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片耳から「ピニャー」って聞こえるけど、俺にしか聞こえない精霊言語だったwww  作者: 康成


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19話「俺の兄上がマジでカッコいい」

「薬飴・溶薬・笛飴」


・薬飴:失敗したジャムに色々混ぜたら薬効ありそう。でもけっこう弱いから薬にはできないやつ。

 →ミレア姉さんと成分分析済。薬ほどではないが、少し薬効ある。作用時間と1日に使える量を精査してから販売

・溶薬:ミレア姉さんの改良で飴より柔らかくなった。ゆっくり溶けてじわじわ効くやつ。窒息防止に真ん中に穴がある。効果は薬飴と一緒くらい?

 →ミレア姉さんと成分分析済。薬飴と同じく精査後から販売

・笛飴:溶薬と同じ金型使用。中を空洞にすることで吹くと音が鳴る。

「 薬 で 遊 ば な い 」

蜂蜜を固めて作る。外側はベタつかないように加工する。吹くと音が鳴るから冒険者と猟師に非常食兼緊急時や合図の笛にする。


+子どもたちが喜んでた(小さい子は蜂蜜ダメ)

菓子店用に新しい味を作る。

小さくなったやつを噛むとベタベタして歯にくっつく→ミレア姉さんに要相談


 □――□――□――□――□


 兄上が俺の研究メモを読んでいた。すげぇ雑にしか書いてないのを見られた……。いや、兄上には好きなとこ見てもらって大丈夫とは言ってたけど。

 ついでに書きかけの手紙も一緒に見つかった。色々と机に出しっぱなしな俺が悪いんだけど……兄上、その書きかけの手紙を大事そうに持って帰ろうとするのやめませんか?


 あと昨日、水桶にポチャンした包帯……あれが謎の変化を起こしている。スノウモスルァーの繭を解すのに使ったただの水なんだけど、何かぷよぷよと柔らかい材質の何かになってる。

 兄上が「傷口に貼るガーゼの代わりになるかも?」と言っていたから、これの効果は後ほど確認してもらうことになった。

 取り扱いとしては幻蚕の繭自体は使っていないし、副産物的な何か……っぽい。王国法的にもグレーよりの白か?くらいの扱いになるかもだって。


 で、今日の予定は街の鍛冶工房に兄上が加工してほしい道具諸々を依頼した後に、ミレア姉さんのとこに笛飴の改良相談に行く。

 そう兄上にお伝えしたら「僕もぜひどちらも同行したいな」だって。


 そしてやって来た街で……果てしなく浮いている兄上とオルセリオ。服装こそ市井のそれでも隠しきれない兄上の品のよさと、オルセリオの輝く金色の(たてがみ)に栗毛の馬体も高貴さを際立たせ……浮いている。全然、忍べてない貴族来ちゃったよ感がいなめない。風乃に頼んで、そっと街人の「あれはどこの貴族様?」「なぜこんな辺境にあれ程に高貴な……」という声は兄上に届かないようにしてもらった。

「兄上、オルセリオの毛色は珍しく目立ってしまうので……鍛冶工房へとりあえず行きましょう」

 そう声をかけたら兄上は納得してついてきてくれた。よかった。


「おっちゃんいるー?」

 馴染みの鍛冶工房の扉を開いて、大声で尋ねる。作業中だと聞こえないからな。

「リシアンか?ちょっとそこで待ってろ、すぐ行く」

 おっちゃんの作業のキリがよくなるまで上がり込んで待つ。兄上は珍しそうに工房内を見渡している。


「坊主、待たせた……な」

 うん、そうなるよな。おっちゃんがフリーズした。

「おっちゃん、こちらは俺の兄上。ちょっと依頼がいくつかあってさー」

 おっちゃんに腰のあたりをガッと掴まれて、ちょっと離れたところまで引きずられる。

「……坊主、あの方は?」

「いや、だから俺の兄上で……おっちゃんにも俺に兄上がいるって話してたよね?!」

「あのどう見ても貴族な……貴族だったな、お前も」

 

 最初に来たとき、師匠が俺のことはざっくり説明している。「この間まで子爵家にいたから常識がないところもあるが頼む」って。

 ちなみにしばらく、師匠の冗談かと思われていた。それからもかなりの割合でたまーーに思い出されるくらい。いや、別に貴族オーラとかいらないし。やろうと思えばできるけど必要性もないし?


