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ネトリ女から奪ったようです ~旦過を切られました~

お読み頂きましてありがとうございます。

ーーーお父さま。シセイさんよりもリュウキさんのほうがよそよそしいです。


 シセイさんは話していないと言っていますが正体がバレたのでしょうか?


 それともシセイさんを好きだとバレたのでしょうか?


 まだまだ、覚悟が足らないようです。








「リュウキらしくないぞ。いつもなら恋愛を満喫しているはずだろう。フラウちゃんと1回もデートらしいデートをしていないなんて、いったいどういうつもりなんだ。」


 シセイさんの私と同じように感じたのか。リュウキさんに聞いてくれている。


「いや今は訓練に励むべきだと思っているんだ。」


「本当に訓練しているのか? この1ヵ月間午後は訓練に費やしているんだが、1日も会わないじゃないか。教官に聞いても午前中も2日に1回のペースだというし、サキちゃんと良く出掛けているという話も聞く。」


 最近ははぐれゴブリンも居ないとかで討伐任務も無い。本格的にゴブリンの巣を討伐するために斥候隊を出しているらしい。


 シセイさんは私の正体を知ってからというもの何か思うところがあったのか。真面目に訓練を行うようになった。


「姪なんだから一緒にお出かけくらいするさ。」


「さてはフラグを立てられたな。」


「そうよ。乙女ゲームのフラグなんて、案外簡単なところにあるものよ。邪魔をしないで頂戴。」


 サキさんが現れた。この女、今度は私からリュウキさんを取り上げるつもりらしい。


「本当かよリュウキ言っていたじゃないか。姪なんだから欲情しないって、それに神職の家族が近親婚なんかできると思っているのか。」


「いいんだよ。日本神話なんて近親婚だらけだし、この世界では近親婚は普通に行われているんだ。」


「そうよ。この世界では子孫を残さないことこそが罪とされているのよ。」


 サキさんが自慢気に言うがこの世界の人間なら誰でも知っていることである。


「それか。それがフラグなんだな。フラグを折るしか無いか。」


「フラグを折るなんて『聖霊の娘』を纏めサイトでしか知らない貴方にできるはずが無いわ。」


 サキさんと視線が少しだけ交わる。


「できるだろ。リュウキが言っていたじゃないか。『聖霊の滴』を見つけ出せばいいだけだろ。」


 今度はシセイさんと視線が交わる。それもガッツリと交わった。『正体をバラすよ。』という意味なのだろう。私は頷いてみせる。


「ええっ。まさか・・・どうして、貴方が知っているのよ!」


「知ったのは偶然だ。リュウキ。『鑑定』スキルで俺を見てみろよ。」


「何よ。『鑑定』スキルいったい何なのよ。」


 サキさんは『鑑定』スキルを持っていないらしい。


「ああ。お前随分レベルアップしているな。本当に真面目に訓練をしているんだ。」


「見るのそこかよ。まあいいか。フラウも見てみろよ。」


「いや。それはプライバシー侵害だろ。」


「俺の情報にプライバシーが侵害するようなことがあったか?」


「そういや。無かったな。うーん・・・。『聖霊の滴』・・・フラウが『聖霊の滴』なのか?」


「黙っていてごめんなさい。」


 『鑑定』スキルで見ると『聖霊の滴』とわかるらしい。


「・・・ああ、うん。仕方が無いよな。この国とは敵対していたんだから。でも何故、俺たちと一緒に居たんだ。危険だろ。」


「それが俺たちを日本に送り返せるようになるために残ってくれたらしい。」


 シセイさんが補足してくれる。それだけじゃ無い。


「じゃあ、初めに聞いた処女を売りたいという話や俺が好きだという話は方便だというのか? 愛を確かめ合ったのも嘘だったというのか?」


 私が日本へ送り返すために彼らにも嘘や方便を使ったと思われているらしい。違うのに。


「何よソレ。いつの間にそんな話「サキ、お前は黙っていろ。俺はフラウに聞いているんだ。」」


 初めて聞く話にサキさんが話に割り込んでくるが、リュウキさんが一蹴する。さきほどまでのサキさんに対する思慮が無くなっている。


「いいえ。本当のことです。私はリュウキさんを愛しています。できることなら、ずっと一緒に居てほしいと思っています。確かにシセイさんのことも好きですし、多情な女と罵られても否定できないですが・・・。」


「あははは。やっぱり、面白いね。フラウちゃんは。普通、そんなことを正直に言わないもんなんだよ。」


 また、『面白い』って言われた。


「ええっ。そうなんですか?」


 正直に誠実に答えたつもりだったんだけど、どこか変らしい。


「そうか。俺のことを愛してくれているか。うん、それだけで十分だよ。」


「何よソレ! それじゃあ、リュウキがこの女に恋愛しているみたいじゃない。」


 今度はサキさんが私を指差して烈火のごとく怒り出した。


「サキ、ちょっと落ち着け。今までだって恋愛してこなかった訳じゃない。その一瞬、一瞬は恋愛だったと思っている。」


 リュウキさんがサキさんを押さえつけるようにして、説得しようとするがそれを振り払い、こちらに向かってくる。


「貴女。覚えてなさいよ。絶対に奪い返してやるんだからっ。」


 サキさんはそのまま部屋を出て行った。

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