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ネトリ女の選択 ~奥の手が残されていたようです~

お読み頂きましてありがとうございます。

「それでねエミリー。召喚の術式に魔力を投入したのは私なの。」


 祠にエミリーたちがやってきた辺りの話に進んだ。


「やっぱりね。そんなことだと思ったわよ。」


 ショックを受けるだろうなと思って心配していたのにケロっとした顔のエミリーが居た。


「ショックじゃないの?」


「魔法を使う才能が無いのはわかっていたからね。それにシセイたちを元の世界に戻してあげれるというだけで安心したわ。あの術式を読んで帰す方法はわかっていたから、帰れるとシセイに答えたけど。もしかして偶然動いただけかもしれないと悩んでいたのよ。」


 ショックじゃないと言われた私のほうがショック。『聖霊の滴』としての私をヴァディス王国の王族たちが好意的だったのもショック。


 いったい、何のために今まで隠し続けてきたの?


「始めから正直に話すべきだったのね。」


「それは・・・ダメね。あの場で打ち明けられていたら、戦いになっていたわ。」


 もっと早く打ち明けていれば、エミリーもシセイさんの浮気を知らずに居られたはずよね。


「でも、シセイさんに恋する幸せそうなエミリーを見て嫉妬にかられて浮気現場を見つけてしまった。」


「へえ。フラウってシセイのこと好きなの。リュウキさんのことも好きだよね。」


「うん多情な女なの。嫉妬深い女なの。自分勝手な女なのよ。」


「ふふっ。フラウが多情な女だったら、世の中の女は全てそうよ。それにシセイをフラウに取られるようなら、私に魅力が無いってことだわ。それにね、あの場所には私が連れて行ったの。フラウったら、物凄く挙動不審なんだもの。」


「ええっ。そうなの。私がエミリーたちの仲を裂いたんじゃないの?」


 あんなに悩んだのに、それは無い。


「そうよ。あれから一緒に街を出歩いても挙動不審さが無くなったから、全ての女を整理したんだなってわかったのよ。」


「そんなにも挙動不審だったのね。」


「それにしても『聖霊の滴』も普通の女なのね。怒りもすれば悲しみもするし嫉妬までするんだもの。」


「当たり前じゃない。どんなふうに思っていたのよ。」


「だって怪我を負わせた兵士が1時間もしないうちに戦場に現れるのよ。余程の冷血じゃなきゃ、送り出せないと思ったわ。きっとそういう感情が芽生えてなかっただけなのね。」


 そうだよね。また怪我するかもとか、今度は死んでしまうかもとか逃げ腰の兵士も居たけど、ギリギリの数で回していたから無理やり送り出していた。戦場ではそんなことまで気が回らなかったわ。


 まあ不死身になったつもりで、特攻をかけるやつも居たみたいだけど。戦っている相手だったら、怖かっただろうな。


「それはそうかも。」


「それだけシセイやリュウキさんが魅力的だったということね。別れて正解だったのよ。オーディンとかいう王子と。今ごろ悔しがっているわよ。」


 聞きたく無くても、レイティアさんのところへ行くと聞かされるのよね。元気に働いているらしい。当初、心配していたような自ら死を選ぶようなことにはなっていないらしい。


 人間、生きて行こうと思ったらどこでも生きていけるのね。生まれが高貴でも関係ないらしい。


「それよりも、その王子を寝取ったという女がこの場に居るのかがわからないわ。いくらなんでも、心が広すぎるわよ。私だったら、ぶち殺しているわね。リュウキさんは精神だけ姪という女とフラウとどちらが大切なの?」


「私よね。そんなの私に決まっているじゃない。ねえ、そうよね。そうと言ってよ。」


 リュウキさんは困ったようにサキさんと私を見ている。


「フラウだな。サキの言う通り、その身体はよく似ている他人だ。だから肉親の情さえ無い。元の世界で戻れば、どうなるかわからないけど。この世界ではフラウを愛している。それこそシセイに嫉妬するほど好きだ。」


 サキさんはその場に崩れ落ちた。


「お前さあ。死んでコンティニューしなければ、元の世界に戻れるんじゃねえの? それとも、俺たちが居なくなったあとの世界で一生を過ごすのか? 『セーブポイントに戻る』を使って他人よりも早く老けていくのか?」


「もうほっといてよ。」


「ああそうか。その身体で俺らの世界に『送還』して貰うつもりだったのか。リュウキの好感度が上げられなくて残念だったな。」


ーーーお父さま。サキさんには奥の手が残されていたようです。


 彼女はいったいどういう選択をするのでしょうか?

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