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ハダカでイチャイチャしました ~我が儘なんです~

お読み頂きましてありがとうございます。

「すみません姐さん。レイティア姐さん。緊急事態です!」


 『緊急事態』って言葉に身体と頭が反応してゆっくりと覚醒してくる。


「もうっ。フラウちゃんが起きちゃったじゃない。」


 レイティアさんと裸で抱き合った形で目が覚めた。視線を上にあげるとレイティアさんの優しい顔があった。起きていたらしい。


「私・・・どれくらい寝てました?」


 私って、意外と図太いのね。ゴブリンが入り込んだというのに放置してぐーすか寝られるなんて思わなかったわ。


「3時間くらいよ。うちの若い衆が煩くしてごめんなさいね。」


 私は部屋の外に男の人が待っていることを思い出して慌てて服を身につける。


 それを見ていたレイティアさんは浴衣を軽く羽織り、部屋の扉を開けた。


「姐さん。お楽しみ中、申し訳ありません。ゴブリンたちが娼婦たちを連れて逃走中です。フラウさまの出陣をお願い申し上げたいのですが、よろしいでしょうか?」


「あのねえ。それじゃあ、私がフラウちゃんを押し倒してイケナイことをしているみたいじゃない。」


 レイティアさんのあけすけな物言いに思わず、顔が火照ってくる。


「そんな可愛い方を抱き締めて楽しんで無いというのですかい。どうせ寝顔も楽しんでいたのでしょう。」


「よくわかっているじゃない。だったら邪魔するんじゃ無いよ。全く。誰だよ。こんな時に外出したアホな娼婦は?」


 レイティアさんは一瞬、言葉に詰まる。だけどすぐに開き直って言い返している。本当に楽しんでいたらしい。


「へい。ジーナ嬢でさ。一応、お止めしたのですが姐さんの命令には従わないそうです。」


 ジーナさんと言えば、店主さんの一番のお気に入りだったよね。私の仕事(マッサージ)も何かにつけ邪魔されて・・・困った人だった。


「それでゴブリンに拐かされていちゃあ、どうしようもないね。それで店主がここに居るのか。それでもう一人は?」


「それが・・・オーディンでさ。」


 意外な人間の名前が出てきた。確かにヴィオ国の王族だから、混血度も際立って人族に近いんだった。


「店主。さては警備料をケチったね。男でも、この界隈の人間は攫われ易いんだって言っただろう。男娼だからって甘く見たら困ったことになるぞって。」


 店主さんは裏の旧館の警備料を払わずに、独自に警備員も置かなかったらしい。


「仕方が無いじゃないか。いくらキレイな男でも、ゴブリンに男が攫われるなんて思いもしなかったんだ。それよりもジーナを助けてやってくれないか。お願いこの通りだ。」


 意外にも店主さんが土下座して頼み込んできた。ジーナさんのことを大切に思っているらしい。


「フラウちゃん。悪いことは言わないから、今回は止めておきなよ。今回の件はどう考えても娼館主側が悪い。親分衆も今回の件に関しては知らないね。薄情かも知れないが、ジーナよりもフラウちゃんやうちの若い衆の命の方が大切だから。」


 その言葉に心が熱くなる。それでも、ここは私が行くより方法が無い。


「いえ行きます。出来るだけ、親分衆の方々の手は借りないように誘導します。」


 魔法を威嚇のために使えばなんとか誘導できるだろう。サキさんみたいに無限に魔法が使える訳じゃないのがツラいところだけど、このところの戦いで魔力も何倍にも増えているから、なんとかなるだろう。


「やっぱり行くのか。オーディンとかいう男の所為か?」


「違いますよ。何度もいいますけど、あんな男どうでもいいです。私は私の知っている女性が犠牲になることだけは我慢出来ないんです。」


 例え相手が私のことが嫌いでもそんなことはどうでもいいこと。私の単なる我が儘だ。


「わかったよ。うちの若い衆も使ってやってくれ。私はフラウちゃんが危険な目に遭うことが一番嫌なのよ。我慢出来ないのよ。それがフラウちゃんの意志でもね。」


 レイティアさんはそう言って頭を下げた。有無を言わせないつもりのようだ。


「わかりました。喜んでお借りします。」


ーーーお父さま。私にとって単なる我が儘でも、相手にとっては我慢出来ないことらしいです。

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