2025.6.4 たぬきのたからくじでぽんぽこぽんのぽん☆
ギャンブルが、好きで好きでしかたない。競馬、競輪、競艇、パチスロ……金が賭けられれば、なんでもよい。余裕があれば、マカオだのラスベガスに行って、ぱぁっと一儲けするのもよいな。
しかし悲しいかな、私はすぐにカッカと沸騰するタイプである。どっからどう見ても賭け事には向いていない。区切りのいいところで止めるということがどうしてもできず、先ほど挙げた競馬でも何でも、一回遊びにでれば数万円がぶっ飛んでしまう。
ただ、救いがあったとすれば、余所から金を借りてまで遊ぼうとは思わなかったところであろう。ありがとう「闇金ウシジマくん」。君に感謝する。もし君を読んでいなかったら、今頃は「ギャンブルくん」となり果てて、エスポワールで限定ジャンケンをしていたに違いないのだから。
§ § §
……とまあ、それは以前の話。
最近は、時間的にも経済的にも余裕がなくて、ギャンブルとはあらかた手が切れた状態である。
――ただひとつ、ジャンボ宝くじを除いては。
アイツが発売されるたび、3,000円を手に、いそいそと宝くじ売り場に向かう。
この3,000円が、近い将来ウン億円に化けるのだから、大したものである。
近所のタヌキだって、そんな無茶はしないだろう。ぽんぽこぽん☆
さて、そうして買ってきた宝くじは、しばらく放置する。
当選番号の発表日にすぐ確認したりするようでは、まだまだトーシローである。
――なぜかって?
私は、これまで清く正しく生きてきた。
だから、その宝くじが一等で当選していることは疑いようがない。
よって、焦る必要はまったくないのである。
もちろん「宝くじの精霊」の手違いで、ハズレを掴まされている可能性はある。
それでも、当選確認をしない限りは、「当たりくじ」と「ハズレくじ」のあいだに差はないのだから、やはり放置の一手で間違いはないのである。
§ § §
そうしているうちに、次のジャンボ宝くじの発売日がやってくる。
まだまだ、焦ってはいけない。当たりくじの引き換え期間は1年もあるのだから、ぐっとこらえて、再び同じように3,000円分を購入するのである。
こうして買って来た「当たりくじ」は、以前に買ったものと一緒にしておく。
心ある人には見えるだろう。このたった20枚の紙きれが、10億円以上の金々オーラを放っていることに。
もはや私は、自己資産10億円超のセレブである。
こうなれば、職場で少々不愉快なことがあっても、笑って許すことができる。
心の中で、無礼者に札束ビンタをかましてやればよいのだ。
「火を付けた札束のビンタを食らえッ!」 (ビビビビン!)
「どうだっ! 明るくなったろう!」 (ビビビビン!)
右手に5億円、左手にも5億円の「にとうりゅうみだれうち」である。
相手が「しんりゅう」だろうが「オメガ」だろうがひとたまりもあるまい。
§ § §
そして時は流れ、夏がやって来た。
当選確認は、お盆休みや正月など、連休の初日にするのがよい。
辞表をしたためたり、引っ越しの準備をする時間が必要になるからだ。
(すべてハズレていた場合、連休は心の傷を癒すことに費やすべし……)
§ § §
満を持して、宝くじ売り場に現れた私。
自己資産15億円の金々オーラはあまりにまばゆく、もはや真夏の太陽と区別がつかない。
「すいません、宝くじの当選確認をお願いします」
「あ、はい……!」
窓口のおばちゃんもハッと気付いた。
目の前にいるのはタダモノではない、と。
ぶいいいいいいいん (宝くじを機械がチェックする音)
そこで婦人は、奇跡を目にするであろう。
興奮のあまり、目は潤み、声は震えている。
「あ、あの! 一等が当選しています! そ……それも3本も!! 」
「おや、そうですか。日頃の行いがよかったのかな?」
吉田晶はクールに決める。
どうってことはない。すべては約束されていたことなのだから――
§ § §
よし、イメージトレーニングも完璧である。もう何度も何度も繰り返しているので、現実にあった出来事のように思い浮かべることができる。
そして、これだけはっきり書いてやったのだ。どんなに無能な「宝くじの精霊」であっても、ミスを重ねていたことに気が付くだろう。お詫びの菓子折りなどいらんぞ。早く一等の当たりくじを寄こすがよい。おっほっほ。
いやあ、次のお盆休みが実に楽しみである!




