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チート人外による異世界のモテアソビ方  作者: mawari
第0章 勇者召喚と人外
3/9

2.Shall We Play A Game?

2話目。話が進みます。。。

だんだんと光が薄れ、視界が明瞭になっていく。


そこは、際限の無い真っ白な空間だった。そこに、生徒30人+教師一名が佇んでいる。



一様に見られる、困惑、不安。

仲のいい友人のところに行き、現状について意見を交わす。


そんな中、仁凪が事情を知っていると半ば確信していたランヤは、彼女の方に行こうとする。

そして、


「やっほー!あなたたちは異世界に勇者召喚されました!...あれ?なんか人数多くない?」


唐突に響く、ここにいるクラスメイト以外の声。

さっきまで誰もいなかった場所に、いつの間にか年若い少女が立っている。



誰もが驚きの余り声も出ない中、いち早く彼女に反応したのは、我らが神宮凛将だった。



「ここは一体どこなんだ!君は誰だ!どうやってここに連れてきた!」


「ええ〜質問は一個ずつにしてよ〜。わたしは次元と輪廻転生を司る神、だよ」



ランヤは2人の会話を聞きつつも、仁凪に注意を払うのも忘れない。


そして、警戒心を露わにし、不安げに身を寄せ合う生徒たちを見た彼女ー輪廻転生の神は面白そうにニヤリと笑い、



「うんうん。とりあえずみんな、友だちとバイバイしよっか♪」


と言い放つ。


そして、全ての生徒は、この空間に彼女と二人きりになるのだった。







***


「──情報の開示を要求する」


目の前に立つ少女にランヤはそう言い放つ。


「もちろん!むしろそのためにみんなバラバラにしたんだし。何でも、何個でも、ご自由にどうぞ......っていうか君は、この事態に驚かないんだね」


クラスメイトが突然消えても全く動揺しなかったランヤに疑問と興味を覚えて、少女はそう返す。


「驚く?なぜだ?その感情表現は話を進めるのに必要なのか?」


心底疑問を覚えたような声をだすランヤ。


「ふ、ふうん」


「ではまず、お前は何者だ?さっきは神とか言っていたが」


「ああ、うん。その通りわたしは神だよ。次元と、輪廻転生の神。と言っても、君たち地球人の信仰する神とはちょっと違うけどね」


「この空間はどこだ?なぜ俺たちはここにいる?」


「ここは次元の狭間。わたしの一部であり、わたしはここの一部、というわけだよ。そして、君たちがここにいるのは、力を授けるためだよ」


「...力?」


「うん、そう、力だよ。あるいは、能力とか技能とか才能とか。

まあそのためには勇者召喚について話さなければいけないね。



「勇者召喚っていうのは、まあ言葉通り、異世界から勇者を召喚する、ということだよ。

あ、召喚の理由までは分からないよ?それはわたしは関与してないし、まあ戦争とか、魔王の討伐とか、色々理由はあるけど。



「そう、魔王だよ。これから君たちに行ってもらう世界、アーラスフィアには、チキュウには存在しなかったものがたくさんある。つまり、アーラスフィアっていうのは、君たちのいうファンタジー世界。剣と魔法、スキルとレベル、ステータスの世界だ。

そこには人間がいて、亜人がいて、モンスターがいて、精霊と悪魔がいる。



「わたしたち神のすむ世界は、このアーラスフィアや他の世界を管理する上位世界のようなものなんだよ。基本全ての世界は、上下の繋がりがある。わたしたち神はアーラスフィアの全てを管理しているんだ。

...君たちの言う神は、別に管理者のことじゃないだろう?そっちはただの概念みたいな感じだしね。ちょっと違う、って言ったのはそういうことだよ。そもそもわたしたち別にに信仰とかいらないしねぇ〜。



「話が逸れたね、あれ?なんの話だっけ?

