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片耳から「ピニャー」って聞こえるけど、俺にしか聞こえない精霊言語だったwww  作者: 康成


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30話「王弟殿下とレンチンの魔法」

「………………」

 

 空気が、重い。第一王子殿下の精霊から聞いた話を伝えたらこうなった。

 兄上とルミちゃんは王族2人と今後どう動くかを緊急で話し合い。アグニスはローダウェル侯爵家へ帰った。鍛錬するんだって。

 というわけで、取り残されました。俺は王城の内情とかよく知らないし、どこまで聞かせられる内容かを精査してからになるらしい。


「二代目、今度こそ我らが魂の故郷について語り合おうじゃないか!」


 何か来た。


「え、王弟殿下は抜けてきてよかったんですか?」

「いーのいーの、セイたんは賢いからね!最近は反抗期みたいで叔父たんのことを鬱陶しがる年頃なんだけど、そこがまたかわいくてねー」


 あ、これはシンプルに追い出されたんだな。たぶん。


「さぁ!まずは聞きたいことがあったんだが」

 そんな前置きで

「ぬるぽ?」

「…………ガッ?」


 問われた謎の発言にほぼ無意識に返事をした。


「同士キタ━━━━(°∀°)━━━━!!」


 待って。同士きてない。掲示板っていうのは知ってる。学生の頃とか?暇つぶしに見てたから。

 何ちゃんねるだっけな……。


「いやー、もうこれは不敬とか言わないからマジでフツーに喋っちゃって!ついに同士と出会うとは……」

 何かめっちゃ早口だし盛り上がってる。

「すみません、俺そこまで詳しくないです。学生の頃に暇つぶしで見てただけっていうか」

「ROM専ってこと?」

「ロム……?いや、前の世界のこと自体あんま覚えてないんですよね」


 ホント、悪いんだけど……たまに浮かぶくらいでそこまで詳しく覚えてないんだよな。


「せっかく流行りの異世界転生したのに現代知識チートできないじゃん!」

「は?そんなもん流行ってたんですか?」

 何それ、聞いたことないんだけど。え?ニホン人って異世界に転生できるとか……あんま覚えてない俺でもさすがに「ねぇわ」の一言なんだけど。


「ん?あの古のネタを知っていたくらいだから、二代目も日本では同世代くらいだったんじゃないの?」

「古の?え、俺が学生の頃にまとめたやつ?何かで見かけましたけど古ってほど昔のネタじゃ……」

 ないはず……。というか、俺って……。


「ごめーん!そうか、そうだったんだなぁ……。ちなみに、何か覚えてることってある?」

「あ、社畜って何のことか分かります?」

「二代目ー!!!」

 ボーッと考えてたら、とりあえず最初に思い出していた単語が口に出た。泣きながら抱き着いてこようとする王弟殿下をかわしながら、やっぱ俺って前はあんま長く生きなかったんだなと思った。


「いい!二代目はもう何も思い出さなくていいから。俺のことはもう親戚のオッサンくらいのノリで、甘えておいで!」

 

 何がどうしてこうなった。


 あと二代目呼びが固定されてる。もうどうしようもないやつじゃん。

 とりあえず王弟殿下のことは「ギンさん」って呼んでいいらしいよ。あと言葉遣いも気にしなくていいって。


 ギンさんとは何か話していて感覚が合う。価値観とか考え方が俺らは前世寄りなんじゃないかなだって。

 俺があんま貴族教育を受けなかったから、余計にその傾向が強く出ているのではないだろうかと教えてくれた。


「それにしてもさー、何でルミちゃんの出自即バレしたの?帰ってきたルミちゃんが影を辞めますって言い出してびっくりしたよ」

 俺もびっくりだよ。え、消すか消えるかをマジで実行しようとしたわけ?

「ルミちゃん辞めないっすよね?あと消すとか消えるとか不穏なこと言ってたんですけど」

 心配になって、まずはそこの確認から。


「どっちもさせないから安心していいよ。とりあえず二代目が精霊から聞いたってことにしよって言いくるめといたから!」

 超便利に使われてるな、俺。精霊たちもそんな事出来るわけねぇよな。

「精霊たちもそこまで万能じゃないんですけどね」

 苦笑してそう言うと、風乃が

 

『できるよ?友達に聞いてー、それをたどればできるもん!』

 とか言い出したから、兄上の言いつけを守って「話しかけられても反応しない」を実行した。


 ギンさんには色々と王城のこととか、医官の派閥がとかを教えてもらった。

 とりあえずギンさん的には

「いつ魔法が使えなくなるか分からないからね、頼り切りはよくないと思うんだよ」

 なんて言ってた。中々に新しい視点だなと思ったけど、ギンさんが言うには「前世では割とありがちな鉄板ネタ」らしい。

 そんなわけで、魔法に頼らずとも人の技術によって医官のレベルを上げたい派。ちなみに兄上が治癒魔法もだけど、かなり応急処置とかの技術がすごいんだって。


「何でそんな兄上がギンさんじゃなくてザファルドの部下なわけ?」

 そう聞いたら

「あみだくじで……ザファルドが勝ったから」

 ……王族、命じろよ。そういう時は権力を振りかざせよ。何でそこだけフェアプレーの精神発揮してんだよ。

 あとあみだくじって決めようとか言い出したの、絶対ギンさんだよね?


