2025.5.26 それは呪詛か祝福か ―祝福―
★前回のあらすじ
「生れてこのかたずっと、どこかしら体の具合が悪いのですよ」
「何者かに呪われているんじゃないかしら」
§ § §
――ところが、です。
どうにも奇妙なことに、入院したとか手術したとか、そのような大事に至ったケースは皆無(最大で救急車ですね!)。
また、それらの症状が重複するようなこともありません。
例えば、この「裏裏」でも書いたことのある「喘息」がひどい時期には、なぜか「片頭痛」が影を潜めていたり、逆もまた然りです。
うーん、「呪詛」と言うには、どうにも生温い。
そんなある日、ふと思ったんですよね。
私が生まれてくる前のステータス作成画面で、上位存在たちによるこんなやりとりがあったんじゃないかなあと。
「こいつ、BP低いなあ。STRもDEXもINTもLCKもお察し。苦労するぞ……」
「さすがに救済措置が必要でしょ。GM、なんとかしてよ」
「うーん、だったら【特殊能力覚醒】の運命を付けとこう。
代償は(サイコロを振る音)……【いつもなんとなく具合が悪い】だね」
「お、当たりじゃん! 実質ペナルティ無しみたいなもんだよ」
そんな星を背負って生まれてきたワタクシ。くくく……
盛り上がってまいりましたよ!
いつになるかはわかりませんが、この先【特殊能力覚醒】のイベントが待っているみたいです。
どんな能力でしょうねえ。ワクワク。
§ § §
てれれれってってれ~♪
あなた は、とくしゅのうりょくに めざめた!
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【佇むものの寵愛(★)】
・自販機の当たりくじに当選する確率が200%アップ
・自販機の釣銭返却口に釣銭が残されている確率が200%アップ
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「あ、チェンジでお願いします」
――ぴろぴろりん(特殊能力を再抽選する音)
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【全能力値ブースト(★★★★)】
・STR、DEX、INT、LCKがそれぞれ10%アップ
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「もとの能力が低いからさ、10%なんて焼石に水なんだよ。チェンジ」
――ぴろぴろりん
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【ファイナルアタックγ(★★★)】
・自身のHPが0になった時点で、敵対している相手に無属性の大ダメージを与える
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「こんなのパーティプレイ前提じゃん……チェンジ!」
そこで突然、脳内に上位存在の声が響き渡る。
(待って待って待って、この能力は結構使えるって。
【フェニックスの溜息(★★★)】と組み合わせると極悪コンボが――)
しかし私とて、引く気はまったくない。
「あのな、数値的に見ればそうかもしれないけど、そのたびにHP0になるこっちの身にもなれよ。あと、この際だから言っておくけど、お前ら【いつもなんとなく具合が悪い】を『実質ペナルティ無し』とかぬかしてたよな。ところがぎっちょん、けっこうシンドイんだぞ、コレ! 定期的に受ける精密検査の費用だって馬鹿にならないし、まわりからは“かまってちゃん”扱いされるし、さんざんだよ!」
ここまできたら、もう意地である。
「――だから、特殊能力については一切妥協するつもりはないことを宣言する!
こちとら0.01%程度のガチャなら日常茶飯事なんじゃ! 最低でも【クレイジーダイ●モンド】レベルの能力が引けるまでは諦めないからな!」
――ぴろぴろりん
――ぴろぴろりん
――ぴろぴろりん
――ぴろぴろりん
§ § §
こりゃあ特殊能力が確定するまで、ずいぶんと時間がかかりそうですねぇ。
せいぜい気長に待つといたしましょうか。
――とまあ、区切りもいいので今日はここまで。
どんどはれ。




