風船、どうぞ
掲載日:2026/06/13
「はい これが衣装ね」
着ぐるみの着方を 教わって
髪をタオルで巻いて 着替えに入った
何となく 動き方や可動域を 自分なりに把握して
いよいよ お仕事のスタートだ
風船を手に持って 広い遊園地内を とぼとぼと歩く
キョロキョロと 辺りを見渡して
小さな子どもが居ないか 探しながら歩いて行く
歩いて行くと 他の着ぐるみを着ている人と すれ違ったりもしたが
皆 手には大量の 風船を持っている
「ねえ 風船配れた?」 と 声を掛けてくれる人もいたが
答えはもちろん ノーに決まっている
着ぐるみって 着てさえいれば 子どもたちがすぐに
わんさか寄ってくるものだと 思っていたんだけど
顔が見えないから ニコニコ 優しそうで楽しそうな
笑顔を浮かべても 全く意味がなくて
動きを一つするのにも 結構 これがまた一苦労で
子どもたちにアピールしようにも 出来ることが 限られすぎている
簡単で 楽しそうな仕事だと 思っていたけれど
普通にやっぱり 難しいものなのね




