第1話 フラグ
はじめまして。
このたび、私の新作小説天空門のルシフィスを公開することとなりました。
カクヨムでも公開しております。
拙い点もあるかと思いますが、物語の世界を楽しんでいただければ幸いです。
ご感想、ご意見などもぜひお寄せいただけると嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
「助けて助けて・・天使様・・」
女の子が祈り
「天使が助けてくれるって・・言ったじゃないか」
男の子が約束が違うと憤り
「ルシフィス様!大丈夫ですか!大丈夫ですか!」
女性が心配し
「お前じゃ無理だ!俺に代われ!」
男性が要求し
「お前がこっちに来るのは迷惑なんですよ!この槍で大人しく寝ていなさい!」
何者かが排除しようとし
「ぐぅぅ・・・私は俺は・・守れなかったのか・・・」
男性が後悔する
「・・・あっ・・またあの夢か」
起きていても寝ていても時折頭に浮かんでくるあのワンシーンはなんなのか、警備の仕事で現場に立ちながら考え事をしている男性の近くで、死んだらどこへ行くの?と女の子が母親に質問している。
母親は良い行いをしていれば天国と言うところへ行き、悪いことをしたら地獄へいくのよ!天国は天使が沢山居てとても良いところだから、沢山良い事をしようねと女の子に言い聞かせていた。
天国と地獄の話しは懐かしい。昔聞かされては天国に行けると信じこんだものだ。
「私の名前は神山 空 二十五歳 会社員 独身。仕事は警備員をやっていて今は仕事中」
空は公園の近くにマンションが出来るので、そこを出入りする車等の誘導のため出入口で立っていた。
業者によって入口へ車が前から入ったり、後ろから入ったりと様々だけど、歩行者自転車などと事故が起きないように注意は欠かせないし大事な仕事でもある。
今度資格試験もあり仕事に勉強にと忙しい日々が続いていた。
空はあれこれ考えながら仕事も無難にこなし警備会社に帰って来て報告書を書いていた時、同僚の関本孝司が話しかけて来た。
お疲れさま~とお互いに言い合い
「話し聞いたよ試験受けるって?」
と聞いて来た
「ああ」
「そうか~先を越されたな~」
「関本なら次声がかかるよ」
「だと良いけどな~幹部になったらシフトお手柔らかに頼むよ?」
「任せてよ!っと言ってもお互いお得意様がいるからそこに振るだけのお仕事だけどな」
「まぁ違いないな、お互い事故だけは気をつけような」
「もちろんだ」
「それよりお前彼女いたよな?」
「ああ付き合って三年になるかな」
「資格取ったらそろそろ結婚か?」
「そうだな~資格取れたらプロポーズするんだ!」
なんてちょっと格好よくセリフを言った瞬間、背筋が凍る感じがして後ろに誰かいるかの気配がしてすぐさま後ろを振り返るも誰もいない
「どした?急に振り向いて?」
「いやプロポーズするんだってセリフ言った後、背筋が凍る感じがしたものだから」
「お前それアニメかなんかのフラグじゃね?特定のセリフを言うと死んでしまうやつ」
「まさか?それはこの戦いが終わったら結婚するんだ!ってやつだろ」
「まぁ似たような感じに聞こえるけど」
(気のせいだとうんうんと自分に言い聞かせて見る)
「結婚式挙げるなら発起人やるから決まったら教えてくれよ!」
と言い残して関本は退社して行った。
空も報告書を提出し明日も同じ現場で仕事だと確認し家に帰った。
いつものスーパーに寄り家に着くと十九時を過ぎていた。夕飯を食べて好きなアニメを見ていると彼女からLINEが来た。
なにしてるとか他愛もないことを書き合い。
今度の休みの予定を入れ連絡をし終えた。
結婚のことはニュアンスだけでも言おうかと思ったけどなんだか言えず仕舞いになってしまった。
まぁ、驚かせるのもサプライズとして最高だしなと、まだプロポーズが成功する訳でもないのに自信過剰な感じで興奮するのであった。
その日の夜また変な夢を見た。
夢はほぼ毎回鬼気迫る感じで女性の声でルシフィス様大丈夫ですか?大丈夫ですか?と言ったり。
男性の声でお前じゃ無理だ俺に代われと言って来たりと、以前は数ヶ月に一回くらいだったので気にはしてなかったのだが、最近は三日に一回くらいは見るようになっていよいよなにかあると感じていた。
「ルシフィスって誰だよ・・」
朝起きた時、空はボヤいた。
そして空はいつものマンション建設現場で仕事に従事していた。
天気は曇りのち雨の予報で仕事が終わる十七時くらいから雨が降る予報が出ていた。現在十五時三十分を回ったところ、作業員の休憩も終わり今日の仕事のラストスパートが始まる時間になっていた。
仕事の車両誘導もこれから出入が忙しくなってくる。
十六時を過ぎた時ポツポツと雨が降って来た。帰り仕度を始めいる作業者の車両誘導が忙しくなる。ふと見上げると車道反対側に昨日の親子が歩いて来た。
女の子の方を見ると最近買ってもらったような目新しい帽子をかぶっていた。
