EP3
第3話をお読みいただきありがとうございます!
今回は屋上でのフェスとの対峙、そしてパン先輩との修羅場(?)回です。
おとなしそうに見えたフェスの「裏の顔」と、それに対抗するパン先輩。サンの平穏な日常がどんどん崩れていく様子をお楽しみください!
学校の屋上
サン:「えっ……何て言いました?」
フェス:「ウェーブとは、もう別れたって言ったの」
サン:「……それを、どうして僕に?」
フェス:「……だって、サンは特別だから」
(サン:特別? あの日のことは、ただ放っておけなくて助けただけだ。どうして彼女の中で、俺の存在がそんなに大きくなっているんだ?)
フェス:「どうしたの……? 私、何か変なこと言ったかな」
サン:「いえ、別に」
フェス:「ねえ、改めて聞くけど……私の友達になってくれる?」
サン:「……僕の答えは、今も『ノー』です」
フェス:「どうしてよ!!」
サン:「わっ……!」
フェス:「どうして、どうして! 理由が全然わからない! 友達にもなれないほど、私のことが嫌いなの? あの日のことなら、もう気にしてないって言ったじゃない!!」
サン:「……」
(サン:参ったな。どうしてこんな展開に……。この学校に入る前は、友達なんて作らずに一人で過ごすつもりだったのに)
フェス:「……結局、サンも私を捨てて行くんだね」
フェス://ゾッとするような、不気味な笑みを浮かべる//
サン://恐怖に顔を引きつらせる//
(サン:不味い、この空気……。彼女から放たれる気配が、尋常じゃなく恐ろしい。なんとかして、この場を収めないと……!)
サン:「……わかりました。いいですよ」
フェス:「ん……?」
サン:「僕が、君の友達になります」
フェス:「本当に!?」
サン:「はい」
(サン:まずは自分の身を守るのが先決だ。このままじゃ何をされるかわからない……)
フェス:「よかった! じゃあ、一緒に教室に戻ろう、サン! ^^」
フェスはそう言うと、逃がさないと言わんばかりにサンの手首を強く掴んだ。
サン:「……」
フェスが屋上のドアを開ける。
フェス:「あっ……!?」
サン:「っ……!? 」
目の前には、腕を組んだパン先輩が立っていた。
サン:「パン、先輩……」
パン:「屋上で二人きりで、何してたの?」
パンは冷徹な眼差しで二人を射抜くように見つめた。
フェス:「それは……」
パン:「聞いてるんだけど。答えなさいよ」
(サン:ヤバい、修羅場だ。なんとかしないと……!)
サン:「フェス、君は先に教室に戻って。先生には僕が遅れるって伝えておいて」
サンは咄嗟に、パン先輩の手を握った。
フェス://嫉妬に満ちた、恐ろしい表情を浮かべる//
(フェス:どうして……どうしてサンは、私じゃなくてあの女の手を握ってるの……?)
校舎の廊下
パン:「……説明しなさい」
サン:「本当に、ただ友達になってほしいって頼まれただけなんです」
パン:「……ふーん。友達ねぇ……」
サン:「本当です」
(サン:先輩、明らかに怒ってるよな……)
サン:「すみません……」
パンは黙ってサンを見つめたあと、握られたサンの手をぎゅっと握りしめ、そしてゆっくりと離した。
パン:「……わかったわ。今回は信じてあげる」
「あらあら! 生徒会副会長が、男の子とイチャイチャしてるなんて。スキャンダルかしら~?」
パン:「っ……!?」
ビュー://廊下の角から姿を現す//
サン:「ビュー先輩……」
ビュー:「会ってまだ二日目なのに、パンと随分仲良くなったじゃない」
サン:「ええと……」
(サン:返す言葉が見つからない……)
パン:「はぁ……。じゃあ、また後でね、サン。私は仕事があるから。……ちゃんと授業受けるのよ」
サン:「はい、先輩」
.
.
(サン:俺、さっき何してたんだ……。体が勝手に動いて先輩の手を握っちまった)
サン://_// 「……でも、悪くはなかったかも」
サンは小さく独り言をつぶやいた。
17:00 生徒会室
ビュー:「ねえ、パン」
パン:「何よ」
ビュー:「あんた、サンくんのことが好きなの?」
パン:「……さあ、どうかしらね」
ビュー:「もう……。好きなら好きって言いなさいよ。他の誰かに奪われてもいいわけ?」
パン:「他の誰か?」
パンの脳裏に、屋上で見たフェスの執着に満ちた瞳が浮かぶ。
パン://不敵な笑みを浮かべる// 「……あの子には、絶対に渡さないわ」
ビュー:「ん? 今、何か言った?」
パン:「別に。……それより、先に帰るわね」
ビュー:°~° 「ふーん? 怪しいわねぇ」
.
.
サン:「ハクションッ! ……誰か俺の噂でもしてるのか?」
(第3話 完)
第3話まで読んでいただきありがとうございます!
フェスの豹変ぶり、ゾクッとしましたね……。彼女のサンへの執着は一体どこまで行くのか。そしてパン先輩もついにライバル心を剥き出しにしました。
これからサンを巡る女の戦い(?)が加速していきそうです!
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次回の更新もお楽しみに!作者のクラブ でした。




