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天空門のルシフィス  作者: かみちん
惑星イオ 光国編
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第31話 能天使 (パワーズ)

ムドーの晩餐事件から一夜明けた夕刻、ルークの執務室にはリアム、メイソン、空、美加の姿があった。


荘厳な造りの領主館の執務室。その中央には重厚な木製の机と椅子が据えられ、左側にリアムとメイソン、右側に空と美加が腰かけている。正面の席にはルークが座り、真剣な眼差しでリアムに問うた。


「さて、これからどう動くべきだろう?」


リアムが、三つの問題を皆の前に示した。


一つ目は――南東樹海で魔物化した人々の捜索。


二つ目は――光鏡砲を狙う悪魔たちの襲来の可能性。


三つ目は――ドリード王国へ輸出したはずの食糧が、シールド領に横流しされているという疑惑。


リアムの言葉に、メイソンが口を開いた。


「南東樹海については俺に任せてくれ。ムドーが止めてた冒険者の受け入れも再開できた。樹海の探索は良い訓練にもなるしな」


その提案にルークは頷き、探索継続が決定した。


続いて、リアムがドリード王国の食糧問題について、間もなく諜報員から報告が届くと伝える。ルークはそれを静かに待つことにした。


そして、最も警戒すべき二つ目の問題――光鏡砲に関わる悪魔の動向について議論を始めようとした時だった。


突如、部屋の天井に白いモヤが現れ、そこから光が差し込む。そして筋骨隆々とした、見るからに神聖な気配を纏う男が天から降り立った。


「初めまして、ルーク様。私は能天使カマイルと申します」


そう名乗った天使は、能天使カマイル、その姿は、二メートルはある巨体に金髪のパイナップルヘア、白い肌ゴリマッチョな体付きだった。


カマイルは堂々たる態度でルークに一礼した。


ルークが空と美加に視線を送ると、美加がうなずく。


カマイルは続いて空と美加の前に立ち、挨拶を述べる。


「ミカイル様……いえ、美加様。お久しゅうございます。日々筋トレに励みながら、貴女の無事を祈っておりました!」


「ひ、久しぶりですね……」


美加の戸惑いも束の間、カマイルは空にも声をかける。


「悪魔退治のお力添え、光栄の極み! ルシフィ……いや、空様もお元気そうでなにより!」


「久しぶりだね。……相変わらず、仕上がってるね」


空が称賛混じりに返すと、カマイルは誇らしげに胸を張った。


能天使は、宇宙の秩序や均衡を保つ役割を持つ。 また対悪魔用に編成された軍団であり、全員が筋肉自慢の猛者ばかり。美加が率いる天界の悪魔滅殺部隊の直下にあたる存在であった。


リアムとメイソンは無言でその様子を見守る中、カマイルはルークの元に近づき、手にしていた光り輝く腕輪を差し出す。


「こちらをどうぞ、ルーク様。これは『シャイニングリストバンド』と申します。

これを装備し、光魔力を込め握手やハイタッチをすると、悪魔が憑依している者は、思わず熱いっと言って手をフーフーしてしまう、悪魔発見装備でございます」


ルークはしばし考え、ある提案をする。


「それならば、私が領民一人一人に、握手をしながら挨拶を交わすのはどうだろか?自然にふれ合いながら、潜んでいる悪魔をあぶり出せるのでは……」


「素晴らしい案です!」とカマイルは力強く頷いた。


「ミラー城塞には悪魔臭がプンプンしますので、後ほど護衛として我が仲間“僧帽筋”と“脊柱起立筋”をお付けします!」


僧帽筋そうぼうきんとは首から肩、背中にかけて広がる大きな筋肉で、肩関節の運動や呼吸補助に寄与している。


脊柱起立筋とは、骨盤から後頭部まで背骨に沿って存在する、背中で最も大きく長い筋肉で姿勢を維持する役割がある。



「……誰も筋肉解説頼んでないよ?」


突然の筋肉名披露に、美加がカメラ目線でツッコミを入れた。どうやら彼女は、能天使に筋肉の名前が付けられている事を知らなかったらしい。


カマイルは表情を引き締め、語り始めた。


「二百八十年前――あの時、私たちにもっと力があればと悔み、ガブリール様に相談したところ、筋トレの道を授けていただきました。以来、天界にて筋肉の声を聞き、力を鍛えてきたのです」


その言葉に美加は眉をひそめた。二百八十年前の、あの悔しさを思い出す中。


「……つまり、能天使を筋肉マンにした元凶は……ガブリール……」


小さく呟いた美加は、心の中でガブリールへの説教を決意するのだった。


そして、ルークが光鏡砲についての説明を始める。


「光鏡砲とは、ミラー城横の独立した塔に備えられた対空砲。先端部付近に浮かぶ光球へ、大きな鏡で太陽光を集光して放つ方式と、人が魔力を込めて光線を発する方式がある。どちらも非常に強力な攻撃手段だ」


リアムが口を挟む。


「ムドーの失敗が悪魔側に知れれば、次は破壊工作に来るかもしれない」


光鏡砲の防衛案の作成と悪魔の潜伏状態を調べるため、リアムは光鏡砲防衛案、ルークは領民との握手会による悪魔探知を決定した。


最後にルークが空に尋ねる。


「空さんはどうしますか?」


「私はミアと一緒に掘ったトンネルの調査をし、ドリード王国近くへ行くので、ミラー領から食糧を運んでいった商人たちがいたら報告しますね」


ルークはそれを了解し、空たちは行動を開始する。


メイソンは南東樹海の基地へ一人戻り、リアムは城塞外の自宅へ帰還し、諜報員からの報告を待つことに。


ルークは執務室に残り、カマイルと共に、翌日以降の「悪魔あぶり出し作戦」の準備を整えていく。


空と美加は、亜空間へと戻って行った――。


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