004 私一体どうなっちゃうの〜!?
私、クロ・スミス!
何処にでも居る普通の十八歳!!
すっごい山奥の村に住んでる私は、毎日を村の手伝いをしたり、大大大好きな剣を振ったりして過ごしてたの!
「こんな時間がずっと続けば良いのに…」
なーんて、言う程毎日が充実していた私。
このまま何となくこの村で生きて、何となく死んでいくと思っていた私だけど、そうは問屋が下さなかった!
村で見た事の無い男の子が歩いているなーって思っていたら、さあ大変!
急にこちらに走って来て、開口一番
「正しくこの出会いは運命だ!どうか俺と一緒に来てくれませんか?」
ですって?!隣で笑うのを我慢してる妹は後でしばくとして、私の生活これから一体どうなっちゃうの〜!?
いやまじで。何この状況。
さっぱり意味がわからん。全身黒ずくめの赤髪長髪ロン毛男がこちらに走って来たと思えば、急にプロポーズをして来たのだ。
え?君男の人だよね?筋肉のつき方とか完全にそうだし…それとも村の外ではそう言うのが流行ってんのか?
まあ、何はともあれキッパリと断っておくべきだな。
「ごめんなさい、私好きな人が居るの…」これじゃ無いな…「ごめんなさい、貴方とはお付き合い出来ません」よしこれだ!シンプルに気持ちを伝えられる!
こんな面倒事はとっとと終わらせてしまおう。
「ご…」
「君のその剣術に惚れたんだ!どうか帝都に来て俺と一緒に冒険者をやってくれないか?」
俺のセリフは、ロン毛男のさらなる告白に遮られた。が、成程。
惚れたのは俺じゃなくて剣術の方ね。なんだこいつ、見る目あるじゃねーか!
完全に自己流ではあるが、やはり、自分の大好きな物を褒められるのは気分が良い。その冒険者?とやらになってやらん事も無い。
だが、断る!俺は面倒事が嫌いなんだ。出来ればこの村で一生今のままの生活をしていたい。
何と言って断ろうかな〜、面倒くさいな〜って思ってると、ふと妹のティナと目が合った。
ティナは俺の言いたい事は全て分かった、と言わんばかりにサムズアップをしている。
ふっ、流石俺の妹よ…ならば任せたぞ…俺はティナに向かって大きく頷く。
「お兄ちゃんは喜んで付いて行くそうです!」
「ほ、本当か!ありがとう!!ありがとう!!」
は???
「まぁ、ブレイブ君、今日の所はゆっくり休むといいよ〜」
「はい、トナリさん!おっと自己紹介がまだだったね、俺の名前はブレイブだ。君達の名前を教えてくれるかい?」
「私はティナっていいます。こっちのお兄ちゃんはクロ」
「そうかい!ティナにクロ!よろしく頼むよ!!」
ブレイブと名乗った青年は、満面の笑みで俺の手を持ち、ブンブンと振っている。
少しすると手を離して、トナリのオヤジさんに着いて行った。
その間俺は全く思考が働ず、ブレイブになされるがままだった。ティナが隣でニコニコしているが、一向に俺と目を合わせようとしない。
こ、こいつ!兄を売りやがったな…!!何故だ!?俺達は仲良し兄弟じゃなかったのか!?
俺が面倒くさがって人と殆ど話さないから、その通訳代わりに使ってたのが悪かったのか!?
それともいつも晩御飯のおかずを、こっそり一つ拝借してるのがバレていたのか!?
それともあの時の…!?クソッ!心当たりがあり過ぎて分からん!
だがまぁ、こんな時に使える必殺の極意を俺は知っている。それは…寝る!そう、明日の俺が何とかしてくれるさ作戦だ!
その後俺は無心で剣を振り、飯を食べ、明日の俺に全てを託して寝る事にした。
グッナイ今日の俺。頑張れ明日の俺。