2025.6.24 令和のダラさん
みなさん、こんにちは。
今から数年後、書店で一冊の漫画が目に留まりました。
タイトルは『令和のダラさん』
作者はともつか治臣先生。
「どっかで見たなあこの絵柄」と思って、ついつい買っちゃったんですよね。
で、読んでいて思い出した。
自分、ともつか先生を漫画とは別の形で知っていたんですよ。
§ § §
昔、一冊の本を買いました。
その名は『クトゥルフ神話TRPG』。
いわゆる「テーブルトークRPG」のルールブックです。
「テーブルトークRPG……それっていったいなんぞや?」
そんなレディス&ジェントルメンにおかれましては、「複数の人間が、ファミコンではなく紙や鉛筆、サイコロなんかを使って遊ぶドラクエ」を想像していただければよろしいかと(※1)。
全然わからない? いいんです。
大事なのは「複数の人間が」ってところなのです。
せっかくルールブックを買ったにも関わらず、コミュ障の私は、誰かに「おい、TRPGやろうぜ」などと声をかけられるはずもなく、ひとり悶々としていた――
そんな状況を伝えたかっただけですから(涙)
さて、それから時は流れ、ニコニコ動画とかyoutubeに、TRPGのリプレイ動画(※2)が次々と投稿されるような時代がやってきました。
やはり「おい、TRPGやろうぜ」と言えないままの私は、そうした動画を悶々と視聴していたわけであります。
その中で、演出がやたらハイレベルなシリーズがありました。手製のアニメまで含まれているような代物で、性癖がてんこ盛りにされたその世界観は、まさしく圧倒的――その作者がともつか先生(通称:汚っさん)だったわけです。
§ § §
さて、話を戻しまして『令和のダラさん』
どのような作品かを極々ざっくりと申し上げますと――
「お山に潜む祟り神(笑)のお姉さんと、その山を管理する一族のきょうだいが織りなすオカルト・コメディ」
生真面目な怪異が、令和の少年少女に振り回されるその様子は、ただひたすらに微笑ましい。
一方、作品の構成として、ひとつの話の中に「ほのぼのな現代編」と「陰惨な過去編」がに対比的に設置されておりまして、その温度差は「フォーチュンクエスト」と「ベルセルク」並みと申しましょうか……あるいは「となりのトトロ」と「火垂るの墓」並みと申しましょうか……そこらへんに、作者の凄味が感じられたりするのです。
あとは、やたらとバックグラウンドが濃いのも特徴ですね。
一コマ出てきただけのネタに、単行本では1ページ使って解説が加えられていたりします。そこには、ともつか先生の「遊び」とか「こだわり」がぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、とにかく熱量が凄い。
個人的には、最近トップクラスに楽しみにしている漫画なのであります
(ちょうど昨日(6.23)に最新巻の6巻が発売されましたので、その記念に取り上げてみましたよ)。
――それにしても、もしあのとき『クトゥルフ神話TRPG』を買わなかったら、この『令和のダラさん』を読むこともなかったんだろうなあ。
縁ってものは、実に面白い。
※1
実際は、まずTRPGが先に開発されて、それを「一人で遊べねえかな」というコンセプトでプログラミングしたものがドラクエやFFのたぐい。
※2……リプレイ
TRPGをプレイした様子を文章や動画にしたもの。ドラゴンランス戦記とかロードス島戦記みたいなアレ。実際に複数人でプレイした場合を「実卓リプレイ」、そうでないものを「脳内リプレイ」と呼んだりする。




