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天空門のルシフィス  作者: かみちん
惑星イオ 光国編
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第93話 キヨサトの森、ドライアド

軍隊オオアリとの戦いが始まり、エリア、エレノア、オレク、イザーナの四人は、右翼の端と側面の防衛を任され、その場所へと向かっていた。そんな中、キヨサトの森にある特別な場所で、ある反応が起こり始めていた。


「緊急事態です!緊急事態!」


慌ただしく駆け込んできた副部長のドラーナに、火災対策本部長のドリトルが落ち着いた声で尋ねる。


「ドラーナ、そんなに慌ててどうした?」


「要注意人物の、Iイザーナ)が、キヨサトに向かっています!」


「なんだと……!全員に警戒態勢を取るよう連絡しろ!」


「了解しました!」


ドライアド(樹木精霊)たちが働くこの場所は、キヨサトの森にある火災対策本部だ。彼らは森火事や山火事の危険がある時、または既に火災が発生した際に、防火措置や消火、延焼を阻止する役割を担っていた。

話しをしていたのは、本部長のドリトル(男性型)と副部長のドラーナ(女性型)である。


「まさか、対象Iがまた現れるとはな。森の外では軍隊オオアリが進行しているようだが、それが原因で火事になる危険度は低いだろう。しかし、イフリートと契約している者が現れたとなれば、危険度が跳ね上がる……。警戒せねば」


ドライアドがイザーナを警戒するのは、彼女がイフリートと契約しており、いつイフリートが飛び出してくるか分からないからだ。彼らがイフリートを警戒するのには、明確な理由があった。二百数十年前に起きたキヨサトの大火災の原因が、まさにイフリートだったのだ。


当時、極悪魔ベルゼブブが、第三魔王と三代目勇者の結託に便乗し、シールド領やエレバン帝国に大量の魔虫を送り込み、実効支配しようとしていた。その時ベルゼブブの部下である、中級悪魔マブダチがキヨサトの森方面を支配しようと火熊や火蟻などを火属性の魔物を大量に送り込んだ。ハーフエルフたちとドライアドたちが火蟻駆除と火熊討伐に追われる中、イフリートがふらりとシルフェードに会いに来た。


火熊や火蟻を見たイフリートは、親切心からそれらを焼き払ってくれたのだが、イフリートの必殺技により、キヨサトの森は前代未聞の大火災に見舞われた。


それは森の総面積の三分の一が焼失するという大惨事だった。アクアディアが駆けつけ大規模な雨を降らせた事で火災は収まり、当時は人口も少なく人的被害はほぼ無かったものの、森が回復するまでに二百年もの歳月を要した。



「皆に延焼を防止する処置をするよう通達しろ。そして、戦える者はハーフエルフたちが集まっている付近の木に待機するように」


「了解しました!」


副部長のドラーナは、火災の原因となる魔物などを討伐・排除する戦闘部隊の隊長も務めている。キヨサトの森は、イザーナや軍隊オオアリそのものというよりも、イフリートが近づいていることに最大の警戒を始めていた。




一方、軍隊オオアリとの戦闘は、何もしてこない魔物を、ただ駆除するという雰囲気になりつつあった。


中央のファランクス隊は、統率の取れた動きで確実に軍隊オオアリを駆除し、横の隊列と足並みを揃え、ゆっくりと前進していく。


左翼のアタッカー部隊も、着実に軍隊オオアリを駆除しながら前へ進み、騎馬隊も左翼側面から中央に向けてゆっくりと進軍していた。


右翼の魔法兵たちも、遠距離攻撃で確実に敵を駆除している。


まもなく日の入りを迎え、黒い雲で覆われた空から紫の光が差す薄暗い状態から、夜の闇が訪れようとしていた。


「わぁ、さすがはファランクス隊ですね!統率の取れた突き!左翼はアタッカー部隊ですか、なかなかの剣筋ですね。皆さん、修練の賜物です!」


双眼鏡を覗き込み、はしゃいでいるのは第三師団副師団長のラキだった。ラキは戦いを見るのが好きで、普段から訓練を見学していた。彼女自身は一応冒険者ランクBの実力ではあるものの、戦闘自体はあまり得意ではなかった。


「ザンザ様は無双状態ですね。さすがですね、セシリア様?」


ラキがセシリアに問いかけるも、返事はない。


「ジン様もナイスフォローです!さすがですね、セシリア様?」


ラキが再び問いかけるが、セシリアからの返事どころか、「グガー、グガー」と大きないびきが聞こえてくる。


ラキが自身の後ろを振り返ると、セシリアが見慣れないものの上で眠っていた。


「ああっ!セシリア様、寝ちゃダメですよ!ていうか、これは何ですか?」


「こちらは寝具の携帯式ハンモックでございます」

ラキに答えたのは、近衛隊長のレーカだった。


「あぁ、ありがとう。いつの間にこんなものを……。じゃなくて! 起きてください! レーカさんも起こすのを手伝って!」


「はっ!しかし、セシリア様より『二十分後に右翼の旗を赤に』との指示を受けております」


「そ、そうなの!?って、いつから二十分後なのよ!」


ラキと話しているのは、名前をレーカ。


第三師団 近衛隊長 レーカ

年齢:二十代後半、平均的な身長、女性

髪型:黒髪ロング+眼鏡(知的で清楚)


性格:真面目、几帳面で内心は乙女。かわいい物を見るとテンションが上がる

役職:第三師団近衛隊長/給仕部所属・暗殺部門統括

服装:黒を基調としたクラシックメイド服(暗器内蔵)


彼女は第三師団の“なんでも屋”で、冒険者ランクAの実力があり。料理の腕も一流で、さらに第三師団の給仕部のメイド長でもあり、暗殺部隊の統括も務めている。公表されている役職は、近衛隊長となっていた。非常に優れた人物だが、人に仕える方が性にあっていると理解しており、第三師団のトップであるセシリアに仕えていた。


「指示を受けてから、すでに十三分が経ちました」


「寝てから十三分も経っていたなんて……!」


セシリアは寝ると起きないで有名、ラキは戦闘に夢中になっていたことを後悔し始めた。


「わかったわ。とりあえず、あと七分後に旗の色よろしくお願いね」


「了解しました。それと、セシリア様を起こす方法ですが、ゴニョニョ……」


「わ、分かったわ……」


「それでは、準備をしてまいります」


「はぁ……気が重い」



左翼側面騎馬隊


その頃、左翼側面の騎馬隊では、ジンがザンザに夜になることを告げていた。


「まもなく夜になるが、どうする?」


「オルクスの旦那は、このままやる気みたいだな!セシリアの伝令旗も青いままだし」


その時、第一師団のいる中央から、光魔法「陽光兵」が多数現れ、戦場一帯を明るく照らし始めた。


「このままやるってよ」


「しかし、このままだと馬が……」


「そうだな。さすがに馬は下がらせるか」


馬は夜でも目が見えるのだが、多数の陽光兵の光によって、本来の走りができなくなる恐れがあった。


「騎馬隊全員に、馬を左翼後方へ戻すよう通達!徒歩でアタッカー隊と合流するぞ!」


「了解しました!」


ザンザたち騎馬隊は馬を降り、左翼正面から進軍しているアタッカー部隊と合流するため、左翼正面の中央へと軍隊オオアリを駆除しながら徒歩で向かうことにした。


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