...ああそうそう、それで、例外もある。それが君たちのいたチキュウだ。そして、チキュウなんかの独立世界に住んでいる人間は総じて、下位世界の生き物より器が大きく、魂の強度が高い。だから、チキュウ人が下位世界へ渡る場合、その強さに見合った力がわたしたち神から与えられる。

その力を求めて、下位世界の誰かさんが君たちを召喚したというわけだ。



「なぜ自分たちかって?そんなの知らないよ〜。ま、条件に合った・・・・・・からとしか言えないよ。



「ああ、スキルやレベルやステータス、魔法の話がまだだったね。順番に説明していこうか。



「まず、レベルについて。レベルっていうのは、簡単に言うと魂の熟練度のことだ。これはある一定以上の魂を持った生物を殺すことで上がる。レベルが上がると、本来手に入れるはずのない理外の力が手に入る。

とはいえ、非戦闘員ならば基本的にレベルは上がらないとと思ってくれていい。ただの虫とかじゃあこれっぽっちも上がらないよ。

レベルの高い相手の方がこっちもレベルが大きく上がる。ようは経験値だね。

ん?うん、君たちのレベルはみんな1からスタートだよ。



「次。スキルと魔法。スキルっていうのは、簡単に言うと技術だ。個人のもつ技術を、わたしたち神がより顕著に、より強力に、より体系化して作り上げたもの。

それは、誰しも持っているような汎用スキルから、唯一無二の固有ユニークスキルまでたくさんある。人の数だけあるってわけだ。

ユニークスキル以外は基本的にはLv.1〜10の熟練度表示がされる。魔法っていうのは、スキルのうち魔力を消費するものだよ。チキュウには無いみたいだからどういえばいいのか分からないけどね。体内外魔力を使って、魔の法、異元の力を行使する。まあこればかりは習うより慣れろだね。


「最後に、ステータス、だね。これが1番ややこしいかな。ステータスっていうのは、原初のスキル、神が人やそれに準ずる種族に与えた祝福。

主に個人の能力値を表す目安のようなものだね。ステータスの項目としては、名前、年齢、種族、天職、職業、称号、各能力値、スキル、といったところかな。

名前、年齢、種族はそのままの意味。天職っていうのは、その人の特徴、才能を端的に表している、みたいな?表示がない人もいるよ。職業っていうのは今の身分を表してる。



「各能力値は、生命、魔力、筋力、耐久、器用、敏捷、知能、精神、知恵、魅力の10項目。非戦闘一般成人男性のそれぞれを100として表示される。



「ああ、ちなみにレベルによる能力値の上がり方は人それぞれだよ。天職とかによっては極端に上がる項目があったり、全く上がらない項目があったり」







***


「説明としては、こんなものかな?どうだい、何か質問はあるかい?」


そう言って一息に説明をした女神。



「そうだな、まずはスキルについてだな。天職、ていうものから予想できるが、ステータスに表示されない、才能とかそういう類のものがある。

それによっては、取得できないスキルがあったり、スキルLv.が上がりにくいものがある。違うか?」



「へええ!今の急ぎ足な説明でよくそれに気づいたね!ていうか、君さっきから妙に冷静だし。面白いね」


そう言って女神は本当に面白そうに目を細める。


「その通り、スキルは努力さえすれば必ず手に入るものじゃないし、手に入ってもレベルがあがるとは限らない。

およそLv.1で初心者、Lv.3で一人前、Lv.4でベテラン、Lv.5で天才、Lv.6で一流、Lv.7以降は超一流、世界でもトップレベルだよ。

このうち、Lv.1とLv.2、Lv.3とLv.4、Lv.6とLv.7の間には越えられない壁がある、って感じかな」



「なるほどな。じゃあ次、能力値だ。能力値っていうのは、絶対的なものなのか?それと、表示されない隠しパラメータはあるのか?」



「絶対的なものだよ。100レベルで筋力300の幼児と、1レベルで筋力100の大人が腕相撲したら、幼児が勝つ。体重とかは別だけどね。

100と101でも、純粋な腕力勝負においては100が101に勝つことはできない、ってこと。

それと、隠しパラメータかどうかは分からないけど、例えば運なんかは表示されないよね」



「能力値はレベルを上げなくても上がるだろう?それに種族によって違ったりはしないのか?」



「ああ、種族値、個体値、努力値の話をしなきゃね。

種族値っていうのは、種族ごとの値。さっきの平均っていうのは、純粋な人類種のことだよ。エルフだったら、基本的に知能や精神が人間より高く、ドワーフだったら筋力や耐久が人間より高い。こんな風になってるね。

個体値っていうのは、さっきから話をしてる通り人それぞれの才能によっての上がり方のこと。武術の才能があれば筋力や耐久が、魔法の才能があれば知能や精神が高い、っていう風に。

