第七話 パンツ男と完璧少女と切り裂き魔と...
霧早紀 美鈴と僕の関係について少しだけ語っておこう。
本当に少しだけ。
だって今僕は死にかけていて、凶悪な改人が目の前にいるのだから。
霧早紀 美鈴は簡単に言うと僕が通っていた学校のマドンナだった。
学校一可愛かった。
いや、県内で一番可愛かったかもしれない。
それほど霧早紀 美鈴は完璧だった。
容姿だけではない。
頭の回転が速く、運動神経抜群で、人懐っこくて、愛嬌があって、気が利いて、やさしくて。
外見だけでなく内装もばっちり。
超優良住宅。
完璧少女。
彼女の半径五〇メートル以内にいる人物は、全て彼女の虜になってしまう。
そう言いきれるほど、彼女は女性として完璧だった。
っと、僕と彼女の関係じゃなくて、彼女の紹介をしてしまった。
失敗、失敗。
てへぺロだ。
まぁ、一言で言うと、僕は彼女に告白してフラれたのだ。
あれは僕が中学2年生の7月7日。七夕で僕の誕生日。
小学校の時からずっと好きだった彼女に、僕はラブレターを出した。
彼女にラブレターを読んでもらうのは簡単ではない。
なぜなら、校内からだけではなく、県内のあらゆる男性から、彼女はラブレターをもらうのだ。
一度、10数名の50代男性が彼女に告白しようと学校に侵入してきた時は、警察が出動して学校を閉鎖した事もある。
なので彼女に対しての警戒も厳重だった。
まずは、ラブレターを学校に7名いる彼女のマネージャーに読んでもらい、
不適切な表現が含まれていないか確認してもらってから、それぞれに告白許可のハンコをもらう。
そして7つのハンコを集めたら、彼女の下駄箱の横に設置されているポストに3時間並んで投函する。
ラブレターを書いてからポストに入れるまで1カ月かかった。
同じクラスなのに。
ってか隣の席なのに。
ちなみに3年間 霧早紀 美鈴 と僕は同じクラスで隣の席だ。
しかし、人類皆平等。
いくらすぐに告白出来るポジションに僕がいても、そんな不正は許されない。
出る杭は打たれる。
ルールは守らなくてはいけない。
もし抜けがけで僕がそんなことしたとしたら、僕は今存在していないだろう。
そして7月7日の朝 僕はラブレターをポストに投函した。
すると驚いたことに、7月7日の夕方には彼女から体育館裏に呼び出され
(彼女は毎日数百通のラブレターをもらっているのだ。
それの返事が夕方とは早い。さすが霧早紀 美鈴。完璧少女。)
僕はフラれてしまった。
「時期が早い」と。彼女に言われた。
当然の結果である。
なぜなら彼女には彼氏がいたのだから。
確か、外国にいるエネルギー系の会社の御曹司で、将来も約束された超イケメン。
2つ年上。
僕はそれを知ってはいたけど告白した。
恋は簡単に止まらないから。
回想も簡単には止まらない。
あ。
しまった。
少しだけのつもりがかなり思い返してしまった。
マズイ。
現実はかなり動いてしまっているかもしれない。
僕は、周囲を見た。
うわぁぁ--------....
言葉が出ない。
かなり長い間思い出にふけっていたとはいえ、それでも現実では十数秒だろう。
その間に、女子トイレと男子トイレの境界線がなくなって、トイレと通路が分からなくなっていた。
簡単に言うと約半径20メートル以内の障害物が全て壊されていたのである。
そりゃ、こんな破壊行為が目の前で繰り広げられてたら現実逃避もするわ。
僕はこの破壊行為をしたであろう二人を見た。
改人サキヨシ と 完璧少女 霧早紀 美鈴。
完璧少女 霧早紀 美鈴は僕から1メートル程離れた所にいた。
周囲に日本刀を侍らせて、何事もなく悠然と立っている。
つまり彼女は僕が回想に入る前からほとんど動いていない。
逆に改人サキヨシは後退していて彼女から10メートル程離れた位置にいた。
彼も周囲にはさみを浮かべてはいたが、片膝をついていた。
この事実から、押しているのは彼女であると分かる。
ってか、半径20メートル内の障害物が全て破壊されていると言っても、僕の後ろにある壁には傷一つ付けられていないのだ。
彼女は改人よりも強い。
さすがは完璧少女。
僕が惚れた女性。
改人なんて目じゃないぜ!
ひゃふ-----------♪
なんて、
なんて、そんな訳はない。
つまりこれは、彼女は改人。
改造人間に勝てる存在になっているって事で、
「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。」
サキヨシが笑う
「まさか、まさか、こんなに早く会えるなんてな。」
「この強さ!日本刀!黒い髪!女!!」
「間違いねぇ...オレたちから"ハズレ"と呼ばれ、人間どもから"アタリ"と言われる最強のヒーロー」
「ヒーローナンバー04 黒縄のキリサキ!!」
やはり...
想像して覚悟はしていたが、
彼女も改造されていたのか。
僕は、以前よりも"キレイ"になった彼女を見て、
...悲しくなった。




