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第十話 ヒーロー志願のカイジン

第一章ラスト♪

 「あーん」

 自身も口を開けて、まるで付き合いたてのカップルのように、

 食事を僕の口へと誘うキリサキ。


 「いや、その。」


 戸惑う僕。


 それは、彼女が美少女だからだとか、


 僕が片思いしている女の子だからとか、


 そんなんじゃなくて。


 問題は、


 僕の方。


 食事。


 僕の食事。


 改人パンツ男の


 食事。


 それは10代の少女が4時間以上着衣した

 パンツの事である。


 つまり、彼女。

 

 キリサキが僕の口に運ぼうとしているのは


 パンツなわけで。

 

 しかもそのパンツは、キリサキが先ほどまで履いていた


 純白のパンツなわけで。


 

 改人サキヨシを倒した彼女は、

 そのあと、何事も無かったかのように制服を着直して、

 背中にまだ大量のはさみが突き刺さっている僕を正座させた。


 そして訳も分からず正座している僕の目の前で、

 彼女は急に、

 履いているパンツを脱ぎだした。


 混乱している僕の事など全く気にせず、

 まるでそれは当り前の事であるかのように、

 彼女は自身のパンツを

 僕の口へと持って来たのだ。


 「ほら、あーん。」


 ちょっと声色が甘くなったキリサキ。


 語尾にハートが付いている。



 …ヤバい。


 どうする、これはかなりヤバい。


 キリサキにアーンって言われるだけで、

 僕の心臓が聞いたことも無いほどの速度で鼓動している。


 しかも彼女が手にしているのはタコさんウインナーとかじゃない。


 パンツだ。


 彼女が先ほどまで履いていたパンツ。


 先ほどまで見ていた世界遺産のような絶景を思い出す。


 キリサキの下着姿。


 その時に欲した、世界の宝。

 

 キリサキのパンツ。


 それを彼女自身が、僕に食べることを望んでくれているのだ!


 神よ!!


 僕はこの日のために生まれてきたのですね!!


 …

 ……


 っと、僕が人間だったら思っていたことだろう。


 「それは、食べられないよ。」


 と僕は申し訳なさそうに言った。


 なぜなら、


 今の僕は人間じゃないからだ。


 改人だ。


 パンツを食べる…化け物だ。


 そんな自分を殺すために、


 自殺をするためにこの街に来たのだ。


 「ちょっと予定外にさ、変態なヒーローに会って、」


 僕は、この淀んだ泥のような気持ちを


 「そのヒーローが目の前で死んで、成り行きで改人と戦うことになって、」


 正直に


 「その改人に負けて、キリサキと再会。なんて事があったけどさ。」


 言葉にして吐き出す。


 「やっぱり、今の自分を早く消したいんだ。

 元の体に戻れる可能性があるのかもしれないけどさ。」

 

 

 「もう僕は、2度とパンツを食べたくないんだ。」


 自然とコブシを握っていた。


 「ごめん。」


 「そう。」


 とキリサキは無感情な様子で立ち上がった。


 「ありがとう、けど最後の最後でキリサキにあ…」


 あ っと一番大きく口を開いた隙を付いて、


 隙間を突いて、


 僕の口の中にパンツを押し込むキリサキ。


 「むがふぁ!!」


 僕は突然侵入してきた異物を慌てて吐き出そうとするが、

 キリサキは素早く口から手を抜くと、


 そのまま僕の口を押さえこんだ。

 

 もがもが。


 口を動かせない。

 

 「ふざけないでよ…」


 キリサキは消えそうな声で言った。


 その目は、怒りと悲しみがちょうど半々に混ざっているようだった。


 「今の自分を消したいから死ぬなんて、ふざけた事言わないでよ!

 私たちはね、ヒーローの皆もねぇ、全員今の自分を消すために努力してるの!

 時間はかかるし、治せないかもしれないけどさ、皆頑張っているんだよ。」


 徐々に声に力が入っていき、


 最後には、また消えそうになっていく。


 「それをさ、逃げないでよ。私たちを置いていかないでよ。

 これ以上、私たちが生きていることに、罪悪感を植え付けないでよ。」

 

 膝をついて、顔を伏せるキリサキ。


 今の彼女がどんな目をしているのか確認できなくなった。


 「私は、うれしかったんだよ?清木くんに会えて。

 清木くんが、女の子を助ける素敵な人のままでいてくれて。」


 ポツリと、水滴が落ちた。


 「……」


 ゴクリ


 と僕はキリサキのパンツを飲みこんだ。


 僕は、彼女が僕の口を抑えるために使った手を取った。


 「僕もキリサキに会えてよかった。キリサキも昔の…つでぇえ!?」


 ぶしゅぶしゅぶしゅと、


 僕の背中に刺さっていたはさみが抜き取られていく。


 計13本。キリサキの髪の力だろうか?


 突然の痛みに僕は絶叫した。


 「ホント、男ってチョロいわね。」


 片手で女の武器を拭い、立ち上がるキリサキ。


 「ほら変態。立ちなさい?痛みだけで傷はもう治ったでしょう?

 それとも少女を泣かしてパンツを食べるような男は、

 立ち上がる事も忘れたのかしら?」


 「この…」


 色々な痛みが体を回って、まだ上手く動けない。


 くそ、この女…


 こんな奴、僕の知っているキリサキじゃない!