で、努力値。さっき言ったけど、レベルを上げるには生き物を殺さなきゃいけない。でも、1レベルの大人の能力値が1レベルの赤ん坊と同じわけがないよね。この差が努力値。レベルも才能も関係なく、鍛錬すれば上がる値。いや、実際、これが馬鹿にできないくらい重要なんだよ。同じ種族、同じ才能でも、努力をする人としない人の能力値の差は大きいってわけ。

この3つを考慮して出された数値がステータスに表示されるんだ」



「まだ質問あるかい?」


女神はランヤに尋ねる。




「ああ、まだまだある。当然だ」



ランヤは淡々とそう言う。







***


結局、ランヤはそれ以降もアーラスフィアに関する質問や、魔法の体系など、ありとあらゆる質問をした。



これから彼らが行く世界、アーラスフィアは、およそ地球でいう中世くらいの文明である。

と言っても、それは産業革命、働き手の機械化が起こっていないというだけで、スキルがあるおかげが生活水準は高いし、人権や倫理観、政治形態や経済流通を見る限り、近代に似ているとランヤは思った。



女神は人間の文化自体や、宗教、国家、亜人の扱い、なんかについてはあまりよく知らないようで、そのあたりはランヤもあまり訊けなかった。

宗教といっても別に必ずしも彼女たちを信仰しているというわけではないらしい。



「まあこんなものか。──あぁ、そういえば最初人数が多いとかなんとか言っていたが、どういうことだ?」



「ん?あ〜、えっとね。今回の召喚魔法で呼び出されるはずだったのは5人だけだったんだけどね、消費魔力が多すぎたのか、術式が間違ってたのかわからないけど、31人も呼び出されたみたいなんだよ」



(5人というと、神宮、天霧、八乃瀬、越境と......レイリか)


ランヤは自分のクラスでこういったものに呼び出されるグループを推測する。



「ということは、力を与えられ終わっても残りの26人はその5人とは別の場所に転移するのか?」


「できれば近くに転移させてあげたいけど。すぐに合流、っていうのは無理かも。ごめんね」



(まあ昔ならばともかく、今のレイリは少し俺と離れたくらいではどうもならんだろう)



「そうか、じゃあそろそろ力を授けて欲しいんだが、いいか?」



「んーいいけど、ただで一つあげちゃうっていうのはわたしとしても面白くないなあ。ゲームでもしない?」



「ゲーム?」



「うん、ゲーム。2つのゲームをやって、どちらか一つでわたしに勝てたら力を一つ追加、両方買ったら二つ追加。どっちも負けても一つあげるよ。

どお?悪い話じゃないでしょう?一応みんなに同じことを提示してるけど、断った人はいないよ」



「......よし、分かった。そのゲーム受けよう」



ランヤはしばし黙考した後、そう答えた。







***


結局彼が選択したゲームは、チェスとじゃんけん・・・・・だった。

というのも、数あるボードゲームの中でランヤがもっとも得意のするのがチェスであるからだ。誰も勝てなかったコンピュータプログラム相手に互角の勝負をしたくらいだから、まさしくその実力は最高峰だろう。

そして、じゃんけんを選んだ理由は、単純に今まで負けたことがなかった、からである。



「...わたしがイカサマするとは疑わないの?この空間の主たるわたしが、ズルをするのはたやすいということは君なら気付いてるはずだけど?」



「そんなことしても、面白くないだろう・・・・・・・・

生徒をバラバラにしたり、このゲームを提案したり。質問には丁寧に答えてくれたことを考えると、お前はこのゲームでありえないズルはしないだろう。イカサマをするとしても、それは俺でもできるイカサマに限るはずだ」



そう答えると、女神は正解、とでも言うように笑みを浮かべる。



「じゃあ、ゲームをしよっか。まずは、チェスからだね」







***


「いや〜、ほんとに強いね、君!まさか両方とも負けるとは思わなかったよ!!」



チェスとじゃんけんでランヤに完敗した女神は、そう言って屈託無く笑う。


(じゃんけんはともかく、チェスはかなり危うかったな。地球なら普通に世界トップクラスだろう)



じゃんけんにおけるランヤの必勝法とは、──必勝法と言えるかどうかはわからないが──その動体視力にものを言わせて、相手が出す手を推測し、それに勝てる手を出す、という極めて単純なものだった。