 そんで、ザファルドたちは「精霊をいかに使役して治癒魔法の精度を上げるか」に注力している派。使役とか言い方もなーんか嫌な感じ。


「とりあえずぶっ飛ばせばよくないです?第一王子殿下の精霊をどうしてんのかもそれから吐かせたらいいんじゃないんですか?」

「大人はそう簡単にいかないんだよー!いきなりぶっ飛ばせないし、やっていいなら俺がもうやってる……」

 ……血走った目で言うギンさんは、甥っ子を溺愛してるんだっけ。何かごめん。


 たぶん予定より話が長くなったからだろう。従者が呼びに来て、ギンさんは「家でご飯食べて帰りなよ!まだ話したいからー」と言いながら護衛騎士に引きずられながら退室した。

 手慣れた様子にいつものことなんだろうなと思った。

 家でご飯とか軽いノリだけど……これは「王城にて王弟殿下と晩餐会」で合ってるはず。



 そして、その夕食の席にはなぜか第一王子殿下もいらっしゃる。

「セイたんも誘っちゃった!」じゃねぇよ。あと兄上もいる。

 豪華な食事なんだけれど、第一王子殿下は食が細いのかあんまり減ってない。具合、悪いのかな?


 よく見ると、第一王子殿下とギンさんの料理からは湯気が立っていない。

「ねぇ、ギンさん。そっちのって冷たいの?」

「ちょっと、リシアン!不敬だからやめなさい!」

 仲良くなったって説明したじゃないですか、兄上……。

「いいんだよ、レオナリスくん。呼び方もこの話し方も許しているし、リシアンの親戚のオッサン的存在に……俺はなる!」

 ギンさんにそう言われたら、兄上も何も言えない。というより、何を言えばいいか分からないって顔をしている。


「湯気が出ないのは、毒見が済んだものしか出されないからね。あぁ、二代目たちのも毒見済みだから安心してくれ。王族はさらに手順がいるから、どうしても冷めるんだよねぇ……」

 そう言ってたから

「じゃあ、温めたらいいんじゃないですか?レンチンの魔法かけましょうか?」

「マジ?!てか、レンチンを魔法にしたんだ」

 ギンさんはめっちゃ笑ってる。「やってみて!」とお願いされたから、レンチンの魔法をかける。


 ふわりと湯気とともに食欲をそそる肉とソースの香り。やっぱ温かいほうがおいしいよね。

「二代目、天才かよ……。てか、それどうやんの?」

 とギンさんが聞いてきたから、風と水属性の精霊に頼めばいいと教える。ギンさんもやってみたいようだったから、風乃がギンさんと馴染みの精霊に教えてあげていた。


 そしてギンさんが、オシャレな金属で飾られたエッグスタンドに向かって……

「王弟殿下、それは……!」

 兄上が声を掛けるのと同時に、魔法が発動され


「ボンッ!!」


 卵が爆散した。


「王弟殿下、お怪我は!」

 兄上が焦って声を掛けているけれど

「守護魔法が発動したから平気。……魔法攻撃と認識されたっぽい。いやー、卵ってレンチンしたら爆発すんのすっかり忘れてた☆」

 テヘッと笑ってるし、だいふ呑気なんですけど。てか、卵にレンチンの魔法をすると爆発するんだ……。知らなかった。

 それに、王族の守護魔法すげぇな。オートで発動ってエグいな。


「叔父上……」

 呆れながらも、無事なギンさんを見てホッとした様子の第一王子殿下。

「いや、マジでこうなんの卵くらいで安全な魔法だから!セイたんのも温めてあげるから」

 断ろうとしている第一王子殿下を無視して温めてた。温かい食べ物をあんまり食べたことがないんだろうな。


「……おいしい」

 とポツリとこぼした第一王子殿下が印象的だった。



 さて、食事が終わり俺とギンさんは第一王子殿下からお叱りを受けているのだが……なぜ。

「レンチンの魔法と言ったか?これの効果はどういったものだと考えている?」


 さっきまで「おいしい」って言ってたじゃん?

「冷めた食べ物もこれでおいしく食べられます」

「やっぱ熱々がおいしいよね!」

 ため息をつかれた。


「……これを攻撃魔法に転用したらどうなると思う?」

「はっ、これで熱々おでんリアクション芸ができるんじゃないか……!」

 閃いた!みたいにギンさんが言ってるけど、それって必要?攻撃魔法に入るのかな。

「思ったより熱くなると、口の中は火傷するかもしれないですね」


「2人とも食べるところから離れようか?これを、人体に向かって発動したらどうなると思う?」

 第一王子殿下の言葉に揃って言葉をなくす。

「……内部が重度の熱傷を負うことになりますね。火属性魔法の発動と違って、見た目でそれを察知することも困難です」

 兄上がそう告げるから、俺とギンさんはさぁーっと顔色が青褪める。激ヤバな魔法じゃん!


 攻撃魔法としてはもちろん、拷問としても有用な手段となり得ると告げられてもう俺とギンさんは震えるしかできないよね。

 レンチンの魔法については以後、口外禁止の命令が出た。飲食物に関してのみ使用許可が……王家の影にレンチンの魔法を教えることと引換えに許された。

 ただし人前では絶対に使用しないよう厳命された。


 大人しく「はい」と返事をする俺の隣でギンさんが

「チン!」って音の再現には何魔法がいいかな……などと言っていて、何でこの人は全然反省していないんだろうと思った。

 ギンさんだけお叱りの延長線に突入した。

 俺も帰宅後に兄上から、レンチン魔法を人体に使用した際に起こり得る事象例をこんこんと説明された。


 ただのレンチンが、そんな恐ろしい魔法とは思わなかったんだよ!



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