「そーだよ……あ、兄上は今も子爵家の方だから。でもそんな身分とか振りかざすタイプのお方じゃないから大丈夫!」

 兄上は人間ができているから、貴族だーって理不尽な要求もしないしマジ聖人。

「お話は終わりましたか?弟がお世話になっております。兄のレオナリスと申します」

 天使な笑顔も健在です。


「というわけで……おっちゃん、これが兄上からの依頼の品です。デザイン画のままの大きさで作って!素材はこっちで持つからさー」

 そう言ってデザイン画と師匠の研究室から持ってきた金属をドンと渡す。どんな金属かよく分かんないけど兄上が「これを使えたらなぁ……」って言ったから持ってきた。戻ってくるまでに返せばいいかなって。

 

「こいつはまた……ずいぶんとだな」

「私は医官をしております。この道具があれば助かる命も、ただ助かるだけではなく彼らのその後の生活すら変わる……そんな大切な道具になると思うのです。弟から貴方が信頼の置ける職人だと聞き、耳飾りも拝見しました。その上で是非とも貴方にお願いしたいのです」

 

 兄上、マジかっこいい。

「それはまた……ありがたい話だ。それなら少し詳しいことを聞きたいのだが……」

 デザイン画を見て先端はこうでとかああでと話し合う2人を見ながら……俺はもう1枚のデザイン画をより細かく描き足しながら待つことにした。

 話がまとまった2人は握手を交わしていた。

 

「あ、終わった?じゃあ、おっちゃんこっちもお願い」

 そう言って1枚のデザイン画と小さな木箱を2つ手渡す。

「ちょっと待て、坊主!」

「あ、これ前払い分ね!兄上の分も一緒に入ってるから」

 おっちゃんに捕まる前に工房を出た。

 

 俺が手渡したのは丸い魔石……スノウモスルァーの繭から出てきた、真珠のように丸い淡く白銀に輝くそれを取り囲むようにデザインした金属の枠。渡した金属は俺の髪色と同じアッシュブラウンで……光に当たると少し鈍い金色に輝く。

 金属枠のデザインは「立ち上がる馬」「舞う蚕」「流麗な風模様」だ。何か、記念になるものがほしかった。俺の大切な愛馬と従魔と精霊だから。



 さて、おっちゃんの鍛冶工房のお次はミレア姉さんのところ。

「ミレア姉さん、相談があるんだけどー!」

 今回は怒られないようにそっとドアを開けてから声をかける。

「リシアン!そっと開けたまではいいけど大きな声もお客さんがいたらびっくりするからだめよ?」

「さっきまで鍛冶工房のおっちゃんのとこにいたからつい……あ、兄上も一緒です!」

ミレア姉さんは俺が自分の声のボリュームが掴みにくいことを知っている。今までの経験上で「ここではこれくらい」を感覚で話しているのを知っているから苦笑するだけで、怒られなかった。セーフ。


「ミレアさん、こんにちは。リシアンから薬飴溶薬のことを聞き興味深くて……ご一緒してもいいですか?」

「医官のヴァルディリア様に見てもらえるなんて……ありがたいですわ。わたしも勉強させてください」

 2人ともすごくうれしそうだし、医官の兄上監修だとすごい助かる。

 まずは薬飴から口にしてもらう。


「……うん、すっきりしていて口当たりもいいしこのままでもよいと思います」

 やった!あれから調整して薬効もかなり抑えたんだよね。似たようなのが2つあっても意味ないし。用途を使い分けようと思って。薬飴は気休めくらいって感じにした。

 

 次の溶薬は……

「形はこのままでいいと思います……こちらは軽い薬くらいになりそうですね?」

「そうなんです、薬とまではいかない程度に効果は落としていますが……」

「それだともう少し改良がいるかと思います。これではおいしすぎるんです」

 

 おいしすぎる?ミレア姉さんは「薬が苦痛にならないように」と飲みやすさも大事にしている。飲めないと、治せるものも治らないからって。

 俺の飲んだ難聴のやつもそれならどうにかしてほしかったけど……あれはどうにもならないらしい。


「おいしすぎると、つい食べすぎてしまうこともあると思うんです。そうなると薬の処方もあれば、過剰となるかもしれません。少量で渡すか……プラティコも使っていますよね?もう少しその苦みを残してあげてもいいと思いますよ」

 さすが兄上……。

 

「あと……先程の飴より柔らかいので、小さくなるうちに癖で噛む人もいるかもしれません。内側部分は有効成分を抑えて、層になるようにしてもよいかもしれませんね」

 穏やかに微笑む兄上から後光が見えるのは俺だけですか?俺の兄上、マジ半端ない。


 3人でけっこうな時間、試作を楽しんで……バタバタ帰宅した。笛飴の件はミレア姉さんにメモとともに託した。丸投げしてきたとも言う。

 それにしても兄上とミレア姉さん、横に並ぶとお似合いだなぁと思った。

 

 2人とも穏やかで知的でやさしくて……兄上もふくよかだけど顔のパーツは正統派って感じに整ってるから、ミレア姉さんと並び立っても遜色ないというか……。うん、お似合いだ。

 兄上みたいな、というか兄上と結婚したらミレア姉さんはきっと幸せになってくれるはず。そして、俺の大切な兄上もミレア姉さんになら任せられる。兄上はかなりお人好しだ……頼むから変な女の人には騙されないでほしいと心配なんだよな。

 

 何だかチクリと少しだけ胸が痛むけど、今すぐ2人がどうこうなるわけじゃないし?何だろ?

 ……俺もそろそろ兄上離れの準備をした方がいいのかもしれない。

リシアンが師匠の研究室から拝借した金属はかなり高級品。

錆びないし、滅多なことで傷も付かない代物だったりする。

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