「さて、約束だしね。願い事、欲しい力を3つ言ってよ!君はなかなか楽しませてくれたから、サービスしちゃうよ!」



女神はランヤに言う。



「そうだな、では、全てのスキルに対する才能・・が欲しい」



「いいよ♪」



「いいのか?駄目で元々だったんだが」



「全てのスキルが欲しい、って言っているわけではないしね。そもそも才能は、どんな人間でもほぼ無数に持っているものだし。ていうか、才能、っていう発想に辿り着く被召喚者は普通いないよ」



「そうか...じゃあ二個目だな。そうだな、に関するスキルが欲しい」



「眼、かい?」


女神は首を傾げる。ランヤはその感情の伺えない眼で、彼女を見つめる。



「そう、眼だ。眼というのは比喩的な意味も含めて、生きていく上で非常に大切なものだ。命の危険が身近な世界ではなおさらな。観察眼だったり、分析眼だったり、先を見据える慧眼、遠くのものを見る視力、あるいは高速で動くものを捉える動体視力。さっきのじゃんけんだって、ただの動体視力の問題だよ」



「君どんな動体視力してんの...でも、まあ、なるほどね。たしかにっていうのは大切かもね。いいよ、見繕ってあげる。で、最後の希望は?」



そう問われて、ランヤは数瞬悩む。



「特にないんだがな。まあ強いて言うなら──」



そこで一旦言葉を区切るランヤ。女神は彼に続きを促すように、小首を傾げる。



「人間以外の種族に転生したい。...意外大変なんだよ、今更人間面して生きていくのは」



女神は彼の真意を推し量るように、真面目な顔でかれのその眼をじっと見つめて、



「いいよ」



とだけ言った。







***


「さて、それじゃあ力を授けるけど、とりあえずステータスを見せてもらうよ。

【鑑定】」



**


《名前》Ranya Lindwulm

《年齢》16

《種族》人間

《天職》──

《職業》学生

《称号》【近接戦地球最強】【絶対理性ロゴス】【サヴァン症候群】

《レベル》──

《能力値》

生命:185

魔力:──

筋力:148

耐久:192

器用:287

敏捷:301

知能:1055

精神:934

知恵:886

魅力:167

《スキル》

【剣術:刀】Lv.7

【抜刀術】Lv.6

【暗器術:ex】Lv.6

【投擲術】Lv.6

【二刀流】Lv.6

【立体機動】Lv.6

【状態異常耐性:ex】Lv.6

【体術:ex】Lv.5

【気配察知】Lv.5

【隠密】Lv.5

【威圧】Lv.5

【視線誘導】Lv.5

【薬品取扱】Lv.5

【薬品調合】Lv.4

【偽証】Lv.4

【武器鑑定】Lv.4

【野営】Lv.3

《特殊スキル》

【成長補正:上】【思考加速:上】【並列思考:中】【瞬間記憶】【瞬間暗算】

《固有スキル》

──



**


示し出されたそのランヤのステータスを見て、さすがの女神もその頬を引きづらせる。


「......普通じゃないと思ってたけど、まさかここまでとはね」


初めて自分のステータスを見たランヤは、まあこんなものか、と納得する。



「1レベルで知力4桁ってなんなのさ!一般人なのに成長補正とか持ってるし!スキルの内容も異常だよ!」


「まあ、地球最強だからな。それより早くしてくれないか」


女神は未だ納得できていない様子ながら、しぶしぶ右手を突き出す。

すると、ランヤの身体を淡い緑色の光が包んだ。


「終わったのか?」


「うん。反映されるのは向こうへ行ってからだけどね」


そうか、とだけランヤは返す。


「じゃあ、向こうへ送るよ。まあ、君の好きに生きなさい」


女神がそう言うと、ランヤの身体を今度は暖かな色の光が包む。


そうして、ランヤは異世界に旅立った。







***


──ランヤの居なくなった白い空間には、女神がポツリと佇む。



「......いくら正式な召喚でも、君みたいなイレギュラーにさらに力を与えてアーラスフィアに送るなんて、本当は許されないんだけどね。確実に創造神様に目をつけられちゃうかな」


あ〜わたしも説教だよ〜、と女神は愚痴る。


「どうなるか分からないけど、とりあえずあの人を楽しませれば大丈夫なはずだし。そのために特別にオミヤゲ・・・・まで渡したんだから、精々消されない・・・・・ようにね...」



女神はランヤのあの感情も何もない瞳を思い出していた。


次話は明日の同時刻頃(18:00頃)投稿予定です。

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