ベルゼブブ~蠅の王~
私立中学に通う島村達也は勉強も運動もそこそこできる並以上の人間だった。ただ彼は半端に何でもできるため、飢えていた。彼は平凡の毎日に飽きて、刺激を欲っていたのだった。だから、その日友達の裕也からその誘いに乗ったのも気まぐれだった。
裕也「なぁこの近くの早坂峠ってあるだろ?あそこ、夜中になるとカーバトルが行われてるんだって」
たいていこの手の話を知ってくるのは裕也だ。
あいつは成績こそ悪いが、ノリの良さとお調子者のようなところがあってクラスのみんなからは好かれている。
達也「走り屋だろ、あの手の連中って何が楽しくて公道で走ってるんだろうな
サーキットでも走ってればいいのに」
俺はそっけなく返した。
裕也「馬鹿、おめぇ。サーキットでは絶対味わえない楽しさがいいんだろうが」
彰人「ふーん、若気の至りって奴だろ、くだらね」
彰人は成績優秀でテストで毎回1位を取っている。俺たちより明らかに別世界の人間だと思うがなぜか気が合ってよくつるんでいる。
達也「まぁまぁ今夜行こうぜ!すんげぇもんが見られるからよぉ」
由紀「何話してるの?」
由紀はクラスの中でも可愛いと評判で、俺たちのグループとは時々こうやって会話に入ってくることがある。
達也「あぁ、裕也が今夜早坂峠で走り屋見にいこうってさ」
由紀「何それ、ウケる~」
裕也「あっそうだ、由紀も見に行かね?俺たちと一緒に」
達也「何勝手に俺らが行くってことにしてんだよ」
裕也「まぁまぁ行こうぜ!みんなで、なぁ彰人」
彰人「俺はどっちでもいいかな」
彰人はこの手の誘いは意外と乗る。彰人はこんな風に遊んでばかりでも毎回1位を取るんだからすごい
裕也「ふ~ん、俺もいいかな」
なんだかんだ興味はある。
由紀「そっか、彰人も裕也も行くんだね
あたしはいいや」
由紀はあっさりと断った。
達也はえ~と言った感じだが、俺たちも特に無理強いする気はなかった。
その日は夜10時に俺たちは落ち合うことにした。