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世界一美味しいラーメン屋さん

作者: 福岡 三光

「世界一旨いラーメン屋?」

「うん!そうらしいですよ!」

 いつも通り一週間の内の少ない休みを謳歌していた休みの一つ。後輩にそう誘われた。

「よくそうグルメ雑誌でそう取り上げられているみたい」

「いや世界一旨いなんてラーメンに限らず有り得ないよ」

「なんでそんなこと言うんです?世界一おいしいならそんなことあるわけないじゃないですか!だって、世界一旨いんですよ!!」

「いや、そんなに語気を強めて言われても…」

「あ~、いや、ごめんなさい。でも、世界一旨いって言うんですよ?気になりませんか?」

「いや、気にならないわけじゃないけど…」

「けど…何だって言うんですか!!」

「いや…、逆にお前はなんでそんなに信じ込んでいいるんだよ。」

「いいや、そんなに信じているって言われたらそんなこともないんですけど。近くにそんなにうまいって言われるところがあるって言われたら気になるじゃないですか…!」

「それも、そうか…。」

 後輩の誘いに乗せられて元の性分も合わさってか断り切りることができずに流されてラーメン屋に付き添うことになった。

「ほう、ここが噂のラーメン屋か」

「えぇ、ここがその噂のラーメン屋っすよ!!」

「まぁ、じゃあご賞味しましょうかね」

 どうせ金を払っているのはこちらのなのだ。どうせなら、世界一偉そうな神の如くに評価したって構いはしないだろう。そう、タカを括っていた。

「なるほど!!旨いな!!」

「でしょっ!!先輩!!ふっふーん!!あたしの情報網に恐れおののくがいい!!」

 そうドヤ顔で宣言する後輩に一瞬可愛いと思ったのは内緒だ。

「まぁ、今まで食った中で一番うまいのは認めてやろう」

「そんなひねくれた言い方しなくたって」

 後輩がむくれるように言った。

「いや、悪いそんなつもりじゃ」

「いいや、いいんすよ。先輩がそういう人じゃないってことは分かってるつもりっす」

 そうあっけらかんと言い放つと後輩は今まで通りにラーメンを啜っていた。



※※※



「世界一旨いラーメン屋?」

「うん!そうらしいですよ!」

 いつも通り一週間の内の少ない休みを謳歌していた休みの一つ。後輩にそう誘われた。

「よくそうグルメ雑誌でそう取り上げられているみたい」

「いや世界一旨いなんてラーメンに限らず有り得ないよ…。いや、待て前もこんな会話なかったか?」

「?世界一旨いラーメン屋の事ですよね?今が初めてっすよ?」

「そう…、だよな…。いや、気にしないでくれ…」

「しっかし、世界一旨いってどういうことなんすかね?」

「どういうことって?」

「いや、哲学的な話をすることじゃないっすけど。世界一旨いって、その記憶の上で何よりも旨いってことっすよね?」

「まぁ、世界一旨いって言うんだから記憶中で一番の旨さなんだろうな」

「じゃあ、その世界一旨いラーメンを一回食べに行ったとして二回目に食べに行ったとしたらその一回目よりも旨いってことっすよね?」

「うん…?待て、それは違うないか?」

「そんなわけないじゃないですか?だって世界一旨いラーメン屋ですよ?それなら世界一旨い記憶よりもその場で喰った世界一旨いラーメンがうまくないとおかしいじゃないっすか」

「あ…?まぁ、そうか…?」

「そうっすよ!!まぁ、とにかく食べに行きましょ!!世界一旨いラーメンっすよ!!」



※※※



「世界一旨いラーメン屋?」

「そうっすよ!!」

「いや、待て。」

「ん?どうかしたっすか?」

「いや、前もこんな話しなかったか?」

「いや、してないっすよ?」

「そうか?」

「そうっすよ?なんっすか?若ボケっすか?」

「そんなわけないだろう!!」

「っすよね~。それよか世界一旨いラーメンっすよ。」

「あ!?それがどうしったっていうんだ!」

「いや、世界一旨いっていうことはっすよ?」

「あぁ!それが記憶の中のどれよりも旨くないとおかしいって話か!!?」

「!!そうっ!そうなんっすよ!!だって、おかしいじゃないっすか?世界で一番おいしいって言うなら、今までおいしいって思ったどのラーメンよりおいしくないと矛盾するじゃないっすか」

「そんなことはなんじゃないか?今まで食べたラーメンの中で一番おいしいラーメンと同じくらいのラーメンなら世界一旨いと言っても矛盾しないだろう?」

「いや、それはそうっすけどそのラーメン屋は俺も喰いに行ったっすけど今思い返しても今までで食った中のどれを思い返しても思い出せないほどに旨かったんすよ!!」

「なんだそりゃ!?どのラーメンよりも旨かったって…どんな味だったんだよ?」

「いや、それがどんな味だったか覚えてないんっすよね…」

「あ?どんな味だったのか分からないのに世界一旨かったって言うのか?!」

「……はい。…そのとおりっす…。」

「はぁ…。」

 その日はその後輩の言うとおりにラーメン屋に行った。



※※※



「世界一旨いラーメン屋?」

「そうっすよ!!」

「いや、待て。」

「ん?どうかしたっすか?」

「いや、前もこんな話しなかったか?」

「いや、してないっすよ?」

「そうか?」

「そうっすよ?なんっすか?若ボケっすか?」

「そんなわけないだろう!!」

「っすよね~。それよか世界一旨いラーメンっすよ。」

「あ!?それがどうしったっていうんだ!」

「いや、世界一旨いっていうことはっすよ?」

「あぁ!それが記憶の中のどれよりも旨くないとおかしいって話か!!?」

「!!そうっ!そうなんっすよ!!だって、おかしいじゃないっすか?世界で一番おいしいって言うなら、今までおいしいって思ったどのラーメンよりおいしくないと矛盾するじゃないっすか」