結婚して子供が出来たらあんな感じの帽子を贈りたいなどと考えながら仕事現場のマンションの方に目を移した時だった。
急な突風が吹き女の子があっ!と言う声を出し、声の方に目をやると帽子が車道に飛んでいた。
女の子は慌てて取りに行こうと走り出した時にタイミング悪く車が来ているのが見えた。
空は危ないと声を出して帽子があるところへ走り出した。
帽子は車道の真ん中付近からやや反対車線側に飛ばされて落ち、空が車道に入り車道に落ちた女の子の帽子を拾おうとした時。
左から来ていた車の運転手が空に気がついてブレーキを踏みつけクラクションを鳴らした。
空は車の方を見て駄目かもと思ったが、なんと轢かれる寸前で車は止まり運転手も目をつむりながらハンドルに頭をつけている。
女の子の方を見ると、母親に引き留められていた。女の子が車道に飛び出そうとした時に母親が女の子の左手を掴んで女の子は車道に出なかったのだ。
無事な姿が見えたのを見て安堵すると共に少し震えた。
その後女の子に帽子を渡しお礼を言われ。
運転手に大丈夫か?と聞かれて大丈夫!と返答し飛び出して悪かったと謝ろうとした時、空は胸が苦しくなり物言わず倒れてしまった。遠くから大丈夫か?救急車と聞こえながら眠り落ちる感じで意識を失なった。
その後夢を見ているかのような感じで自分ではないけど自分と思える奴が戦いを見ているのが見えた。
天使対悪魔の戦い見たいな感じに見える。戦いを見ている自分はなにやら苦悩しているようだ。
夢から覚めそうな時、誰かの声が聞こえた。○○様!○○様!名前は聞こえない、大丈夫ですか?大丈夫ですか?と聞こえて空は目を開けた。
目を開けると下に顔を白い布で覆われて誰かが仰向けで寝ていた。
その姿を上から見ていてしばらく呆然としていた。
夢ではない夢を見ているような感覚、辺りを見渡し動けるか試して見たら、空は空中に浮き天井から自分を見下ろしていると認識し……そして理解した。
幽体離脱をしていると、マジかっ!と思った時、誰かが部屋に入って来た空の母親と同僚の関本だった。
なにを言っているかは聞こえないが、泣いているのはわかる。空も状況を察して泣き出しそうになった時後ろから肩を叩かれた。
空が天井しか無い後ろを振り返るとそこには見れば即分かるほどの死神がいた。ビックリして唖然としたが間違いなくあの有名な死神がいた。
固まった空に死神はそろそろ逝きますよと一言。
行くでもなくイクではない逝くなのだ。文字じゃなければわからないことを言われ、ふと足元を見た時肉体と繋がっていた線が完全に切れていることが見えた。
完全に悟る瞬間だった……空は死んだのだと。
項垂れている空の左腕を死神が掴んで上空へ登っていく。
死神を見るとなにやらノート見たいなものが見えメモ見たいな文字も見える。
空は意を決して死神に話しかけて見た。
「私は死にました?」
「はい」
「そうなんだ・・・これからどこへ行くんだろう?」
「まずは天空界へ行きそれから普通は然るべき裁定を受けて貰います」
天国行きか地獄行きの裁定かな?と思ったがそのことは聞けなかった。
「そうなんだ」
「悪いようにはならないと思いますよ?空様」
「様?・・・・」
なにか様子が変な気がしたが、そんなやり取りの間もさらに上空へ登って行く。
やがて大きな雲が現れ積乱雲のような雲の外側に大きな門が現れた。
「こちらが天空界の入り口になります」
空は立派な門と扉に見とれていると死神が門番に、空様!到着と言っていた。
門番が耳に手を当てなにやらテレパシーを使っているかのように誰かと話をしているように見えた。
やがて門番は扉を開けると眩い光が射し込んで来た。ようこそ空様と温泉宿に来たようなおもてなしで空を天空界へ案内するのだった。
天空界に入るとそこには雲の平原に城があり、あちこちに翼のはえた人がいた。
まさに天空城と呼べる立派な城と天空人と呼べる人達を見て、空は少し感動する。
死神がそれを見て少しにやけるも、誰かを待っているかのように辺りを見回している。
やがて死神の元に背の低い老人がやって来た。
「ようこそ空様 私は揚老凛 (よう ろうりん)と申します」
「初めまして神山空と申します」
と挨拶をし老人を眺める。
身長は高くはないけど、武道着が良く似合ういかにも達人って感じの老人だ
「揚さんはあの~拳法をやられているのですか?」
「生きているときに少々ですかな」
「なるほどかなりの達人って感じがいたします」
「空様は武術は知っておられますかな?」
「拳法の映画は見ていて、実際はやったことはなくでも使えたら格好良いなと思っています」
「そうですか多少でも興味があって嬉しいですな」
と揚は嬉しそうに話をした。
こうして車に轢かれた訳じゃなく心臓発作で死んだ空は、死神に連れられ天空界へ行き、武術家の揚老凛と会い天空界での裁定?生活?が始まったのだった。