2025.6.16 夢と現実の狭間で
※注意※
今回の話は、ゲーム「ドラゴンクエストⅥ」と「セレファイス」(H.P.ラヴクラフト著)のネタバレを含みます。なにとぞ御了承ください。
ひゅるりらひゅるりら……ばひょぅぅん(オーラロードを通りぬけるっぽい音)
【BGM:ダンバインとぶ】
ちょ、ちょっと、なんなんですかアンタ!?
こ……ここはどこ? 町田? 町田のネカフェ? ナンデ?
あのね、こっちはアルバートさんが宝箱に呑み込まれて大変なことになってるんだから、早く向こうの世界に帰してくださ……はぁ? エッセイを一本書いたら戻してやるって?
ひ、ひいッ! 鍛え上げられた腹直筋を近づけないでッ!
わ、わかりましたよ、書きますよ……
――あ、申し遅れました。僕の名前は、斉藤雄介(※)。
吉田晶と名乗る筋肉モリモリマッチョマンの妖精に拉致られ、ここにいます。
ともかく、そのエッセイとやらのお題を確認しましょうかね。
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2.夢と現実の狭間で:
夢と現実のバランスを保つことの重要性について説明してください。
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あーん?
これってつまり、ドラクエⅥのことを書けばいいのかな?
あの作品はさあ、夢の世界に別れを告げるエンディングがやたら切ないんだよね。決してネガティブなわけじゃないんだけど、ターニアとかバーバラとか「あれでいいの!?」って悶々としちゃうわけですよ。いっそのこと、クリア直前ぐらいでラスボスを放置したほうが幸せなんじゃないの、ホント。 それでさ、みんなでえんえんとエビルフランケン狩って、一生「はかいのてっきゅう」集めをしてればいいんだよ。
【夢と現実のバランスを保つことの重要性について説明してください】
うひっ! いちいち腹直筋を近づけるのやめてよ、もう!
……お題にある「夢と現実」ってのは、「ゆめとうつつ」じゃなくて「理想と現実」って意味だって言いたいんでしょ。そんなこたぁわかっているんですよ。
もし、このお題が学校の宿題に出たとして、ドラクエⅥの話を書いたら、まず説教食らうよね。
……でもさ、これ、AIが出したお題にしては漠然としすぎてない? それに、いろいろツッコミたいところもある!
まず第一に、「ゆめとうつつ」だとしても、「理想と現実」だとしても、最初から「バランスを保つこと」を「重要」としているところに、僕ぁイラっときたんだよね!
いいかい? そもそもさ、大嫌いなんですよ「現実」ってやつが! あんなもん、僕からしたらハラスメントの権化ですよ。どうして好きになれるのさ!「現実に目を向けろ」ってのはすなわち「ハラスメントと上手くやっていけ」ってことじゃない――
【以下、聞くに堪えない妄言のため省略】
他人に「夢と現実のバランスを保て」って言うだけなら、誰にでもできるんだよ!
でもさ、そういうことをのたまうやつらって、僕が「バランスを保てなくなった」時には絶対に助けてくれないから――
【省略】
……ああ、そうだ。ところで皆様は、H.P.ラヴクラフトはお好きですか?僕はそこまでのファンじゃないけれど、
「インスマスを覆う影」
「エーリッヒ・ツァンの音楽」
「セレファイス」
この3作は傑作だと思うのですよ。まず「インスマスを覆う影」なんだけど――
【1時間経過】
それで「エーリッヒ・ツァンの音楽」の音楽ですよ――
【さらに1時間経過】
で、なんでこんな話をしたかと申しますと、この「セレファイス」って作品が、文字通り「夢と現実のバランスを保てなくなった人間の末路」を描いているからなんですね。
「そんなしみったれた話、一生読まねーぜ」って人のために3行で説明しますと、
夢の中でだけ英雄になれる男が、
そのうち麻薬を使ってまで夢を見るようになって、
最後には薬物中毒で死んじゃう話。
ラストで現実に戻るドラクエⅥとは、まったく逆の展開。
けれど、主人公に対する共感は、こっちの方が強いかもしれない。
だってさ、ドラクエⅥの主人公ってリア充なんだもん。王子だよ王子、そりゃあ現実に戻ったって上手くやっていけるでしょうよッ!
でもさ、セレファイスの主人公は、現実で生きるのにはまったく向いていないタイプ……
お前は俺なんだよぉぉ……(いきなり号泣)
【涙をお拭きよ】
ありがとう……
【夢と現実のバランスを保つことの重要性について説明してください】
ああ、はいはい、字数が押しているんで、巻いて行けってことね。
現実に生きていると、大事なものが見えなくなりがち。
(↑ドラクエⅥのエンディングより)
けれど、夢にこだわり過ぎれば経済的(あるいは肉体的)に行き詰まっちゃう。
(↑セレファイスのエンディングより)
だから、努力を惜しまずに足元(現実)を固めつつ、夢を追いかけていくのが大事なんだ!(失笑)
――こんなもんでいいですか?
そんな器用な真似、僕にはとうていできそうにありませんけどねッ!!
※斉藤雄介
「魔道探偵ナツメ事務所」の主人公。リア充をこよなく憎むオタクでヘタレ。