そんなことはなんじゃないか?今まで食べたラーメンの中で一番おいしいラーメンと同じくらいのラーメンなら世界一旨いと言っても矛盾しないだろう?」

「いや、それはそうっすけどそのラーメン屋は俺も喰いに行ったっすけど今思い返しても今までで食った中のどれを思い返しても思い出せないほどに旨かったんすよ!!」

「なんだそりゃ!?どのラーメンよりも旨かったって…どんな味だったんだよ?」

「いや、それがどんな味だったか覚えてないんっすよね…」

「あ?どんな味だったのか分からないのに世界一旨かったって言うのか?!」

「……はい。…そのとおりっす…。」

「はぁ…。そんじゃこんど喰いに行くって見るか」

「ハイ!」


「なるほど…。確かに旨いじゃないか!!」

「はい…」

「どうした?本当にうまいぞ?いや、ほんとにいままで疑うような事を言って悪かった。確かにラーメン通のお前が俺のところに通うたびに声高に言うのも分からる味だ!!」

「?ちょっと待ってください。俺が先輩にこの店を話したのは一度だけのはずっすよね?」

「あ?お前うちに来るたびにこの店の事話していたじゃないか?」

「いや、俺がこの店の事話したのは一度だけのはずっすけど」

「いや、そんな訳ない。現に…」

「おい!!んなうちのラーメン何階喰ったって話どうでもいいけど喰い終わったなら早く出てってくんな!!うちのラーメン喰ってみたいってやつは店の前に何人も並んでんだ!!」

「あぁ、はい!!すんません!ほら!お前もんな下らない話してないで早よ行くぞ!」

「あ、はい。すんません」




※※※



「世界一旨いラーメン屋?」

「そうっすよ!!」

「いや、待て。」

「ん?どうかしたっすか?」

「いや、前もこんな話しなかったか?」

「いや、してないっすよ?」

「そうか?」

「そうっすよ?なんっすか?若ボケっすか?」

「そんなわけないだろう!!」

「っすよね~。それよか世界一旨いラーメンっすよ。」

「あ!?それがどうしったっていうんだ!」

「いや、世界一旨いっていうことはっすよ?」

「あぁ!それが記憶の中のどれよりも旨くないとおかしいって話か!!?」

「!!そうっ!そうなんっすよ!!だって、おかしいじゃないっすか?世界で一番おいしいって言うなら、今までおいしいって思ったどのラーメンよりおいしくないと矛盾するじゃないっすか」

そんなことはなんじゃないか?今まで食べたラーメンの中で一番おいしいラーメンと同じくらいのラーメンなら世界一旨いと言っても矛盾しないだろう?」

「いや、それはそうっすけどそのラーメン屋は俺も喰いに行ったっすけど今思い返しても今までで食った中のどれを思い返しても思い出せないほどに旨かったんすよ!!」

「なんだそりゃ!?どのラーメンよりも旨かったって…どんな味だったんだよ?」

「それがどんな味だったか覚えてないんっすよね…」

「あ?どんな味だったのか分からないのに世界一旨かったって言うのか?!」

「あ~…まぁ、その通りっす。」

「ふざけてんのか?おまえ」

「でも…、でもっすよ?その世界一喰った旨いラーメンの味をすぐに忘れたとして、今まで食ったラーメンの味よりもそのラーメンの味がうまかったらそのラーメンは世界一旨いってことっすよね?」

「あ?!あぁ…?まぁ、そうだろうな…。」

「ですよね!ですよね!!」


「なるほど…。確かに旨いじゃないか!!」

「はい…」

「どうした?本当にうまいぞ?いや、ほんとにいままで疑うような事を言って悪かった。確かにラーメン通のお前が俺のところに通うたびに声高に言うのも分からる味だ!!」

「?ちょっと待ってください。俺が先輩にこの店を話したのは一度だけのはずっすよね?」

「あ?お前うちに来るたびにこの店の事話していたじゃないか?」

「いや、俺がこの店の事話したのは一度だけのはずっすけど」

「いや、そんな訳ない。現に…」

「おい!!んなうちのラーメン何階喰ったって話どうでもいいけど喰い終わったなら早く出てってくんな!!うちのラーメン喰ってみたいってやつは店の前に何人も並んでんだ!!」

「あぁ、はい!!すんません!ほら!お前もんな下らない話してないで早よ行くぞ!」

「あ、はい。すんません」


「先輩…。」

「あ?」

「俺…先輩にあのラーメン屋の話一度しかしてないっすよね?」

「あのラーメン屋…?それがどのラーメン屋か知らんが、お前が良く世界一旨いって言ってたラーメン屋の話なら少なくとも三回は聞いたぞ!」

「そんなわけは…」

「まったく耳にタコができるっての…」

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