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マモノを倒すのがお仕事です ~それは私の責任です~

お読み頂きましてありがとうございます。

「魔物を操る国ですか。」


 馬車へ行く道のりもエミリー王女から勇者召喚した理由が告げられていく。


「そうなんです。この国の山岳部にゴブリンとかオークが巣を作っているのですが、隣国が侵略を仕掛けてくるのと時を同じくして襲撃を繰り返して来たんですよ。その時は何とか撃退出来し、休戦に持ち込めたのですが、魔物の巣に戦力を送ることが出来なくなりました。」


 エミリー王女の言っていることはヴァディス王国からの一方的な見方でしょうけど、一面正しいのかもしれない。


 当時聖霊教会でお父さまのお手伝いだった私はどういう経緯で戦争が始まったのか知らないがお父さまが酷く嘆いていたことから、きっと下らない理由だったに違いない。


 戦争末期、私が参戦してからは首都陥落が目前の状況からヴィオ国が押し返しつつあった。元の国境線付近まで来たときにはヴァディス王国は5割の戦力を失っていた。


 このままでは逆に侵略を許してしまうと思ったのだろう。山岳部を守っていた辺境泊軍を国境線防衛に回してきたみたい。ヴィオ国は攻めるに攻められず、戦局は膠着状態になった。


 だが、残った辺境泊軍だけではゴブリンやオークの間引きができず、ゴブリンやオークが膨れ上がり襲撃を許してしまうことになった。当時、ヴィオ国もヴァディス王国を攻め落し占領するだけの戦力を持っていなかったため休戦協定が結ばれたということだった。


 そもそも両国は国の成り立ちが違うヴァディス王国は生粋の人族の国であり、亜人は無条件で奴隷であり、亜人の子供を産めば母子共々死刑が待っている。それに対してヴィオ国は王族こそ人族の血が濃いが基本的に亜人と亜人との混血の国である。


 ヴィオ国もオークやゴブリンと言った被害を出す魔物こそ討伐対象だが意志疎通が可能な魔物とは話し合いで物事を進めようとする。そういったところから、魔物を操ると言っているのだろう。


 だけど、両国の混血具合は大差なさそうとお父さまが仰っていたことがあった。実際にはヴァディス王国の国民は獣相が無いだけなのだそうだ。それが証拠にヴァディス王国の重鎮に獣相のある子供が産まれて密かに亡命してくることがあるらしい。


「俺たちに魔物を殲滅して欲しいのですか?」


「ええ、勇者さまたちが人族同士の戦いへの助力を嫌がることはわかっております。勇者さまを召喚した理由はそんなところです。あとフラウさまにお願いしたいのですが、魔法の使い方を伝授して頂きますでしょうか。」


 拙い。やはり、ヴァディス王国は再度の侵略を計画している。ヴィオ国に私がいない現状でも、かなり分が悪い戦いになるだろうにさらにヴァディス王国に魔法を使える人間が戦争に参加したならば一方的なものになってしまう。


 私はオーディンが嫌いだが、ヴィオ国の国民が戦争の犠牲になるのも嫌。どうすればいいの?


「俺たちを召喚したならばエミリー王女は魔法を使えるわけですよね。貴女が教えればいいでしょう。それに俺たちの魔法は神さまから授かったスキルを元にしているから、貴女たちは使えないと思います。」


 そうだった。術式に魔力を投入したことを知っているのは私ひとり。リュウキさんたちはエミリー王女が召喚者だと認識してるだった。


「そ、そうなんです。私も人に教えることを苦手としていますので、上手く言葉に出来ないと思います。」


 リュウキさんの言葉尻に乗る形で教えられないと否定する。


「それでは王室に伝わる魔法書を読んで頂き、使って見せて頂くというのは如何でしょう。私も術式を使った魔法しかできないものですから、『ファイア』や『ウォーター』といった属性魔法を使ってみたいんです。」


 エミリー王女は食い下がる。だが魔力の出し方もわからない人間が魔法を見ただけで使えるようになるとは思えない。それに魔法書には私の知らない魔法も載っている可能性があるし、『治癒』魔法や『転移』魔法が載っていれば、突然できるようになったという言い訳よりはまだマシなはずである。


「その魔法書にはどういったものが載っているのですか?」


「はい。術式の読み方などの基礎編、属性魔法の『火の章』『水の章』『風の章』『雷の章』がそれぞれ3巻あります。」


「聖魔法というものは?」


「それはありません。『治癒』魔法と『転移』魔法を含み、どんな魔法があるかといった本があるくらいです。」


 聖魔法に関する記述は無いらしい。がっかり。だか術式の読み方は是非読んでおきたい。


「わかりました。使ってみせるだけならば引き受けます。」


 今は無理でも将来的にはリュウキさんたちには、元の世界に帰って貰わなければいけない。そのためには送還の術式を探し出す。


ーーーお父さま。それが召喚の術式に魔力を投入してしまった私の責任ですよね。

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