表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空門のルシフィス  作者: かみちん
惑星イオ 光国編
76/101

第76話 光の塔 ライティングタワー①

天空門鬼ヶ島での修練の日々。仲間たちは日々汗を流しながら、次なる使命の時を静かに待っていた。


その沈黙を破るように、ついにエバからの招集が届く。


目的地は――光の塔。


「じゃあ、皆さん行きましょう」


エリアが指を鳴らすように軽く念じると、白いモヤが足元から立ち上り、辺りの空気が一気に変わる。視界が一瞬白く染まり、次の瞬間、彼らは光の塔の重厚な玄関前へと転移していた。


「さすが姉さん、ドンピシャですね!」


エレノアが目を輝かせて声をあげる。まるで冒険に胸を躍らせる少女のような表情だった。


エリアは得意げに微笑み、唇をわずかに上げる。


「ふふふ。空間把握は得意なのよ」


オレクは感心したようにうなずき、イザーナも穏やかに微笑んでいた。だが、和やかな空気は長く続かなかった。


突然、塔の向こうから賑やかな足音と共に、元気な男の声が響いた。


「エリア〜!」


その声に、エリアの表情が一瞬でこわばる。


「……ゲッ。オリバー」


現れたのは、かつてティオーネ教団で共に修行を積んだ仲間――陽気で人懐っこく、どこか憎めないお節介焼きの男、オリバーだった。

黒髪をツーブロックに整えた痩身の青年で、その笑顔には天然の優しさが滲んでいる。今は司祭として、教団の教えを伝える立場にあるという。



「エリア! 本当に無事だったんだなぁ〜! イザーナ様もご無事でなによりです〜! 一緒に行方不明って聞いて、みんな心配してたんだぞ!」


腕を大きく広げて走り寄ってくるオリバーに、エリアは顔を引きつらせながらも、咄嗟に距離を取った。


「ちょ、ちょっと! 人前でそういうのやめて!」


「どちら様?」とエレノアが怪訝そうに眉を寄せて尋ねる。


エリアはため息混じりに肩を竦める。


「……彼はオリバー。修行時代の同期よ」


「皆さん、初めまして! オリバーって言います。……エリア、ほんとに無事でよかった!」


目を潤ませるほど感激している様子のオリバーに、エリアは少し気まずそうに微笑み返す。


「そ、そう……心配かけてごめんなさい。でも、今はその――」


「いやぁ、それにしても、また何かやらかしたのか? 光の塔に呼ばれるなんて!」


「また?」

とエレノアが鋭く食いつく。オレクは腕を組み、興味深そうにエリアを見やった。


「ああ、ここ、俺たちの中では“懲罰房”って呼んでてさ。悪さすると掃除させられるんだよ、塔の中で。しかも厳しーんだ、これが!」


「オリバーッ!!」


エリアが顔を真っ赤にして語気を強める。その剣幕にさすがのオリバーも一瞬たじろぐ。


「え? 俺、なんか悪いこと言った?」


「ドンピシャでここに着いた理由が……」とエレノアが呟き、イザーナは口元を押さえてくすくすと笑った。


「エリアの過去にそんなことがあったなんて……」


「ち、違うのよっ! これは、徳を積むために、私が自発的に――!」


必死に否定するエリアの姿に、オレクは片眉を上げて小さくうなずいた。


「なるほど。そういう言い訳、嫌いじゃない」


「昔さー、ホームシックで何度も逃げようとして捕まってたもんな〜、エリア」


「姉さん、可愛い〜」とエレノアが笑う。


「もっと聞かせて、エリアの昔話!」


「や、やめてよもう! オリバー、あっち行って! これから光の精霊様に会うんだから!」


手をばたばたと振って追い払おうとするエリアに、オリバーはあっさりと引き下がる。


「あ、そっか。別の用事だったんだな。あ、そうそう、エバ様からも“イザーナ様の件は他言無用”って言われてたっけ。お邪魔して悪かったな! じゃ、またなー!」


軽く手を振り、さっさと背を向けて去っていくオリバー。その背中を見送りながら、エリアは深いため息を吐いた。


咳払い一つして、気を取り直す。


「えー、コホン。今のは幻です。忘れなさい。さあ、光の超位精霊・エバーテイン様に会いに行くわよ!」


「なるほどな、同期に会いたくなくてエルサリアの町を避けたのか……」


「オレク……無用な推察はやめて……」


「しかし姉さんがホームシック……ふふっ」とエレノアが微笑み、イザーナも肩を震わせて笑いを堪えている。


「エリアったら、可愛すぎる」


仲間たちのからかいに顔を真っ赤に染めながら、エリアは無言で塔の扉を押し開けた。


その背中からは、ほんの少し、照れくさそうな温かさがにじんでいた――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