 さっさと立ち上がって歩きだしたキリサキの後を追って僕も歩き出す。


 くそー何か仕返しを…


 そんなことを思っていると


 目の前に階段が見えた。

 

 そう言えば…パンツやら何やらで忘れていたけど、


 キリサキは今パンツをはいていない。


 いわゆるノーパンだ。


 ノーパン。


 現役美少女女子高生の


 ノーパン。


 通常、普通にミニスカートをはいている状態では、


 階段の段差程度ではスカートの中は覗けないらしい。


 しかし、ノーパンだ。


 ノーパンとなると話は別だ。


 ノーパンのスカートが、少し上の段差に存在している。


 その興奮は、僕の痛みを十分癒してくれそうだった。


 僕は少し歩みを遅くする。


 キュルリッ!


 と突然僕の首がしまる。


 「死にたいなら後で私がしっかり殺してあげるから、

 今は私の前を歩いてくれるかしら?」


 「は…い…」

 僕は消えそうな声で答えた。



 階段を上って、降りて


 僕達は駅の入り口に着いた。


 先ほど、改人サキヨシによって惨殺が行われた場所。


 もうすでに警察と救急隊が来ていて、そこに少女たちの死体は無かったが、

 まだ血の跡は残っていた。

 凄惨な現場。


 切られた少女たちと

 僕の目の前で切られたヒーロー

 思い返すと胸が痛む。


 「おぉーキリサキー!少年!無事だったか!!よかったよかった。」

 とヒーローマサシンが近づいてきて、キリサキのスカートの中に手を入れた。


 ゴキリっとニブイ音がしたかと思うと、キリサキから首を180度上下に曲げられたヒーローマサシンの姿が…

 顔が逆転している。


 っていやいやいやいやいやいや。


 は?さっき改人サキヨシから、上半身と下半身を切り分けられたはずじゃ?


 「コイツはヒーローナンバー03盗殺のマサシン。

 盗撮が食事で、超回復能力を持っているヒーローよ。」

 と平然な顔をして、キリサキがマサシンを紹介する。


 「ゴキブリ以上の生命力を持ったやつでね。

 首を折ろうが、首をはねようが瞬時に回復してしまうの。」


 「そして、もうひとつ能力があって、それが"盗殺"

 他者の死を奪う事から名づけられた名前だけど、簡単に言うと、

 人間を癒す能力

 ヒーローマサシンの超回復能力を他者にも与える事が出来る能力でね。」


 「本人は弱くてほとんど改人を倒せないけど、

 改人に傷つけられた人を治せるから、

 被害者0のヒーローなんて呼ばれたりもするわ。」


 「まぁ、その回復能力がエネルギーを使いすぎるから、

 常時盗撮に走っちゃてほとんどの人は“ハズレ”ヒーローって呼ぶけどね。」


 なるほど、回復能力。


 被害者0も、被害を0に抑えるんじゃなくて、被害を0に戻すという意味だったのか。


 という事は、少女たちの死体が無かったのも、マサシンが回復したから。


 あの子たちは死んでいないのか。良かった。


 ほっと胸をなでおろす。


 それにしても、あんなに変態なのに、人を助けているのか。


 多分、どのヒーローよりも、どんな人間よりも一番。


 そうか…


 「そのとーり!はっはっは」


 「少女たちはケガ一つなく全員無事だよ。はっはっは。」


 首が180度曲がっている状態で話すマサシン。


 うわ。


 怖い。


 「さすがの私も胴体を真っ二つにされた時はあせったがね。」


 「なんとか体をくっつける事が出来たが、エネルギーを使ってしまっていて

 少女たちを治療する分のエネルギーが足りなくてね。」


 「ヒーローキリサキからの援助が無ければ、危なかっただろう。

 ありがとうキリサキ。」


 はっはっはとヒーローマサシン。


 ん?


 「あの、援助って何ですか?」


 「ん?それはだね、ヒーローキリサキは、自分で、自分のぉ…」


 ダンッ

 っと僕は首にものすごい衝撃を受けて、

 ヒーローマサシンの言葉を最後まで聞くことが出来なかった。


 薄れゆく意識の中、僕の意識を奪った犯人はキリサキだと思い

 そういえば、キリサキは最初トイレにいたよな…

 と思考をしていたのだけど

 僕はそれ以上意識を保つ事は出来なかった。



 コレが、僕が初めてヒーローと遭遇した日で、


 これから始まる、

 変態ながらもお互いを支えあっていく仲間たちとの友情の始まりの日でもあった。


 始まりがあるということは、終わりも当然ある。


 終わりと決めた日に始まりがあるように。


 まだ、その終わりの日は遠いけど。


 終わりの日に待ち受けている、悲しみの始まりの日だけど。


 けど僕は、変態な自分を受け入れて、


 それ以上に人を助けると決めたきっかけとなったこの日の事を


 永遠に忘れないだろう。

 





 第一章。自殺志願のカイジン編でした。


 ここまで読んでいただいてありがとうございました。


 何分、初めての小説ですので色々分からない事が多いモノで…


 ですので、お手数ですが、よろしければ評価をお願いします!



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