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天空門のルシフィス  作者: かみちん
惑星イオ 光国編
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第56話 樹海トンネル調査

ミラー城、光鏡砲の塔にて空と合流したミアとぽん吉は、空の案内で南東樹海基地へと転移した。目的は、闇国側からシールド領へと繋がっているかもしれない「謎のトンネル」の調査だった。


転移した先は、基地の魔物化を治せる風呂場付近。そこにはちょうどメイソンの姿があった。


「おお、空さんにミアじゃないか。久しぶりだな!」


「お久しぶりです」


空が丁寧に返す。


「メイソンおじさん、久しぶり〜」ミアも元気に挨拶した。


「そっちは調子どうだ?」


「光鏡砲の改良が終わったところです」


メイソンは大きく頷いた。


「さすがだな! して……そちらの……?」


ぽん吉に目をやったメイソンの表情が変わる。


「そうか! 姿が変わった者を連れてきてくれたんだな!」


唐突にぽん吉を抱きかかえると、風呂へ向かって歩き出すメイソン。


「ちょちょちょっ! わいをどないする気や〜!」


「何って、風呂に浸かって風呂水を飲めば元に戻るからな〜!」


「いやいや意味わからん〜! わいはぽん吉や!」


「はっはっ、タヌキを演じなくてもいいぞ!」


「いやいやいや、わいはナチュラルなタヌキやで〜!」


ぽん吉の抗議もむなしく、メイソンは構わず彼を風呂に投げ込んだ。


「これ熱いやつやろ〜、あーっ!」


ドボンッ!


「……あっつ〜〜〜くない! 湯加減、丁度ええかも〜」


風呂に浸かって気持ちよさそうにするぽん吉。


「いい湯加減だろ? ほらっ」

メイソンは魔物化解呪水をコップに汲んで、ぽん吉に渡す。


「おっ、冷たい水おおきに〜」


だが、水を飲んでもぽん吉の姿は変わらない。


「……あれ? 戻らない? 新手の呪いか……?」


メイソンが悩み始めたところで、ようやくミアが口を開いた。


「メイソンおじさん、ぽん吉はタヌキ型の妖怪だよ?」


「妖怪……?」


「閻魔大王様――雅閻魔様の部下だよ」


「閻魔大王……! こりゃ失礼した!」


ようやく誤解が解け、メイソンは深く頭を下げた。


「ええて、ええて。このフォルムやから、間違えられるのは日常茶飯事や」


ぽん吉が笑って手を振ると、メイソンも肩の力を抜いた。


「最近、この周辺では動物や魔物たちが、北から追い立てられるように流れ込んできててな。中には魔物に変えられた兵士や冒険者も混じっていて、ちょっとした救出ラッシュ状態なんだ」


「第一師団が、イザーナの捜索隊を北東樹海に投入してるせいやな」とぽん吉が答える。


「リアムから話は聞いていたが……ハリアもいよいよボロが出始めたか。で、その様子を見に?」


「いえ、西側に謎のトンネルがあるかもしれないという情報があり、調査に来ました」と空。


「西側……となると、不死鳥神殿があった辺りか?」


「その地下も通っている可能性があります」


「今は基地周辺に魔物たちがいるが、広域には広がっていない。捜索隊ともバッティングしないはずだ。安心して行ってくれ」


空は頷き、ミアと共に移動しようとした。


「チョイっとお待ちを!」


風呂から上がったぽん吉が、冷たい水をぐっと飲み、プルプルと身体を震わせて水分を飛ばした。


「……ぽん吉って本当に妖怪なのかな?」ミアがぽつりと呟く。


「分かるで、ミアちゃん。妖怪にも動物出自と人間出自があるんや。わいは普通のタヌキが長生きして妖怪になったから、行動もどっちかというと動物寄りやねん。あと、“さん”付けはいらんで。呼び捨てで頼むわ」


「分かったよ、ぽん吉〜」


「さて、話の続きやが、ライガーに変身して現場まで送るで! ポポポンとな!」


瞬時に巨大なライガーの姿へと変化するぽん吉。


「わぁ〜すごーい!」


「一度触れた相手には、ほとんど変身できるんや。さ、乗ってや!」


空とミアを背に乗せ、ぽん吉は空へと舞い上がる。


「さて、神殿ってどの辺やねん?」


「今から左斜め向いて……その方角を真っ直ぐだよ〜」


「おおきに〜ほな!」


不死鳥神殿へと向かう空中移動の最中、ミアのスキルが発動する。


「地下空間、把握!」


彼女の目が鋭くなり、地中の構造を読み取っていく。


「これは……闇国側から、シールド領へと伸びてるね」


「闇国側か……それは手が出しにくいな」


空は、闇国側での行動は闇国側主神であるオモイカネから自由にして良いと許されていたものの、なるべく魔族や亜人を刺激しないように慎重な考えだった。


「トンネルの出口は……一つ目はシールド領、二つ目はエレバン帝国城の外城壁を少し越えたあたりだね」



「そうか……間違いなく、ブラックゴブリンキングとダークゴブリンが関わってると思うわ」


「ブラックゴブリンキングとダークゴブリン……?」空が復唱する。


「シールド領で大規模なゴブリン討伐があった時、逃げ延びたゴブリンが恨みを糧に進化したんや。おそらくは復讐の念から、ゴブリン討伐を主導したキール達やハリアを狙ってるんやろな。他にはあまり害はないと思うで。わいと妖狐はんは、その調査を任されとるんよ」


空は頷いた。「……なるほど、キール達がそんなことを……分かりました。ミアもいいかな?」


「ゴブリンの気持ちは分からなくもない!」


「おおきにな! とりあえず、闇国側からこのトンネルを使って来てるのが分かれば、それで十分や!」


調査を終えた三人は、再びぽん吉の背に乗って、南東樹海基地へと戻っていった。


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