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チート人外による異世界のモテアソビ方  作者: mawari
第1章 メェル王国と異端の王子
9/9

2.I Am A Hanter from Today

執筆がなかなか進まず、すこし遅れての投稿になってしまいました。すいませんm(__)m


そしてなんと!日間ランキング10位圏内入り!PV80000超!総合3000pt突破!


ありがとうございます!これからも頑張っていきます!

クラリスが最上階の1番高級な部屋へ入ったのを確認し、ランヤは考え込む。


この宿に明日も泊まるつもりはない。目的だった能力の確認は済んだし、わざわざこんな高い宿に泊まる理由がない。

正直、この快適さなら、この街を出るまでこの宿に泊まっていてもいいのではないかとも思ったが、できるだけ王女の一団と接触する機会を減らすためには、他の宿に泊まるしかない。


実は、ランヤは、この宿にあの王女一行が泊まるのは、想定していたとはいえすこし予想外だった。

というのも、それなりの貴族以上なのは明らかだったし、この街の領主かそれ以上立場の上の人間なら、領主の館に泊まるのが普通だと考えたからだ。


この街の領主がものすごい倹約家かつ真面目で、自身の館を豪華にするくらいならば人々が住みやすいように街づくりを推進しよう、という殊勝な考え方の持ち主であり、領主の館よりもむしろこの高級宿の方が豪華で気品のある宿泊施設なのだった。今回も領主から直々に宿へと予約依頼がきていた。


などという裏事情は、さすがのランヤも知る由がないのだが。


とにかく、明日の朝早くにはこの宿を出て、ギルドに向かおうと考えて、彼は久しぶりにベッドで寝ることにしたのだった。







***


翌朝、特に何かが起こることもなく日が昇ってすぐに宿を出たランヤは、まだ人通りの少ない街路を通って街の中心にある大広場に向かっていた。


人通りが少ないと言ってもこの世界の朝は早いようで、すでに多くの人が朝食の準備や開店の準備をしている。


ギルドもこの時間にはすでに開いていることも、宿で聞いてきたので問題はない。


それほど時間もかからずに、宿まで到着した。中はすでに人で賑わっているようで、覗くまでもなく活気が伝わってくる。


ランヤは絡まれるのは面倒なため【気品】と【威圧】スキルを少し使い、開いていたドアをくぐる。



中は予想していたよりもずっと整然としていて、幾つかのカウンターが奥にあり、それなりに広い手前の空間には結構な数のテーブルと椅子が置かれている。


周りの視線を集めながらも、勝手を知らないランヤは中央のカウンター、総合の案内所になっているところへ向かう。


「なんだ?あの男」


「仮面なんかして...武器も持っているな。お忍びでハンターやりたい貴族の坊ちゃんか?」


「いや、このこの田舎町でそれは無いんじゃないか?」


ランヤは彼らの会話が聞こえつつも、特に反応はしない。



「すまない。身分証の発行をここでできると聞いたんだが」


カウンターにいた生真面目そうな女性に話しかける。


「はい。ここギルドでは、戦闘部門、商業部門、研究部門、雑務・労働部門に分かれております。どちらで登録なさいますか?」


「それぞれの部門について説明してもらえるか」


「はい。まず、戦闘部門では、主に魔物の討伐と護衛がメインの部門です。依頼書から自分が受ける依頼を選択します。商業部門では、店を開いたりする場合に登録が必要です。ギルドの認証がない商売は闇商売として扱われます。研究部門では、主に魔法や武器、商品の開発・特許取得に関する仕事をする人に必要な登録です。武器に関しては戦闘部門と、商品開発については商業部門と連携して利用されることが多いです。そして雑務・労働部門では、主に街中での日雇い労働がメインです」


「そうだな、戦闘部門だな」


「でしたら、1番奥のカウンターで登録をお願いします」


そういって女性は一番奥──依頼書などの紙が貼られたボードのある一角を示す。そこはこの建物内でも一際雑多な印象を受けた。


ランヤは受付の女性に礼を言うと、その場所へ歩く。


そして、戦闘部門のカウンターの中でも1番若く、そして純情そうな少女に話しかけた。


ランヤがその少女に声をかけるのはナンパが目的でなく──いや、彼女は確かに目を引くほどの美少女ではあるのだが──普通に根拠があってのことだった。


まず、彼女ほどの若さで受付嬢を任されるということはかなり優秀であることがわかるのが第1の理由であり、第2の理由は、純情そうな彼女はいざとなれば仮面を外せば御しやすいだろう、と判断したのだ。


