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チート人外による異世界のモテアソビ方  作者: mawari
第0章 勇者召喚と人外
2/9

1.5.Prologue : another side

もう一つプロローグ。今日はもう一話投稿します。

肌寒い日が続く、晩秋のある日の放課後。



私──怜悧・リンドヴルムは、担任教師である黛仁凪の話に耳を傾けていた。



話の内容は間も無く行われる生徒会選挙。

とはいえ、私たち1年生は投票権があるだけで、立候補権は無いので、クラスのみんなもあまり興味無さげにしている。



私の後ろの席に座っている兄様も、別のことを考えているようだった。



ああ、物憂げな兄様もカッコいい♡



...まあ、兄様は聞いていないように見えて、きっとしっかり聞いているのだろうが。


兄様のことを一言で言うなら、天才、だ。

聖徳太子のように同時にものを考えるなんて出来て当然、頭脳面に関してはできないことの方が少ないのではないのだろうか。


それに、恐ろしく強い。

武力的な意味で。

どこかの軍人が兄様のことを、地上接近戦人類最強、と評したらしい。


私も武術ー槍術を修めているのだが、私が本気で無手の彼を不意打ちしても、きっと傷一つつけられないだろう。


まあようは何が言いたいのかというと。


兄様は最高ということだ。


と、私がそんな兄様タイムに入っている時だった。



ぞくッッ!!


唐突に背中を走る悪寒。


兄様が教室の後ろに得物・・を取りに行ったくらいなのだから、相当まずいのだろう。


当然教室は騒がしくなる。

先生が何か言っているのもみんな全然耳に入っていない。


そして、



教室は光に包まれた。







***


あぁ、退屈だ。


そんなことを思いながら、私──音無凉折は頬杖をつく。


なんか仁凪先生が言ってるけど、すっごくどうでもいい。


はぁ〜。


なんで私のクラスにはホモのカップルがいないのだろうか。


龍ヶ崎くん、ルカくんとかと付き合ってくれないかなぁ。


龍ヶ崎嵐夜。

いや、本名は嵐夜・リンドヴルムか。

私の友達、レイリちゃんの兄。


彼はすごくいいっ!

異性としてすごくいいとかじゃなくて、素材として、だ。


容姿もいいし、彼はあまり性格を出さないので、つまり、頭の中でなんにでも変換できる。


龍ヶ崎くん×ルカくんは鉄板だよね。(私の中で)


神宮くんもまあルックスはいいんだけど、私はイマイチピンとこない。



そして、龍ヶ崎くんの前の席、レイリちゃん。

私の中学時代からの友人。


ああ〜今日も凛々し可愛いなぁ〜レイリちゃん!


彼女は高校にあがってからさらにその美しさに磨きがかかり、学校内では話しかけづらくなっている。

まあ放課後とかよく出かけたりするんだけど。


あと、わたしは別に女の子が好きとかそういうわけじゃない。

人より少し、女の子の可愛さをわかっているだけだ。


先生の話まだおわんないし、退屈だなぁ。




...龍ヶ崎×煮墨とかどうだろうか。


おおっ、結構イケるかも!?



とそんな非生産的な妄想をしている時だった。



ざわり。


今まで感じたことのないような感覚。すごい嫌な感じだ。


頭の中が酷く混乱する。


みんなが何か騒いでいるが、何も考えられない。



と、次の瞬間。



教室は光に包まれた。







***


敬。

人に敬意を払える人間になりなさいと、両親が名付けてくれた僕の名前。


いいところなんて何もない平凡な僕だけど、この名前だけが、僕の唯一の誇りだった。



「ギャハハッ!おい〜ゲイ・・!購買でパン買ってこいよぉ〜!」



そんな僕の誇りは今、ズタズタに汚されていた。



僕がなにをしたっていうのだろうか。


たしかに、平凡だし、小柄だし、気弱な性格をしているけれど、それでも謙虚に、悪いことなどせずに今まで生きてきたはずだ。



なぜ僕がこんな目に会わなければならないのだろうか。


毎日僕の頭の中をグルグル回っている答えの出ない疑問。



今も僕の後ろで、あいつは放課後、僕に何をさせようか考えているのだろう。

下卑た笑みを浮かべながら。



でも僕は逆らわない。逆らえない。

僕ではあいつに勝てない。

腕力も。権力も。財力も。


僕には。

できるだけ痛い思いをしないように。

ただ肩を縮こまらせていることしかできない。



放課後の無茶難題か、あるいは暴力のことを考え、憂鬱な気分になっている時だった。



ぞわわぁッ。


急に身体中を違和感が駆け巡る。


その苛烈さに肉体は警戒を一気に引き上げて、身体中から冷や汗が吹き出る。


まるで生命を脅かされるような、生存を否定されるような、そんな感覚。



普通だったら嫌悪に顔を歪ませるはずが、僕は自分が笑みを浮かべているのに気付いた。




どんな危険なことでも構わない。

この憂鬱な日常をぶっ壊してくれ。




そう願ったとき、



教室は光に包まれた。







***


あー、異世界とか行きてえ〜。


放課後のホームルーム、オレこと断花颯はそんなことを考えていた。


本当は机の下にラノベかゲームを置いて時間を潰したいんだが、あいにくこないだの席替えで一番前中央になってしまったせいで、それはできない。


することもないので、最近ハマっているネット小説のことを妄想している。


ていうか、もうほんとこのクラス完璧テンプレじゃん。学園の王子に、いじめられっ子って。そろそろ呼ばれんだろ、勇者召喚。



...譲葉敬、ね。

まあ別にもともと接点のある人間じゃないし、巻き込まれるのもヤダから助けたりはしないんだけどね。


あと煮墨怖いし。


てか、そういうのは完全神宮の仕事だろ。ちゃんと仕事しろ学園の王子(笑)。


まあ多分、煮墨が流した意味不明なデマを信じてるだろうけど。

チョロすぎるぜ。




...それにしても、やっぱり黛先生キレイだな。

2次元だったらプロポーズしてる。


あと、よく勘違いされるが、オレは別に2次元至上主義じゃない。


2次元キャラにも萌えるけど、普通にリアルの女の子でも可愛いと思ったりする。


2次元になって出直してこい、とか。言ってねえよ!


...いや、言ったかもしれん。


それにしても、このクラス可愛い子多いよなあ〜。


龍ヶ崎さんとか八乃瀬さんとか越境さんとかマジで次元違うし。



異世界行ったら彼女たちでハーレムとかできちゃうんだろうか。

いいねぇ。



龍ヶ崎嵐夜。

あいつはきっとダークヒーローとか黒幕か、とにかく手強そうだな。

だってなに考えてんのか全く分かんねえもん。



と、それぞれの詳しい設定を考えている時だった。




ザワぁりッ!!



突然の違和感、危機感に、意識を保っていられなくなりそうだ。


頭を机に突っ伏して、思わず呻く。


「ぐうぅっ...」


ダメだ、かなり辛い。



そして意識を失いそうな、その瞬間、




教室は光に包まれた。


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