思うんだったら。姉ちゃんの負担を減らしてやってくれよ。リュウキがトラブル起こす度に走り回って苦労するのは姉ちゃんなんだからさ。愚痴を聴かされるのもたまったもんじゃないんだぞ。リュウキの私生活なんか聞きたくもなかったさ。」


「すまん。本当にすまん。」


「しかし、リュウキがフラウを恋人にするとはなあ。意外だったよ。純情なタイプって苦手じゃなかったか? フラウって、どう見ても遊びで付き合える人間じゃあないよね。」


「私、そういうの止めたんです。それで痛い目にあったから・・・。」


「へえ。それでもいいんじゃないかな。リュウキも女遊びばかりじゃなくて、女に惚れて尽くすほうが幸せになれるぞ。リュウキの周りの女が悪かったんだよな。知り合いの女も紹介してくれたら、20万円出すと言っていたもんな。リュウキも金で買われたことがあるんじゃないか?」


「無いよ。そんな女は願い下げだよ。」


 ええっ。


 男が女を買うものだと思っていたけど異世界では、女が男を買うこともあるんだ。


 まあリュウキさんがそれだけいい男だってことなんだろうけど・・・。


 それなのに私ったら、自分の身体を押し売りした挙げ句、お金を要求するなんて・・・ほとんど詐欺みたいなものじゃない。




















 助かったっ。


 私の正体が『聖霊の滴』であることが誰にもバレていないらしい。


 あの場で暴かれなかったから、いつバレるいつバレるかとビクビクした日々を送っていたのだ。ヴァディス王国でしゃべらなかったのは利用されたら困るという意味ならわかるが、何故かヴィオ国でもしゃべっていないようである。


 これからもバラされる危険性が残っているから、いつでも逃げれる用意はしているけどね。


 リュウキさんたちは、城でひたすら訓練する日々を送っている。


 私も1日だけ一緒に訓練を受けてみたのだが、ものの1時間ほどでへたばってしまった。それでも女性にしてはよく持ったほうだと誉めてもらった。


 あとはひたすら魔法書や過去に来た勇者たちが残していったという本を読んでいる。


 それによると『箱』とよばれる物をしまっておくスキルや異世界の言葉を読み書きできる『翻訳』スキル、名前や情報を引き出せる『鑑定』というスキルが全員に与えられていることがわかった。


 危なかった。一度シセイさんに『鑑定』スキルを使ってもいいかと聞かれたことがあったのだ。なんとなく、そのときは言葉のニュアンスに覗くという雰囲気があったので拒否したのだが、リュウキさんだったら見せてしまい。その場でバレてしまうところだった。


 早急に覚えなくてはならないのは、この3つのスキルを代用する魔法だ。『翻訳』スキルは後回しにしたが後の2つを、リュウキさんたちが魔物の討伐に行くまでになんとか覚えることができた。


 魔法書では『鑑定』魔法という名前で種族や名前、年齢、職業、生命力や魔力、称号などが見れるとあり、『マジックボックス』魔法は袋の中に魔力に比例した量の物が入れられるらしい。


 自分を見てみたところ、意外にも種族は人族だったが、称号に『聖霊の滴』と書いてあり焦った。


 さらにエミリー王女を見てみたところ、種族が亜人(混血43/256)とあって驚いた。手近な人たちに対して『鑑定』魔法を使ってみたが、誰一人として人族と出ている人間が居なかった。


 とりあえず、見なかったことにする。こんなことがバレたら大パニックだ。

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