軽薄男のような思考だが、正直に今のランヤならば仮面を外せばどんな女性でも籠絡できる。


「登録をしたいんだが」


「あっ、はい!」


少女はランヤの【気品】にあてられてオドオドしつつも、一枚の紙を取り出す。


紙には名前、種族、年齢、タイプ、とある。使う魔法やスキルについては書く必要はないようだ。


ランヤはあっさりと差し出されたそれを見て紙は稀少なんじゃないのか、と若干疑問に思った。昨日少し街を見た限り、羊皮紙など紙類はそれなりの高級品だったはずだ。


あとで調べよう、とその疑問を一旦置いておき、まず目の前の疑問を解消することにした。



「このタイプ、というのは何を書けばいい?」


「あ、そこにはですね、ハンターか、あるいはガーディアンかという2つから選択して書いてください。魔物の討伐、素材採取を主とするならハンターを、護衛任務などを主とするならガーディアンです。また、どちらを選んでももう片方の依頼を受けることが可能ですので、あくまでただの目安、肩書きです。そこまで深く考える必要はありません」


ハンター、ガーディアンとわざわざ分かれているのは、あくまで目安だとしてもそれなりに重要な意味がある。

基本的にハンターになるのは、戦闘スタイルが攻撃的で、自分の命を最も優先する戦い方をする者であり、ガーディアンになるのは戦闘スタイルが守備的で、自分の命よりも任務の遂行、つまり依頼者の安全を優先するものである。

両者は戦闘を仕事としている点は同じだが、性質は意外と全然違う。後ろを気にせず戦うのと、後ろを気にして戦うのでは動きにも大分違いがある。

命を懸けるなどというとガーディアンよりハンターの方が気が楽そうに思えるが、ガーディアンはそもそも必ず戦うとは限らないし、むしろ戦うことなく終わることの方が多い。命の危険という意味では、むしろ積極的に戦いをしなければならないハンターの方が大変だろう。


それに、一番の理由はプライドの形成だろう、とランヤは考える。

分かりやすい名称、肩書きを与えることで「自分たちはハンター/ガーディアンだ」という騎士の誇りにも似たプライドが生まれる。

戦いを生業とする者は総じて粗野な性分をしている傾向があり、それは治安の悪化にも繋がるため、その予防にもなるのだろう。



**


名前:ランヤ・リンドヴルム

種族:人間族

年齢:16

タイプ:ハンター


**


ランヤは種族の欄を偽って、受付嬢に紙を提出する。

魔族の扱いが未だ分からない以上、本当のことを書くのは止めておいた方がいいだろう。

ランヤはLv.4の【偽証】スキルを持っているので、Lv.6未満の【鑑定】スキルには看破されない。

【鑑定】の上位互換の特殊スキルや固有スキルを使われたら見破られるが、その時はそれで別の策を考えたあるし、そもそも鑑定系のスキルは非常に珍しく、取得している人はかなり少ない。


ギルドの戦闘部門に登録できるのは14歳からだ。

種族や部族によって違うこともあるが、基本的にこの世界の成人は14歳なのである。

ちなみに飲酒については年齢制限は特にない。


少女はランヤが予想外に若かったことに少々驚きつつ──彼女の年齢も16だった──ランヤから受け取った紙を受付のテーブルにあった機械のようなものに押し付ける。


「それは?」


ランヤは少女に問いかける。


「これはギルドで使われているマジックアイテムです。紙に書かれた内容を透写すると同時に消去し、それを木の板に焼き付けます。その板が身分証になる訳です」


ランヤはスキルを使ってそのマジックアイテムを見つめる。

どうやらこのマジックアイテムには3つの魔法──水属性、光属性、火属性の魔法が付与されているようだ。


と、押し当てていた紙からインクが消えていくのが分かった。水属性の魔法でインクを消し飛ばしたのだろう。

これが高価なはずの紙をさらっと出した理由か、と納得する。

再利用できるのならば確かに出費にはならない。


「えっと、ラ、らー、らんにゃ、んャ、さん」


「言いづらかったらラーニャでいい」


ランヤというのはこの世界では言いづらい名前だ。

とはいえ、普通ならばここまで言えないことはない。

舌足らずなせいで上手く言えないことに赤面する彼女は、並の男が見たら悶絶する可愛らしさなのだが、ランヤはもちろん全くの無反応である。


それと、彼女がランヤのファミリーネームに反応しなかった通り、この世界では、苗字は貴族だけ、というようなことは無い。

それでも、平民同士ならば苗字で呼び合うことはほとんどないのだろう。


「はい、ラーニャさん。それでは戦闘部門の詳しい内容についてご説明いたします」


顔は未だ少し赤いが、少女は真面目に仕事をこなそうとする。


「まず、戦闘部門ではハンター及びガーディアンにはランク付けがされており、F、E、D、C、B、A、S、Uの8段階です。また、依頼にもランク付けがあり、これはハンター依頼なら魔物の強さなど、ガーディアン依頼ならかかる日数や通る道の危険度などによって左右されます。自分のランクより上の依頼を受けることは自由ですが、自分のランクより2つ以上下のランクの依頼を受けることはできません。ランクアップは、依頼数や成功率を見てギルドから通達します。また、ランクアップ試験を受けてもらう場合もあります。


