~プロローグ~ すべてを失った始まり
『役立たずめっ!!』
『半端者の屑がっ!!』
『この『魔を扱いし者』の面汚しがっ!!』
俺は昔からそう言われながら育った……
俺を罵声される理由は、膨大な魔力を有していたが、それを『とある術式』のコントロールができなかったからだ……
幾度となく、罵声や暴力によってボロボロになっていたが、俺にやさしくしてくれる人たちがいたから俺は頑張れた……だが、
―――――――ゴオオオオオオオォォォォォォォォ……………
俺の目の前の世界は揺らめく赤い炎で包まれた世界に満たされていた……
やさしく、懐かしい思いにさせてくれる家も、
セオナ姉さんが不器用ながらも縫ってくれたボロボロの人形も、
気難しかったがとても優しかったおじさんが大切にしていたお酒のおちょこも、
太陽のように笑いかけてくれたおばさんが大事に世話をしていたカーネーションも、
泣いたり、笑ったり、叱ったりしていたみんなの……俺と同じだった兄弟の……
家族の声も、姿も……
みんな揺らめく赤い炎に包まれた世界に飲み込まれてしまった……
拾ってくれた俺を、家族にしてくれたみんなはいなくなってしまった……
―――――――ゴオオオオオオオォォォォォォォォ……………
しばらく時間が経つとなにもなくなっていた
ただあたりは黒く、焦げた臭いが充満していて、声も上げることすらできなかった
これで俺は何もかも失ってしまい、残ったのは俺に向けらられる冷たい視線と俺の中にある膨大な魔力
だけ……
だけど……悲しいからと言って足を止めるわけにはいかない……
俺の大切な居場所を奪ったやつを放ってはいられない……
『復讐は己を滅ぼす毒だ』と教えられた……けど、俺は『アレ』を放ってはおけない……
『アレ』を放っておけば、俺と同じような人が増えるだけだ
俺は確かに周りの奴らが嫌いだ、だが1から10までの人を同じように思っていない。俺と同じような奴を
増やさないために……俺は『アレ』を探して、この手でコロス……
だからこれは『復讐』ではない……
俺は胸に刻んだ……
強くなるために……
―――――――誰もいない、観客のいないステージの上でただ踊り続ける―――――
ここには誰もいない、誰も見てくれる人など存在しない
一緒に居ようとする者も存在しない
ならばそれで構いはしない
俺は、今はただ一人で踊り続けよう
俺は俺だけの世界を構築しよう
その世界で俺だけの、俺にしかない魔法を手にするその日まで……
そう、この手にする…その日まで……