表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空門のルシフィス  作者: かみちん
惑星イオ 光国編
42/101

第42話 重戦士オレク

皇女襲撃事件と商人馬車の件がひと段落し、空が皆に声をかけた。


「そろそろ各自戻りましょうか」


そのときだった。ドリード王国のある方角から、風を切るような声が聞こえてきた。


「勇者様〜っ! 勇者様〜っ! お待ちくだされ〜っ!」


甲高い声と共に、ずんぐりとした影が空たちのもとへ駆け寄ってくる。その者は、ドワーフだった。


「どうやら空に向かって叫んでおるな?」と雅閻魔が呟く。


「空の方ですね」と美加。


「うむ、空殿のようだ」と左鬼も頷いた。


「え、私ですか?」と空が戸惑っていると、


「来たのう……」と雅閻魔が目を細める。


「勇者様ぁぁーっ!」


ドワーフはそのまま空に勢いよく飛びついた。


「ぐふっ!」


「もー、離しませんぞ! 俺も一緒に魔王討伐行きます! 嫌とは言わせません!」


「ちょ、ちょっと……何か勘違いしてますよ! 私は勇者じゃありません!」


「隠しても無駄ですぞ! あなたからは無限に近い力を感じる。間違いなく勇者様ですぞ!」


「いやいや、違いますってば」


「いやいや、違いませんぞ!」


空とドワーフの押し問答がしばらく続いたその時、天空門からひょっこりとミアが顔を出した。


「空にぃ〜、ちょっと気になる場所があるんだけど……って、何してるの?」


空は慌ててミアに事情を説明し、勇者だと信じて疑わないドワーフの説得を彼女に任せた。


「ああ、この人はね。オレクだよ〜」


ミアはドワーフの名前を呼ぶと、空が勇者ではないと諭し始めた。


しかしオレクは頑として信じようとしない。


「またまた〜、ミア嬢、俺を騙そうとしても駄目ですぞ!」


頑として首を横に振るオレクに、ミアは仕方なく天空門にいるトーリンに念話を飛ばした。


ほどなくして現れたトーリンに、ミアが事情を話すと、彼は豪快に笑った。


「ハッハッハ、そういうことか。オレク、ちょっと来い!」


「……トーリンではないか、どこから現れたのだ?」


トーリンに連れられてその場を離れたオレク。ミアは気まずそうに笑いながら空に言った。


「空にぃ、オレクのこと、悪く思わないでね?」


空はオレクの話を聞くことにした。


どうやらオレクは、ドリード国王アレクに憧れ、いつか自分も勇者パーティに加わることを夢見てひたすら鍛え続けていたのだという。五代目勇者が現れ、仲間を探し始めたとの噂が広まると、自分が選ばれると信じて、ドリード王国で待っていたんだけど、近くの漁村で大きな魔物を討伐している間に勇者とすれ違ってしまい。


それ以来、またすれ違わぬよう、ドリード王国の西門に立ち続け五年、来る日も来る日も勇者が通るのを待ち続けたという。


空はふと、ガイアで遊んだゲームのあるイベントを思い出していた。


やがて、トーリンの説得が功を奏し、オレクが戻ってきた。


「天使様とは知らず、失礼いたしました!」


「いえ、大丈夫ですよ」


「オレク、どうしてここに?」とミアが尋ねると、オレクは照れくさそうに話し出した。


ドリード王国からミラー城塞へ帰る、商人の馬車にこっそりついて行けば、勇者様に会えるかもしれないと考え、ひたすら後を追ったのだという。だが馬車は北へ向かい、結局ここへたどり着くまでに二十日近くもかかってしまったのだという。


「うへぇ、二十日間も……」


「そんなにかかったかな? まあそれはともかく、俺は天使様について行きます! もう勇者様は魔族領に入ってるかもしれませんし、追いつけないでしょう。だったら、この力、天使様にお預けします。どうか使ってください!」


「もう間に合わないって、分かってはいたんだね……」とミアは少し寂しげに呟いた。


「分かりました。とはいえ、今はミア達と一緒にいて色々見て回ってください」


「トーリン、任せた!」


「仲間の願いは聞くしかねぇ。色々案内するぜオレク! よろしくな!」


「ありがとう!」


ドリード王国西門で五年間、勇者を待ち続けたオレクは、この後天空門鬼ヶ島にてエリア、エレノア、イザーナとの運命的な出会いを果たすのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