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第六話 アタリヒーロー

 「な、なめんなーーーー!!」

 サキヨシがそう言うと同時に、砕けたはさみの刃が修復されていく。

 

 いや、作り直されていく。

 

 より大きく。

 

 より強靭に。


 「死ねーー!!」


 二メートル程の刃渡りになったはさみを構え、


 僕に向かって思いっきり突き刺してきた。

 

 僕はそれを避けもせず、ただその刃が来る位置に右手を置いた。


 ふわっと


 はさみが霧散していく。


 「なん...だと...?」

 驚愕するサキヨシ。

 

 「無駄だ。僕に触れたモノは全て砕くことができる。小石サイズから霧状まで、な。」

 サキヨシに右手をのばす僕。


 僕に触れられるの恐れたサキヨシは、さっと距離を開けた。


 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 サキヨシは空中にはさみを出現させ、それを僕に投げつけてくる。


 しかし動揺しているのだろう、ほとんど僕の体に当たることはなく


 当たりそうなはさみも


 サァッ

 

 っと僕は受け止めて消してしまった。

 

 狙い通り、だ。


 広い空間でフェイントを混ぜた多彩な攻撃をされたら不味かったが、

 

 怒りでいっぱいのサキヨシにそんなことはできない。


 それに場所の関係もある。

 

 この狭い通路だと、サキヨシが出来る攻撃は3つ。


 先ほどのように、通路を塞いで刃を広げての突進か、突き、投てきだ。


 威嚇目的の突進なんて、僕にでも捉えられるし、

 自慢のはさみが砕けて動揺した直後の突きなんて問題外だ。

 投てきも同様。

 

 ここまでは理想通り。

 しかしこの後どうするか。


 と

 急にはさみの暴風が止む。

 

 「くっくっくっく」

 とサキヨシ。

 「そうかそうか。なるほどな。」

 顔を抑えながら一人で笑う。

 「まいったぜ...こんなガキにいっぱい喰わされるとはな。」


 マズイ...

 やりすぎたか?


 「オレのジョニーデッ○を砕くほどの能力...限定条件がなきゃ強すぎる...」

 

 ...


 ジョニー○ップ?


 まさかさっきのはさみの名前か?


 自分の武器に名前を付ける...


これが中二病ってやつか。


 にしてもダサい。

 

 いや、シザーハン○とかはさみを使った名作に出てるけどさ。


 とかそんな事を思っている状況じゃない。

 

 マズイ。マジマズイ。


 限定条件。

 

 一番危惧したことだ。


 「...なんの事だ?さっきも見ただろ?僕の体に触れたものは全て...」


 「そう言えば、オレの能力を説明してなかったな。

 オレを騙した褒美に教えてやろう。」

 

 「オレの能力は、いくつでも、どんな場所にでも、はさみを作り出す事が出来る能力だ。」


 ズラリ


 と自身の周りにはさみを出現させるサキヨシ。


 「さて、ではそろそろ回答といこうか。ちょうどいい生贄もいることだしな。」


 とトイレの方を見るサキヨシ。

 そこには、通路で、一言も発しなかった少女が...


 「まさか...」

 僕たちの戦いを震えながら、見ていた少女。

 サキヨシから見えないように気をつけていたのだが。

 

 僕は少女の方に目をやると

 少女の真上には大量のはさみが並んでいた。


 「やめろ!!」

 僕は少女の元へと駆け出す。

 

 ザアッ

 と少女にはさみの雨が降り注ぐ。


 ザク

 ドス

 グサ

 

 「え?」

 と少女は困惑した顔で僕を見た。


 そろった前髪ときれいに整った三つ網。

 メガネをかけた容姿は、まるでマンガのようで。

 「ケガはない?」

 と僕は言った。


 まるで僕の妹のようだった。

 そっくりだ。

 妹と年が近いだけなのかもしれないけど。

 僕がそう思いたいだけなのかもしれないけど。

 彼女を妹たちとそっくりだとしておこう。

 

 どうせ僕はもう死ぬのだから。


 背中にまるでハリねずみのようにはさみが突き刺さっている僕。

 口から血が出てきている。


 「やっぱりな...これが正解か。」

 ひゃひゃひゃと笑うサキヨシ。


 「つまりお前の能力は、体に触れたモノじゃなくて、”手”に触れたモノだけを砕く能力か。」


 「おかしいと思ったぜ。最初に顔面に蹴りを入れられた時に、オレは何もなかったからな。」

 

 ん?と考え込むサキヨシ

 

 「ってあれか、まさか全てを砕くってのもウソか?そうじゃなきゃ、最初の時、蹴りじゃなくて殴ればオレを殺せたんだしな。」


 ひゃひゃと笑うサキヨシ

 「そうかそうか。良いことに気付いたオレ。

  物体だけを砕けるとかそんな感じか?

  ひゃひゃひゃ

  これでコイツを自分の手で切り裂いて殺すことができる。」

 

 チマチマはさみを当てて殺そうとしてたぜ、とサキヨシ。


 「あ、あの」

 とメガネの少女が僕に話しかける。


 「ケガはない?」

 と僕は再度少女に聞いた。

 「え?は、はい。」

 と少女。

 「よし、よかった。今から君を逃がすから。君は走って逃げるんだよ。」

 「え?そんな、どうやって」

 「こうやって!」


 と僕は少女を壁に押し込んだ。


 壁は一瞬で分解され

 少女を壁の向こう。

 確か歩道になっているはずだ。

 に避難させて。

 僕は壁を元に戻した。

 

 普段は少女からパンツを奪うためだけの能力なんだけど。

 最後の最後で少女を救えるなんて。

 

 

 「おお!?なんだ、砕くだけじゃなくて、再生もできるのか!」

 上機嫌なサキヨシ。


 「だったらお前も逃げればよかったのに...いや、そうか。

  逃げたらあの子も危ないもんな。」

 そう、僕も一緒に逃げたら、サキヨシは壁を破壊して僕たちを追ってくるだろう。

 僕はこのケガだ。どうせ逃げられない。


 「ひゃひゃひゃ。なるほどさすがはヒーロー。

  けどそれならこっちも助けないといけないんじゃないのか!?」


 ぐしゃあ

 とトイレの壁を壊すサキヨシ。

 

 そこには綺麗な黒い髪のセーラー服の少女がいた。

 

 「お前も分かるだろう?改人には獲物となる少女の居場所を探知できる能力がある。」


 「見えて無かろうが、隠れていようが分かるんだよ!」

 ひゃひゃと笑うサキヨシ。

 

 しかし、そのサキヨシの言葉は半分も僕の耳に入らなかった。


 なんで?


 こんなところに?


 すっ

 と少女は立ち上がった。


 「なんだ、お嬢ちゃん?お前は後で遊んであげるからおとなしく...」


ズラァ---------!!

 

 とそのサキヨシの言葉をさえぎるように、

 荷物の中から日本刀を取り出し、自身の周囲に並べる少女。

 

 いや

 僕はこの少女の名前を知っている。

 だって彼女は。


 「久しぶり清木くん。私の事はまだ好きでいてくれるのかしら?」


 僕が好きだった女の子。

 霧早紀 美鈴 (キリサキ ミレイ)なのだから。 


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