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チラシの裏の裏には書けない  作者: 吉田 晶


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2025.6.20 文化の交流と多様性

 ぽこぽんぽこぽん(怒)

 ぽこぽんぽこぽん(怒)


 い~や~じゃ! 

 は~な~せっ!! 

 ええい、はなせと言っておるのじゃ!!!


【そんなことを言わずに頼みます。ほら、おいなり=サンをご用意しましたよ】


 わらわ(※)は狸なのじゃ! おいなりさんは狐の好物なのじゃ!


【じゃあ、揚げ玉の方がよかったですか?】


 ……いや、揚げ玉を単品で盛られてものぅ。

 ならば、おいなりさんの方がいいかもしれぬのじゃ。



 はむはむ(食事中)



 で、そもそもおぬしは何者じゃ? 脳内ここいらでは見ない顔じゃの。


【ドーモ。筋肉妖精吉田です。腹直筋から来ました】


 ほ、ほう、それは遠く(?)からようこそなのじゃ。

 ……その、おぬしも【吉田の住人】なのじゃろ? だったら他人に書かせるのではなく、自分自身で“えっせい”を書いてみてはどうなのじゃ?


【脳がないのに、書けるわけないじゃないですか】


 あ、へえ、ふうん。


(こいつ怖いのじゃ……。逆らったら、何をされるかわからないのじゃ……)


 ま、まあ、おいなりさんをご馳走になってしまったからの。

 とりあえず、お題を見せてもらおうかの――


--------------------------------------------------------------------------------

5.文化の交流と多様性:

異なる文化が交わることで生まれる影響について、あなたの経験や見解を述べてください。

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 おや、経験でよいなら語れるかも、なのじゃ。


 ――あれはわらわが高校生の頃であった。


 中学までは地元の公立校にかよっておったからの、まわりはなにもかも顔馴染み。文化なんてものを意識したことはそうそうなかった。

 それが高校ともなると、ほとんどが違う町の連中じゃ。入学当初などは、毎日が“かるちゃーしょっく”だったのじゃ。


 例えば、自転車の後輪に取り付ける二人乗り(ニケツ)用の棒があるじゃろ?

 アレ、わらわの地元では「ハブ」と呼んでおった。

 けれど、他の地域では「ステップ」と呼ぶところもあるらしい。


 今だったらすぐ“いんたーねっと”で正式名称が調べられるだろうがの、当時はそんなものなかったからのう。だから、どっちが正しいかで小競り合いが生じたりするわけじゃ。


 え? そもそもそんなもの見たことがない!?

 確かに、最近はとんと見かけなくなったものなぁ……ぽんぽこぽーん(哀)

 そういえば、同じ“こみゅにてぃ”の中であっても、老若男女で文化が異なったりすることは多いのじゃ……この手の軋轢もけっこう深刻な問題なのじゃ……


 まあ、話がややこしくなるから、今回それには触れんがの。


 さて、話を戻すのじゃ。「ハブ・ステップ」問題などは序の口じゃ。

 そんなもの、一度耳にすれば「そういう呼び方もあるのね」で解決じゃからの。


 では、異なる文化が交わった際の最大の問題ってなんじゃろう?

 ――思うにそれは、各々の「ルール」が矛盾した場合なのじゃ。


 例えば、くらす替えの直後なぞは、互いに見知らぬ顔ばかりで、なんとなくぎこちない空気が流れるじゃろ?


 そんな時、誰かが提案するのじゃ。


「おい、いっちょカードゲームでもやらないかい」


 それで始まったのが「UNO」だの「キングレオ」ならまだいい。“ろーかるるーる”が極端なものだったりすると、厄介なことになる。


 そう、わらわが高校生だった頃は、よりにもよって「大貧民」が大人気だったのじゃ。もしご存知ない方がいたら、ちょっと“うぃきぺでぃあ”の記事を見てほしい。


 ……な? ひどいことになっとるじゃろ。


 何度も繰り返して恐縮なのじゃが、その頃は“いんたーねっと”などなかったから、「公式ルール」なんて誰も知らんわけなのじゃ。


 だから、最初は文字通り無法地帯よ――


A :スペードの8からの……ハートの11であがり!

B :待て待て待て、俺の番を飛ばすなよ

A :え、「8切り」だから、その場で流れるでしょ

B :なにそれ? 初めて聞いた

A :お前、どこの田舎から出てきたんだよ!? 常識だろ「8切り」

B :なんだとこの○○市民が! そっちの方がド田舎だろうが!

C :あ、ちょっといい? さっきAが出したハートの11、役札だからあがれないよ

AB :なにそれ知らねえ


 けれど、おもしろいことにな、こうして異文化同士がぶつかるうちに、だんだんと「ルール」が洗練されてくるのじゃ。


D :確かに「8切り」はあったほうが戦略の幅が広がる気がするんだよな

E :「階段」はどうする?

F :あれなー、複雑すぎてけっこうトラブルのもとになるんだよね

D :奥の手としては面白いけど、みんなで遊ぶ時にはわかりやすさ重視っしょ

E :んじゃ、うちらの間ではとりあえず「階段」は無しってことで

F :ほーい、了解


 こうして議論を重ねるうち、「ルール」について文句をいうものはほとんどいなくなる。そして、「大貧民」をまったく知らないものであっても、すぐに輪の中に入れるようになるという好循環が生じるのじゃ。




 ――だから、今回のお題に対し、わらわはこう思いたいのじゃ。

 異なる文化が交わるとき、最初は必ず軋轢が生じるじゃろう。

 しかし、それを乗り越えれば文化同士は融和して、より洗練されたものになると。


 ま、現実では強い文化が弱い文化を飲み込んでしまい「融和とは名ばかり」ということも多いんじゃがの……


 ぽんぽこぽん、ぽんぽこぽん。


                             (続く)


※わらわ

吉田晶の脳内に潜む人格の一つ。齢を経た雌狸。あざとい。

彼女が表人格に浮き出るとき、だいたい吉田はピンチだ。

つまり、今もピンチなのだ。

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