「依頼を受ける上で、パーティを組むことも可能です。パーティを組む場合、メンバーの上限は6人とし、受ける依頼の制限は最もランクの低い人に合わせられます。


「また、先ほども言った通り、ハンターの方がガーディアン依頼を受けることも、その逆も可能です。ハンターとガーディアンがパーティを組むこともできます。


「依頼自体に制限時間はありませんが、素材採取の依頼においてはあらかじめ期限が提示されているものもあります。


「依頼の失敗はハンター依頼の場合、罰金などは特にありませんが繰り返すとランクアップに影響が出ます。ガーディアン依頼の場合、依頼の失敗は死亡であることが多いですが、生き残ってしまった場合護衛対象が提示した違約金を払わなければいけません。


「複数の依頼を同時に受けることも可能ですが、依頼達成にかかった時間なども、ランクアップに考慮されると考えてください。ただし、ガーディアン依頼中にハンター依頼を受けることはできません。


「ハンター/ガーディアン同士の諍いには、ギルドは一切関知しません。ただし、問題を繰り返す場合資格を凍結することがあります。また、犯罪行為を犯し捕まった場合は資格を剥奪します。


「身分証を無くした場合再発行にはお金がかかります。紛失があまりにも多いと、資格を凍結することもあるので、無くさないように気をつけてください。


「これくらいですね。何か質問はありますか?」


「いや、特にないな」


そう言ってランヤは差し出された板を受け取る。

表にはランヤが記入した内容と「ランクF」という文字が書かれており、裏には複雑な紋様が焼きつかれている。偽造防止だろう。


と、彼女が話し終わるのを待っていたのか、凶悪な相貌の大柄な男がランヤに話しかける。


「よお、にいちゃん。戦闘部門の清涼剤であるアイリちゃんに話しかける時くらい、その無粋な仮面モンとりな」


突然絡んできた男にどう対処しようかと思いつつ、別段困らないだろうとランヤは仮面を外す。


周りにいた人が息を呑んだ。

アイリと呼ばれたその受付嬢もぼーっと彼に見惚れている。


目の前の男は少々面食らった後、口を開く。


「...なんだ、色男じゃねえか。だがな、この職業じゃ顔なんて何の意味もないぜ」


男は相変わらずの挑発するような言い方だ。

ハンター同士の諍いにギルドは関知しない、という話を思い起こしたランヤの瞳が剣呑な色を帯びる。

これくらいの挑発に乗るわけはないが、下手に取り繕って事態をややこしくするよりは、手っ取り早くケンカでもしたほうがいいだろう。


ランヤのその眼を見て、男は──



「なぁ〜んてな!そんな怖い顔するなよ、にいちゃん!ちょっと試しただけだ。にいちゃん素人じゃねえだろ。その眼見りゃあ解る」


──そう言って凶悪面のまま破顔した。


「おれはケイジ。Bランクハンターだ。ま、こうやって新人が来るたびに鍛え直しているわけだ。にいちゃんは必要ないみたいだがな」


危うい雰囲気であったのに誰も止めに入らなかったのはそういうことか、とランヤは納得する。

この男、顔こそ凶悪だが面倒見がよく、この街ではみんなの兄貴分のような存在なのだ。


「もう、ちょっとヒヤヒヤしましたよ、ラーニャさん普通の新人さんと違いますし」


アイリがそう言って苦笑するのを見る限り、彼がこうして新人に声をかけるのはいつものことなのだろう。


存外和やかな雰囲気に終わったな、とランヤは思う。


この世界の人間は結構面白いかもしれない。


たわいない会話を繰り返す2人を見て、ランヤは口元に──


小さく笑み・・を浮かべていた。



周りの女性がその微笑に頬を赤くして見惚れていたが、ランヤがその笑みに、感情じぶんに気づくことはなかった。

ランヤって上手く言えない受付嬢に書いてて萌えました。

彼女はヒロインじゃないんですけどね...

基本的に出てくる人はみんないい人なので、鬱展開はないですね。

そして分かりやすい伏線...


次回は金曜日投稿です。

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