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エッチはとても大切なんです ~ゴブリンもエッチが好きらしい~

お読み頂きましてありがとうございます。

「臭いとは聞いていたが本当に臭いな。」


 臭い臭い言っているのはシセイさんだ。言っても悪臭が減るわけじゃ無いんだから言わなければいいのに。


「ああ身体に悪臭が染み付きそうだぜ。」


 普段は我慢強いリュウキさんもこの悪臭には辟易しているようである。


「俺もサキちゃんみたいに残れば良かった。」


 我慢強く無いサキさんは作戦にさえ参加していない。


 私たちはあるゴブリンの巣に訪れている。


 斥候隊の調査ではここに捕らえられている人が居たという話だった。そこで『転移』魔法が使える私たちで救出作戦を敢行中なのだ。


 もしかするとその人から何故ゴブリンが増えたかという貴重な情報がわかるかも知れないし、戦闘に入れば助ける余裕も無くなるからである。


 こういった捕らえられている人たちがいるゴブリンの巣が沢山あるらしい。


「本当にこんなところに人がいるのかよ。俺だったら、この悪臭で頭が狂いそうだよ。あれっ。フラウちゃんは臭く無さそう。どうして?」


「これくらい普通ですよ。田舎の村なら肥溜めもありますし、お風呂なんて設備がついている家は村長さんくらいのものですよ。」


 もちろん、祠にも風呂なんてついているわけが無い。マッサージの為に訪れる村でもらったお湯で身体を拭くのが一番の贅沢だった。それでも私はまだマシなほう、祠の奥で『ウォーター』魔法で水浴びが出来たからね。


 そういえば、レイティアさんのお宅はお風呂があって、何ヶ月もお風呂に入って無いというと見かねた彼女が特別に入れてくれたことを思い出した。


 魔法書に身体を綺麗にする『洗浄』魔法を見つけたときは真っ先に習得したもの。


「さては何か魔法を使って・・・やっぱりね。フラウちゃんの周りだけ風の流れがちがうもの。ズルいぞ。」


 バレちゃった。


「これはぬかるんだ地面を歩きたくなかったから、『フライ』魔法で浮いているのよ。じゃあ、上空から人が居ないか確認してくるわね。」


 私はあらかじめ用意してあった言い訳を喋って、空に上がっていく。


 斥候隊が調べたところによるとゴブリンたちはこの時間帯は森の中に採集に行くらしい。残っているのは子供のゴブリンだけだという。


 ゴブリンの巣っていうから、洞穴のようなところかと勝手に想像していたんだけど。とんでもない、中央には立派な家が建っていたり、壁が無い屋根だけの建物があったりと結構文化的な生活が伺いしれる。


 これで農機具とか畑とかあれば、田舎の村々と大きく違わないのではないかと思えるほどである。言い過ぎかな。


 人を監禁できるところといえば、中央にある家くらいである。中央には3軒ほどの家が建っており、そこから何かが飛び出してきた。子供のゴブリンである。


 醜悪な面構えはそのままにスケールが小さくなっただけの存在。ああよかった。これが幼いときには亜人と変わらないのであれば向かってきたとしても戦えないところだった。


 まあ子供のゴブリンを殺せるかと言われれば疑問を感じざるを得ないだろうけれど、少なくともそのときに目を背けるだけですみそうだった。


 そこへ子供のゴブリンを追いかけて、何かが飛び出してきた。


 人?


 人だよね。獣相は無いけど『鑑定』魔法では亜人となっている。


 エミリーよりも混血具合は人族に近いみたい。


 でもそこに居たのは男性だった。


 想定と違う。


 救出作戦の対象はゴブリンに誘拐された女性を想定していた。


 何故、ここに男性が居るのだろう?


「なんだお前は、どこから入ってきやがった!」


 ヤバい見つかってしまった。まあ上空を飛んでいるだけなんだから、見上げれば見つかってしまうのは仕方がないけど。


「すみません。貴方は人族ですよね。ここに誘拐されてきたのではないのですか?」


 いつでも逃げ出せるように距離をとって地上に降り立つ。


「ああ、それで間違ってはいないぞ。」


「じゃあ。何故逃げ出さないんですか? 見たところ拘束されていませんよね。」


 別に足に鎖が付けられているわけでも、檻の中に入っているわけでもない。


 このゴブリンの巣は一番端っこにあり、簡易砦から2時間、1日中歩き続ければどこかの村にはたどり着けそうなところにある。


 もしかして場所がわからないのだろうか。


「なんで逃げ出さなきゃいけないんだ?」


「何故って・・・なんだろう。じゃあオジさんはここで何をしているんですか? 生き別れになった家族とか居ないんですか?」


「何って・・・今は子供のお守りだな。あとは交配かな。俗説通り、ゴブリンに誘拐されてエッチをさせられているよ。」


「ええっ。オジさんがゴブリンのメスとエッチしているんですか? 見た目醜悪ですよねメスでも・・・嫌じゃないんですか?」


「醜悪さなら村に置いてきたカカアと大差ないぞ。カカア相手じゃあ、エッチするにも1ヶ月に1度拝み倒してやっとさせてくれる。それがコッチじゃあ、よりどりみどりだし働かなくても食わしてくれるから、帰りたくなくなっちまったんだよ。」


ーーーお父さま。本当にエッチは大切なんですね。


 あんまり、お預けをしてばかりいると大変なことになるのですね。

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