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片耳から「ピニャー」って聞こえるけど、俺にしか聞こえない精霊言語だったwww  作者: 康成


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後日談「冒険者のやり方」

「よろしくお願いします!」

「もうちょっと砕けた感じでお願いできませんか?!」


 開幕早々、王族からにこやかに頭を下げられかけたので慌てて止める。

 本日は第三騎士団の演習場を借りて、ルイシン様に実戦向きの魔法を教えることになっている。とはいえ、素材採取がてら魔獣を狩ってる程度なんだけどな。

 第三騎士団から学ぶほうがよくね?って思ったけど、どこから湧いて出たのか騎士団のやつらの見学が多いな。

 やりにくい。


「……冒険者のやり方だけど、いいんです?」

「もちろんです!普段とは違っていると思うので、色々と知りたいんです」

 うんうんと後ろで頷くな、お前らには聞いてない。魔獣討伐のプロだろ、第三騎士団。

「冒険者が魔獣を狩るとき、一番大切にしていることは何だと思います?」

「一番……」

 考え込むルイシン様。


「素材のランクか?」

「やっぱ金になるかどうかかな」

 あ、こいつらしっかり参加する気だ。無視しよ。

「……確実性ですか?」

 考えがまとまったルイシン様がパッと顔を上げる。


「それもあるし惜しいけど、一番は引き際ですね。逃げ損なったら死ぬんで、フツーに」

 元冒険者で現第三騎士団のやつだけは深く頷いている。

「確実性はその次かな。なるべく傷まないように狩りたいし、実力ギリギリ勝てるやつよりも余裕がある獲物を狙いますね」

「傷まないようにって、それはあんたとバルドレム翁だけですよ!さも冒険者なら当然のように言わないでくれません?」

 ガヤがうるせぇな。


「はい、というわけで……俺が今から魔法を使いながら逃げます。ルイシン様は捕まえにきてくださいね」

 このへんの説明よりも動きたそうでうずうずしてるから、さっさと実践のがいいだろう。

「演習場を一周するまでに捕まえてみてください。あ、攻撃魔法を使っても構いませんよ。3秒したら追いかけてきてください!」


 そして駆け出す。――……分かってた、第三騎士団も追ってくるのは分かってた。

 やつらの足元付近にランダムに小さな穴を土魔法で掘る。

 案の定、不意に足を取られ……たけど体幹が強ぇな?!こけろよ!

「リシアン!お前の魔法で滑って大惨事になってから我々は体幹訓練を強化中だ!」

「二度も同じ手をくってたまるか!」

 いや、あれは第三騎士団に向けてやったわけじゃない。あんな事故のようなことを根に持ってんじゃねぇよ。

 

 後ろから飛んでくる火魔法の火球は風魔法で少しだけ軌道を逸らす。ついでにその風で砂埃を立てて視界を塞ぐ。

 あーもー……これでもあんま減らないし、魔獣より第三騎士団のがたち悪ぃ。

 わりと全力で走ってんだけどなぁ。

 次に飛んできた新たな火球は水魔法をぶつけると一気に霧が出……ても、そうですね。ガンガン風魔法で散らしながら追ってくるんですね。

 そんな魔獣いねぇよ。ふざけんなよ、お前ら。


 さて、もう少しで一周かなと思ったら眼前が緑色一色に染まる。

「一周する前に、捕まえたらいいんでしょう?」

 広範囲の木属性の魔法は、一歩も動いていないルイシン様が展開したようだ。

 密度が高く、太い蔦が壁となって立ちはだかっている。

 走りながら、チラリと後ろを見ても迫りくる第三騎士団の面々。


「チッ」と舌打ちが出る。

「風乃!」

『はーい、リシアン』

 契約精霊が魔法の行使では一番その力が引き出せる。俺は魔力はそんな多いほうじゃないけど……風乃に頼めばそれなりなんだよ。

 範囲よりスピードと威力だけに集中して風の刃を振るってもらう。そうして出来たギリギリ通り抜けられる程度の隙間に走る勢いそのままに滑り込む。


「あ゙っ……!」

 何とか一周が終わって振り向いたら、俺が抜けた穴に第三騎士団のやつが嵌っていた。足だけ見えてる。

 ……いや、お前のがデカいんだから、そりゃあ通り抜けるの無理があんだろ。


「惜しかったですね?ルイシン様」

 いけると思ったんだろう、少しばかり悔しそうな顔をしている。

「あんな魔法を使えると思っていませんでした。リシアンにそこまで魔力があるなんて……」

 魔力は、爵位で分かりやすく決まる。というのも、高位貴族のが魔力が高い傾向にあるしそうやって婚姻が結ばれていくから。


「俺は魔力、少ない方ですよ?」

「「「え?」」」

 俺は子爵家の、しかも庶子だからな?そりゃあ突然変異でもなければそうはならない。ちなみに兄上は魔力が高め。これぞ歴史だけはそこそこあるヴァルディリア家の突然変異。

「ちょっと、計測計測!」

 どこから持ってきたんだ、魔力測定器。

 しかもすげぇ期待しながら見られても……。ホント大した数値、出ないから渋々と手を置く。


「んー……3.5ってとこか?」

 ほら、微妙な空気になるじゃん!あとちょっと増えてんなと個人的には少しうれしい。

 ガッと肩を掴まれた。え、何?

「リシアン、その魔力値でここまでの魔法……どうか我々にも教えを!」

 目が血走っててフツーに怖い。ホラーじゃん。

「え、やだ」

 やっべ、うっかり口に出た。


「そこを何とか!」

 と言って追い縋る第三騎士団から……演習場の二周目に突入した。逃げるから追うんだとは言われた。

 ちなみにわりとすぐ捕まった。やつらの本気の連携を見た。


「だから、大きければいいってもんじゃないんだって!小さく、でもそのままの威力でさぁ?」

 そして覚えが悪い。普段、魔力に物を言わせてるからそうなるんだよ!

「すみません、ルイシン様こいつらが……」

 振り返って言うと

「いや、楽しいからそのまま続けてくれ」

 本当に楽しそうに、その手元には白い火球がふよふよと大きさを歪めながら光っていた。

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